新しい仲間
イレイズが言うには、アザーカスの村の近くに大きな屋敷が消えたらしい。
その村の事ならば私は知っている。
ハルト王子の別荘が近くにあるからだ。
だがあの周辺の貴族に関しては私も知っているが、
「そんな話聞いていないわ。ハルト王子は?」
「俺も聞いてはいない。……そもそもそんな話があるのならばリリーを俺の別荘に誘っていない」
「そう……ね。……あとはただの噂だった、と考えてもいいけれど……そうであればいいけれど、一度見にいって確認しましょうか。それで何もなければただの噂。そしてもしも真実なら……どうしましょうか」
私はそう呟く。
確かにそちらに行って確認しても、もうしばらくその事件が起きてから日数がたっている。
となるとその周辺を探しても意味はあるのだろうか?
そう私が考えてみるとミナトが、
「それは行ってから考えればいい。今考えても分からないことだからな」
「そう。それもそうね。……何かが起こることになっているの?」
「……リリーの夢が優先だ。ただ俺が知っている物とリリーがみているものは違うかもしれないからその齟齬も一応は確認しておきたいから今はあまり話したくない」
「……そうね、そのあたりも確認しないとね。やることが多くて疲れるわ」
そう私は呟く。
まずは私の能力の関係もあるから……とりあえずはハルト王子の別荘に向かうことになったけれど、そういえば、
「イレイズ、貴方はこれからどうするの?」
「これから、ですか?」
「そうよ。用事は一通り済んだから、もう帰っていいのだけれど」
「……操られて攻撃した件は」
「操られていたのだから仕方がないわね。それだけよ」
「……罰などは」
「ハルト王子、彼は貴方の国の人だけれど、どうする?」
そこで私はハルト王子にそう話を振ると彼は、
「俺からは特に何もない。特に怪我をしたわけではないからな」
「そう、ですか……」
「……だが、一般人か」
ハルト王子がそこで何かを思いついたかのように呟いて、
「その噂関係の話などの情報収集……市井の話なども聞きたい。もしくは、誰かと交渉などもして聞いてきてほしい。できれば直轄の一般人はひとりいた方が、今後の動きを見やすいのでは?」
「なるほど、確かいそういった人物は欲しいわ」
「そういった理由で、もちろん報酬は支払うが……しばらく我々と来てもらえないだろうか」
そこでハルト王子がイレイズにそう話しかけるとイレイズは、
「よろしいのですか?」
「ああ。もし嫌であれば断ってくれんてもかまわない」
「いえ! ハルト王子にお仕えできるとあらば」
そうイレイズは答える。
どうやら協力はしてくれるらしい。
良かったと思いながらふとある疑問を思いついて私は聞いてみる。
「そういえばどうしてあの白い女は、貴方を“素材”にしなかったのかしら」
「……生きている人間が一人いた方が都合が良くて、そして……なんでも彼女の誘いに乗らなかった唯一の男だからだそうです」
「そうなの?」
「ええ。職務中でもありましたから」
そうイレイズは答えたのだった。
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