脱出
空に亀裂が入って割れていく。
大きな穴が開いたかと思うと、巨大なハルト王子の姿が見える。
どうやら私達は縮小されてこの世界に入り込んでいるらしい。
ハルト王子が心配そうにのぞき込んでいるのが見えて私は大きく手を振りながら、
「私達はここよ! いえ、あちらに行った方がいいわね、出口ですもの」
そう言って私達はその出口に向かって走り出す。
だがその間、周りからがたがた言うような音が聞こえて、空やら何やらが崩れ落ちていく。
そこで家がと言って振り返った貴族の屋敷の持ち主が見たのはどこにもない彼女の家だった。
先ほどまであったものが忽然と消えている。
そしてハルト王子が、
「そうか、こうすればいいのか」
そう呟いたと同時に……私達は、先ほど捕らわれたのと同じ場所に立っていたのだった。
周りを見回すと先ほどの風景とそして、笑う白い女が目の前にいる。
だが白い女は私達の方を見ていないようだ。
「ハルト様はやはり素晴らしい方ですわ。すぐに力の使い方を理解されましたもの」
「……そうだな。だが、この力はお前たちのためには使わない」
「そうなのですか? 残念ですが……でも、その力が“どのようなもの”かお判りでしょう?」
「……」
「そのような力が、周りに受け入れられるとでも?」
それにハルト王子は沈黙した。
白い女が嗤う。
だが私はすぐに、ハルト王子の手を握った。
「リリー」
「ハルト王子には助けてもらえたもの。その力がどんなものであれ、私達を助けてくれたことには変わりはないわ」
「……そうか」
そう私が告げるとハルト王子が嬉しそうに微笑んだ。
少し元気が出たようだ。
そこでロジェンが、
「ボクもハルトがいて助かったよ。そして~、あっちの白い女にはハルトを連れて行かせる気はないから」
「ロジェン」
「幼馴染だしね。それにこれからもボク達の事で苦労してもらおうと思うし」
「……」
「というわけでよろしく」
「ロジェン、この際だから言っておくが、その場の思い付きで俺を巻き込むな」
「え? 嫌だよ。これからもよろしく~」
そういうとロジェンは私の後ろに隠れる。
添いしてハルト王子はため息をついてから、
「そうだ。リリーもロジェンも、俺は心配だから一緒にいる」
「心配だからって何よ。……でも信頼できる幼馴染だもの。私にとってのハルト王子は」
私ははっきり告げると、ハルト王子は元気を取り戻したようだった。
そこで白い女が、
「そうですか。やはり仲間というものは“面倒”ですわね」
「リリー達に何かしたら許さない」
「そうですね、今は分が悪いので何もしませんわ。でも次はどうかしら」
「何が言いたい」
「見るものは見終わりましたしね。これから私はそこにいるロジェンという王子様のお城に遊びに行こうと思っていますの。配下の一人が捕まっているようですから。ごきげんよう」
そう言って白い女は私達の前から消え去ったのだった。
気になることは沢山あったが、まずは屋敷などの所に他の人たちがきちんと元通りに戻ってこれているかについて確認することに。
イレイズに案内されてその場所を見ていくと全て無事だった。
もう大丈夫そうだといった話をしてから、その人たちと全員別れてから、次はあの白い女のいる場所に向かう事になったのだけれど、私はこれまでの日数を考えて、
「数日かかるわね。どう考えてもあの白い女が到着する方が早い。急ぎはするけれど、間に合わないわね」
ため息をつきたくなりながら私がそう呟くとそこでミナトが、
「俺の知っている物語の展開で、実はご都合主義の魔道具が一つあるんだ。もしそれを見つけて使えれば……すぐにでも最終決戦用の城に入ることができるぞ」
そうミナトは言ったのだった。
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