(情報収集)
次の日、私達は近くの町に出ることになった。
食事をしてから目的の場所……アイスクリームのお店のある場所に向かう。
そこまでの道のりは特に問題もない。
その周辺でとりあえず待機して、私が夢見た物語と同じようにイレイズに情報を集めてもらうことにした。
するとそこでロジェンが、
「ボクもいく!」
「あなただって一応“聖女”なんだから変な聞き込みをして気づかれるとまずいでしょう」
「でもボクも情報収集したいな~」
「アイス三段重ねで手を打たない?」
「いいよ~」
とりあえずロジェンの事はアイスクリームで懐柔した。
そしてイレイズやミナトの分もアイスクリームを買うことになったが、イレイズが、
「あの、仕事中ですが」
「食べるのも仕事のうちよ」
と言って適当に命令をして、アイスクリームを選ばせた。
とりあえず全員分購入して、私はイチゴとミルクの味が楽しいアイスクリームを堪能する。
そこでハルト王子のアイスが、いつものようにチョコミントだと気づく。
「ハルト王子はこの味が好きよね」
「そうなんだ。アイスクリームを見るとついこれを選んでしまう」
「昔は一口分けてもらったりしたものね。……懐かしいな」
「そうだな。あの頃からリリーはおてんばで活動的だった。ロジェンと一緒になって走り回っていたから……あの頃は、二人を追いかけまわすのが大変だったな」
「そうなの? ……今は、私はいつも二人の背中を見ているような気がするわ。足が遅くなったのかしら」
そう冗談めかして言いながら、私は最近ふと思う事をそう告げる。
大人になる、という事に対するちょっとした……不満のようなものかもしれない。
特に私は答えを期待していたわけではなかった。
ただその言葉にハルト王子は少し黙ってから、
「足が遅ければ、“捕まえやすい”か?」
「……ハルト王子に怒られやすくなってしまったわ。どうしよう」
その答えに私は真剣にもう一つ可能性について考えてしまう。
これから昔のように何か悪さをしたら、すぐにハルト王子につかまってしまうだろう。
何かをする前であってもそうかもしれない。
大人になるのは悲しいわ、と心の中で思っているとそこでミナトが、
「ちょっと失礼、隠れさせてくれ」
そういって私達の間に紛れ込む。
どうしたのだろうか?
私がいぶかしんでいるとそこで、美少女の冒険者三人組という、周りの目を引くそんな女の子たちが歩いていく。
周りとは異質な雰囲気を持つ彼女たち。
この辺の人なのだろうかと思っていると、彼女たちは愚痴るように、
「ミナトのやつ、ここにいるかな~」
「いるんじゃない? あんなに怪奇現象に関する話を集めていていたし、白い女を探していたし」
「そうですね、今度こそ見つかるといいわ。……私達を置いて逃げるなんて、ミナトはいけない子ですもの。今度見つけたら……私達で逃げられないようにしましょう」
「いいわね、私達さん人のものでいいか」
「お互い協力した方が手に入りそうですものね」
「抜け駆け禁止ですわ」
そう三人の少女たちは話していた。
そこはかとなくミナトが小さく震えていた気がするが、彼女たちは“ミナト”と呼んでいた。
知り合いなのかもしれないが、不穏な言葉が聞こえた気がする。
だから私はミナトに彼女たちの姿が見えなくなってから、
「ミナト、彼女たちは知り合い?」
「……この世界の俺の仲間だった人たちだ。だが今は、関わりたくない」
「そうなの?」
「確かに命のかかった戦いでも彼女たちとは戦ったが……最近全員の様子がおかしいんだ」
そうミナトが呟いているのを聞くと、私は、
「白い女関係?」
「関係があるのか? そのせいであいつらおかしくなっているのか?」
「どんな風におかしくなっているの?」
そう問い返すとミナトは少し黙ってから、
「俺のことが“好き”と言ってきて、束縛しようとしてくるんだ」
「……それは文字通りの意味しかないのでは」
私がそう突っ込むとそのままミナトは頭を抱えてしまった。
どうやらこの世界で彼は、モテモテになってしまったらしい。
先ほどから二次元んだったらモテるのもハーレムもヤンデレもいけるのに何で現実だとこうなんだとか、ぶつぶつ言っている。
持ったら男の人は嬉しいものなのかと私はおもっちたが、少し違うらしい。
そんなミナトにロジェンが、
「ねえ、どうやってそんなに女の子にモテたの?」
「普通に助けたり手つだったりしたら、こうなった」
「! ボクだってそういった事をしたのに女の子にモテない!」
「それは今お前が女の子だからだ」
「そんな! ボク百合ハーレムも作りたかったのに!」
そう悲鳴じみた声を上げるロジェンにミナトが、
「……がんばれ」
「……僕を女体化した責任をミナトに取ってもらおうかな~♪」
「俺は悪くない俺は悪くない俺は悪くない俺は悪くない」
ミナトが別の意味で頭を抱えたのを見ながら、とりあえずこの二人は放っておこうと決めて、ハルト王子に私は、
「この白い女の件が終わったら、本当に休暇にできるかしら。その時はまたハルト王子の別荘にお邪魔していい? ロジェンと一緒に」
「もちろん。それでまた三人で遊びまわりたい」
「そうね……頑張りましょう、うん。あら、イレイズが戻ってきたわね」
そこで戻ってきたイレイズに、私達はその消えた屋敷の場所について話を聞いたのだった。
他人事消えた屋敷は五つあるらしい。
そのどれもがここ一か月であった出来事のようだ。
そしてそれぞれの家に共通点はなかったらしい。
「怖いわね~、と言っていましたがそこまで全員危機感がないのか、全員が快く話していただけました」
といって、イレイズから話を聞いた私達。
ただ、突如家々が崩れ落ちて砂の山となり消えた、といった程度の情報しかない。
後は場所についての話だろうか?
地図を用意してもらってそこにイレイズの話にあった場所を印をつけていくと、
「私が“夢”で見た場所とすべて同じね。後はどういう順番で見ていけばいいのかだけれど、ミナト、どの順番で見ると“罠”が発動するの?」
「そうだな……書いていいか?」
そういって鉛筆で矢印で書いていく。
この順番だといけないというものだったが、
「星のマークになるのね」
「そうだな。そしてこれが起動条件でもある。それで、どうする?」
「目的通りにならないよう回っていくわ。それで、一つ聞いていい?」
「なんだ?」
「ここの屋敷の人たちはどうなったか知っている?」
「……確か砂に埋もれるように骨になっていたから、前と同じように生き返らせられるはず。この場所全てが、白い女の配下だから立地条件がいい場所でも誰も手出しをしないし踏み込んでこない状況だから、まだ見つかっていないはず。俺の知っている話なら」
そういった話を私はミナトから聞いて、とりあえずはまた私の力で生き返らせられるのかと安どする。
やはり、誰かが傷つくのも死ぬのも嫌だ。
そう思いながら私は、さっそくイレイズに案内されて動いていく。
イレイズの集めた情報は結構あり、家がどういった物で中の住人がどういった人たちで何人家族だったのかまで詳しく説明している。
まじめな人材が手に入ったわと私が思っているとそこでハルト王子が眉を寄せる。
「どうしたの?」
「いや……何でもない。少し“懐かしい”ような気配を感じたから」
「そうなの。もしも体調が悪いのなら……」
「大丈夫だ。リリーとロジェンの二人を放置できないし」
そうハルト王子が微笑む。
だから私は、ハルト王子を頼る事にする。
だからきっとただの気のせい……そう私は思う。
きっと私はそう思いたかったのかもしれないと後になって気づく。
でもそれは、この時まだ、気づいていなかったのだった。
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