二度寝
相変わらず夢は、奇妙な光景に見える。
“私”と“ロジェン”が会話をしている。
でも……夢の中でハルト王子は存在感がほとんどない。
私にとって大事な幼馴染である彼は、この世界では空気そのものだ。
今回いる街並みは……微かに見覚えのあるものだった。
昔、ハルト王子の別荘に来た時に見覚えのある建物が描かれている。
ここは……。
そう思って目を凝らしてよく見ると、どうやら私達はアイスクリームのお店の前にいるらしい。
誰が食べようといったのかは分からないがそこにいる。
そこでロジェンが、
『イレイズが聞き込みをしてくれているはずだよ』
『そうね。彼はいろいろな人から話を聞くのがとてもうまいものね。きっと消えた館の人たちの話を手に入れてくれるわ』
『うん、でも驚いたよ。この街にこんなに、消えた家があるなんて』
『五件は多いわよね。それらをこれから見て回るのだけれど、場所がすべてわからないのが、ね』
『うんうん、それでイレイズに聞きに行ってもらったんだよね。でも大丈夫かな?』
『なにが?』
『う~ん、秘密を探ろうというものは、消す、みたいな?』
『ロジェンにしては過保護ね。でもそんなことをしようとすればすぐに魔力を探知した私達“聖女”がそちらに向かうわ。そんな危険を、あの白い女たちがするかしら』
『ああ見えて用心深いからね。ボクも散々追い掛け回したけれど、よく見失ったし。本当に面倒な相手だよ』
『でも、倒さなければならない敵であるのは事実でしょう? これからも頑張らないとね』
『う~、でもイレイズは大丈夫かな? ああ見えて白い女に気に入られやすいし』
『出会ったのが操られていた時だからって、それはないと思うわ』
『でも心配でたまらないんだよね』
『ロシェはイレイズが大好きだからね』
『うん。でも最近思うんだ、ボク』
『何が?』
『ボク、イレイズの事が“異性”として好きなんじゃないかって』
そこまでの映像を見た私は、あまりの衝撃発言にベッドから飛び起きたのだった。
悪さをしないようにと私はロジェンの隣で寝ていた。
空は明るい。
すでに朝になっているらしいが、
「……今、すごいことを聞いた気がする。え? 待って、ちょっと待って」
私はひとりそう繰り返し、頭を抱えそうになった。
ロジェンは私の婚約者……今は元婚約者で男で、今は女体化しているだけだ。
それで男であった時の癖が抜けきれないのか、自分の胸を時々もんで喜んでいたりする……ダエな感じになっている女好きな少女……。
この時点でもあれだが、先ほどの発言だと中身まで女の子になりかけているのでは。
「……変なものを見たから、マップなどを見落としたわ。……もう一度寝よう」
私はそう思って二度寝する。
続きが見えますように、と私が思っていると、
『え? 本当に好きなの?』
『冗談だよ。だってボク女の子が大好きだし。気に入ってるだけ。あ、イレイズが戻ってきたよ』
そこで次はどこに行きますかといった地図が示されたのを見て……私は、二度寝から目を覚ましたのだった。
評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。




