怪しい人物
部屋の壁が広くなった分、こちらも攻撃をしやすく、見通しもよくなっている部分もある。
だがそれ以上にこちらに流入する敵も増えている。
とはいえ、この謎の人物、ミナトの攻撃だけでなくロジェンやハルト王子の攻撃もこの骸骨たちに次々とくわえられている。
今のところこちらが優勢ではあるけれど、
「いったいどれくらいいるのかしら、これ」
そう呟きながら私も、三人をサポートするために後ろから攻撃を仕掛ける。
三人の動きを見て、邪魔にならない範囲での攻撃を繰り返す。
そうしてみてみると、確かにミナトは戦うのに微妙に慣れていないようにも見える。
反応はわずかに遅い。
でもこれだけ戦えればある程度は十分ではある。
そう思いながら私は先ほどのミナトの言葉を頭に浮かべる。
“常識の通用しない存在”。
だが私達にとって“常識の通用しない存在”というと、この白い女といった生き物たちだ。
不気味で奇妙な力を持つ、私達の“敵”。
けれどこのミナトはこの白い女たちとは敵対しているようだった。
演技と考えてもいいけれど、この様子ではそれはない気がする。
そう私は思いながらさらにハルト王子の援護に今度は回る。
先ほどから、剣で次々と倒しているが時折……頭痛をこらえるかのような様子が見て取れる。
どうしたのだろう?
あの白い女が何か仕掛けて言ったのだろうか?
不安が私を襲って、私はハルト王子のステータスを様子見する。
特に問題はないが、精神的に少し参っているようだ。
この骸骨集団と率先してたたかっているのだから、こう見えて繊細な所もあるハルト王子には大変なのかもしれない。
私はそう思いつつ、少しでも負担が軽くなるように攻撃を開始する。
攻撃系の魔法も、貴族令嬢のたしなみ程度に覚えておいているのだ。
もっとも、ロジェン達と昔は一緒に走り回っていた関係で、そういったものを覚えてきた部分もあるが。
そうして倒していくと段々に骸骨の怪物たちの人数が少なくなってくる。
どうやらこの辺りで打ち止めであるらしい。
あともう少し、そう思いながらも更に私達は攻撃を繰りかえす。
体力や魔力などが目に見える程度で減っていくので、どの程度攻撃すればいいのかが分かるのは都合がいい。
こんな能力が“聖女”にあるとは知らなかった。
だがこれを指摘したのはこのミナトなのだ。
いったい何者なのだろう?
私よりも“聖女”についての知識を知っている気がする。
それに女体化したとはいえ、ロジェンを治した謎の力。
この攻撃魔法の威力。
すべてにおいて怪しい人物だ。
しかも神様関係の話を一部していたが……今回の白い女との会話では認識に齟齬があるらしい。
神殿との関係者であるのだろうか?
けれどそういったものであるならこんな奇妙な能力を持つ人間は、私は聞いたことがない。
だめだ、やはり分からない。
彼の口からある程度……嘘も含めて話を聞かないといけない。
そう私が考えていた所で、最後の一人である剣を持った骸骨をハルト王子が切り伏せたのだった。
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