この世界の“常識”から外れた
魔法陣が赤く輝いた瞬間に、目の前炎の大きな塊が見えた。
だがそれは次の瞬間放たれて、周りの壁事ドアが吹き飛んでいく。
悲鳴……とも取れるような何かが折れたり壊れたりしているような音が聞こえた。
先ほどの骸骨の化け物が沢山一緒に倒されたのかもしれない。
この豪快っぷりは、ロジェンと共通点があるような気がする。
そう思いながらもそこで私は、
「……もう少し手加減は出来ないのかしら」
「これくらい圧倒的な火力でやらないと倒せないからな。……逃がした後の被害と報復を考えると必要だ」
「……」
「それに俺はもともと戦闘関係には従事していない。だから基本的なスタンスは、圧倒的な火力と力でねじ伏せるのが俺の戦い方だ」
「これだけ力があるのに、戦闘の訓練を受けないの?」
私はこのミナトの言葉を聞いて疑問に思いそう聞く。
魔法の才能は幼い頃にある程度決まってしまう部分もあるので、これだけの力があるのであれば……早い段階でそういった教育がなされるはずなのだ。
しかもこのミナトという人物は強い力を持っている。
攻撃の魔法を今見れば、そちらの方にも適性があるのが分かる。
それならば……ごくまれに後天的に覚醒するものもいるが、早い段階で戦闘に関する教育がなされるはずなのだ。
力の強い魔法使いであるならばなおさらである。
そうでなければ……危険だからだ。
自身の力を知らずに利用されてしまうことも考えられるし、それに早めに集めることで自国の力を強くすることができるのだ。
だから早い段階で能力を見極める必要がある。
それに、魔法の習得であっても本来であれば一朝一夕でどうにかなるものではないのだ。
制御も含めてたゆまぬ努力の結晶、それが魔法を使えるという事なのだ。
そして彼の使った魔法は、上級魔法に分類される強力なもの。
それをいともたやすく使って見せたのだ。
確かに私達や……ロジェンのような、魔法に関してある程度の天才性を発揮する人間がいるとはいえ、訓練の中で戦闘に対してのものが必ず経験させられるはずなのだ。
だからミナトの言うような、戦闘に従事していないという事はあり得ない。
どこかに嘘があるのだろうか?
これだけの力を持っているのにそれを隠そうとする……一番ありそうなのは、隠さなければならない探られては困る事情があるから、だ。
例えば母国を追われるようなことをしでかしたといった物。
けれどそういった話ならば、危険な部分も含めて話が流れてきそうだが、これだけの力を持つ人間が出奔したといった話は聞かない。
ではいったいどのような理由で、こんな人物が旅をしているのか。
そう私が思っていると彼は、
「俺が怪しいと思っているのか? 今の話にこの世界の“常識”から外れた何かがあったのか?」
「……ええ」
「そうか。でも俺は……ここにいる人たちの中で一番“常識の通用しない存在”だ」
「どういう意味?」
「それに関しては、この件が終わったら大体は話す」
そうミナトが答えた所で、ロジェンとハルト王子が更にこちらの方に流入してこようとした骸骨たちと戦闘を始めたのだった。
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