まだ気づかない
情報を交換しようといった話になったが、戦闘をしていたこの屋敷にいつまでも長居をするのも嫌だし、腰を据えてゆっくりと話す必要がある。
こうやって落ち着いてみると骨がそこら中に散らばっているという状況であり、これはこれでぞっとする。
と、言うよりも、
「これを癒すにはどうすればいいの?」
そう私はミナトに聞いた。
彼が言うには、とある魔法を使えばいいという。
「“聖女の祈り”という魔法があったはずだ。確かそれを使うと、この骨になった人たちは全員が生き返る」
「そうなのね……分かったわ、この魔法ね」
どの魔法かを聞くと、自然と私の中でその魔法についての記憶が思い出されるかのように現れる。
不思議な感覚を私が覚えているとそこでミナトが、
「……俺がいることで、幾つかフラグが折れているのか? それで出てこないのか?」
「フラグ?」
「こっちの話だ。それに関してはこちらでサポートすればいいか。ああ、それと、その魔法を使うのはこの屋敷を出てからの方がいい」
「どうして?」
「生き返った人たちに説明するのは面倒くさいだろう? 後は自力で帰ってもらおう」
そうミナトに言われて、そういえばこれだけの人数……と気づいた。
確かに説明したりは大変そうだが、
「村に行く方の看板はあるし、村までは簡単にたどり着ける。この人たちが巻き込まれた話をすると聖女関係の話もしないといけないし……確かにかかわらない方がいいわね。でもこの屋敷の罠は危険ではあるけれど……」
「あの白い女という魔力供給源が無くなったのだから全部消えてる」
「そうなんだ……だったらまず外に逃げましょうか」
そういった話をして、ハルト王子にも声をかけようとして……そこでハルト王子がやけに顔色が悪いのに気づく。
「ハルト王子、どうしたの? 大丈夫?」
「あ、ああ……大丈夫」
「どう考えてもそんな顔をしていないわ、見せて……とりあえず治癒系の魔法をかけるわ」
そういって私は回復系の魔法をかける。
ほんの少しハルト王子の顔色が良くなったが、
「あの白い女が何かをして言ったのかしら」
「それはないと思う。俺にも魔法抵抗力もあるし、それに魔法をかけている様子は見えなかった。……あの女が俺を気に入っているような変な言葉をかけてきたから、気分が悪くなっただけだ」
「そう? 確かに……でもどうしてあんなことを言ったのかしら」
「リリーが聖女であるから、幼馴染である俺を揺さぶっただけだろう。悪辣な手を使う」
そうハルト王子は怒っていたが……私は妙な胸騒ぎを覚える。
本当にそれだけなのだろうかという不安。
でもきっとハルト王子の言う通りなのだろうと私は、納得しようとした。
けれど後にそれが、真実だと気づく。
あの時の私の悪い予感は当たっていたと。
どうしてあれほどまでに白い女はハルト王子を気に入っていたのかを知る事となる。
けれど今は、どうにか倒したあの白い女に対する高揚感に包まれていたためかもしれない。
そのことに私達は何も気づいていなかったのだった。
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