表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/36

第27話 蘭夫人が贈った感謝の蘭は、宝石を飾った金鉢の中に

霜仁は、僕の知る限りもともと感情の起伏がほとんどない。

だから候補から外せる。


梓談はたぶん寝ぼけていて聞いていなかったのだろう。

ぼんやりしたまま地面を見ていた。


侑晴の反応はとても自然だった。

しかも、困ったように僕を見てきた。


碧落はその隣で、落ち着いて座っている。


その場には、

どう反応すればいいのかわからない緊張感が漂っていた!


僕はやはり、

子供の頃に推理のやり方で真相を探っていた気質を、

まだ残しているらしい!


すると僕は、児墨が立ち上がって数歩進み、

霜仁の肩をぽんと叩くのを見た。

霜仁ははっとしたように児墨を見返す。


「私も驚いて、表情がうまく抑えられませんでした。

まずは落ち着いて、それから星御先輩を気遣いましょう!」


児墨に何度も頷いている霜仁を見て、

僕はふと理解した。


緊張の表れ方は人それぞれだ。だから、

僕の判断は早計すぎた。修正しなければならない。


でも……まさか梓談の緊張した反応が、

眠ってしまうことだったとは!


やはりこの場には、

「濃厚な」どう反応していいかわからない緊張感が満ちている!


「梓談、こんなところで寝たら風邪をひくよ!

昨夜はちゃんと眠れなかったのか?」


「ごめんね、碧落。

水遊びに来るのが楽しみすぎて」


あれ?

また僕の読み違いか。はぁ……やっぱり、

目の前の児墨をしっかり観察しよう。


僕はふいに、濃い蘭の香りを嗅いだ。


児墨は目を見開き、

続いて椅子から立ち上がると、

自分の円領袍を整え始めた。


そして僕は、珍しく賴太医が外へ出てくるのを見た。

彼女は眉をひそめたまま入口へ向かう。


そこへ、若い娘が二人、門から入ってきた。


その後ろから姿を見せたのは、

細身で背の高い、

深い青の長髪を持つ美しい女性だった。


彼女の体からは、濃厚な蘭の香りが漂っている。


その女性がゆっくりと安寿院の中へ入ってくると、

児墨も同時に足早にその人のもとへ向かった。


「蘭夫人、どうしてこちらへ?

それとも、これからの天寿宴に、

児墨も呼んでくださるのですか?」


児墨は少し期待した口調だった。

蘭夫人は多くを語らず、ただかすかに微笑む。


そして手で児墨の髪を整えてから、こう言った。


「児墨、前に話したことを覚えているかしら。

大人の集まりは、

大きくなってからでないと参加できないの。


そのうち必ず連れて行ってあげるわ。

だから今夜は、

翠花殿でおとなしく勉強の復習をしていなさいね。」


そう言い終えると、

蘭夫人はそのまま足早に賴太医のそばへ向かい、

礼をした。


彼女は若い娘の手から、

ついでのように一鉢の蘭を受け取った。

金色の鉢はひどく豪華で、

中央には指先ほどの大きさの宝石まで嵌め込まれている。


「賴太医には本当にお手数をおかけしました。

本官が来るのが少し遅くなってしまって。

児墨に怪我がないか、気になっておりますの!」


「それは本人に聞けばいいでしょう、蘭夫人?」


賴太医はその場で固まっている児墨を指さした。

それに対して蘭夫人は、頬に手を添えたまま微笑む。


「太医ほど腕が確かなら、

まずは太医から様子を伺うのが自然でしょう!」


「安寿院には託児サービスは付いていませんよ。

ここにいるのはみんな青年以上ですし、

本人と直接話せます。


いちいち誘導しなくても大丈夫です。」


賴太医はまた児墨を指さしたが、

蘭夫人の差し出した鉢は受け取らなかった。


児墨はごくりと唾を飲み込み、

蘭夫人を一目見ると、そのまま壁際の椅子まで下がっていく。


「今夜は天寿宴で立て込んでおりますので、

本官は児墨に付き添えませんの。


もし具合が悪くてここに留まるようでしたら、

どうか賴太医、よろしく見てやってくださいませ......。」


蘭夫人はそう言って一礼し、盆栽を脇へ置いた。


「安寿院では植物の世話まではできません。

夫人、どうかお持ち帰りください。」


「ご安心なさい。

本官がまた何度か参って、世話をいたしますから.......。」


「本当にお気遣いなく。

この盆栽はあまりに高価です。

安寿院では扱いきれません!」


賴太医は、金箔がびっしり貼られた鉢を見つめ、

ひどく冷えた顔をしていた。


「蘭が早く枯れるのはよくあることですもの。

ですから太医は鉢だけ置いておけばよろしいのです。


花がしおれたら本官へ知らせてくださいませ。

また人を遣って、新しい蘭を添えさせますわ。


皇帝陛下も各所の飾りつけは本官に任せておいでですし、

予備はいくらでもございます。


なくしてしまっても構いません。

どうかお気になさらず!」


「一か月たっても蘭の補充がなければ、

場所を取るので蘭夫人へ返送します。」


賴太医は冷ややかな目で蘭夫人を見つめた。

だが蘭夫人はかすかに微笑むと、

そのまま児墨のほうへ歩いていった。

作者も蘭夫人の独特な気配に少し押され気味です。

皆さまはどんな印象を持たれたでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ