化け物
その言葉に私は首をかしげる。
「今、見えるようになったの?」
「そうなんだ。でもどうしてだろうね? ……この屋敷自体に何か、秘密があるのかな?」
そうロジェンは言って、笑う。
反対に白い女は表情を消した。
こうされるとこの美貌も不気味だ。
だが先ほどちらりと見えたそれとロジェンが見えたそれは同じものであるらしい。
どうしてそのような差異が出たのか。
私がそう考えていると白い女が、
「やはり“聖女”が油断ならないわね。様々な罠をしいておいたというのに、時折効果が消えるとは思わなかったわ。……強化しましょう」
呟いた白い女。
同時に周りの光景が一瞬だけ揺らぐ。けれど、
「……特に変化はないようね」
「そんな……回復能力が異様に高いのも特徴だったわね。手下たちに魔力を私は先過ぎたか……でも、もう、ここでお前たちを……素材にするか傀儡にするか、戦ってみた様子で決めましょう。どのみち、まだ聖女としての能力全てを、その聖女は気づいていないようだもの」
そういって私の方を見て笑う白い女。
ぞくりと背筋が総毛だつ。
この表情には覚えがある。
見たことのあるこの姿、そう、ロジェンを殺したと思っていたあの頃のミサという女の笑顔によく似ている。
まるで、同じ型に入れて作られたような、そっくりな存在。
けれど自分は相手とは違うと主張する。
それはとても奇妙なものに思える。
そう思っていた所で、声がした。
「うがっ、うううっ……がっ」
「あら、支配を少し強めたらこんな反応……つまらないわ、このまま意識が完全になくなったら本当に“素材”にするしかないわ」
「ぐがぁ……」
そこで、先ほどまでいた彼が、ハルト王子に切りかかった。
まず一番近くにいる白い女の敵を排除しようと思ったのだろう。
血走った目でハルト王子を見ている。
その様子に白い女が嗤った。
「ダメな子ね。そんな風に勝手に動いて。でも、ほどほどに弱体化をしておいてくれたら、生かしておいてあげるわ」
そう白い女が囁くように言う。
そしてハルト王子との剣と剣がぶつかり合う戦闘の音がする。
そちらに気をとられかけた所で、白い女が手を上げる。
同時に私たちの頭上に光の魔法陣が浮かぶ。
呪文はない。
完全に油断をした、そう私が思っているとそこで、
「はあ、ほいっと」
そこで白い女が生み出した光の魔法陣だが、すぐ下に別の光の魔法陣が浮かぶ。
白い女の魔法陣から幾つもの雷のようなものが降ってくるものの、その白い光の魔法陣で押さえられている。
金色の光が頭上ではじけていて、耳が痛くなりそうな音が繰り返されている。
と、ミナトが、
「油断しすぎだ。意識をそちらに持っていくように何かをしているのかもしれないが、もう少し態勢を上げてくれ」
「ご、ごめんなさい」
「謝るよりも攻撃攻撃」
そう私はミナトに促されて、私は攻撃を開始する。
ロジェンもあわてて呪文を唱えて白い女に向かって攻撃を仕掛けた。
そこで白い女はミナトの方を見て、
「やはりお前は化け物だ」
「そうあなたに言われると自信が持てるな~」
と、ミナトが余裕で返したのだった。
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