彼女の考え
白い女が楽しそうに笑いながらそんなことを言い出した。
気色が悪いのを通り越して、なんだこの存在はという感想が私の中に浮かぶ。
けれど同時に彼女は、
「……見た目でしか判断していないの?」
その問いかけに白い女は初めて目を瞬かせて不思議そうに私を見た。
どうしてそういわれたのかが分からないといった風な表情だ。
だが私としても、どうしてそれが分からないのかが、私には分からない。
考えも思考も違う、“人の形をした何か”。
けれどそれは普通に生活をしていてもそういったことがある。
どうしてそんなことが出来るのか分からない“人間”や、まったく違う考えで動いている“人間”も多々いる。
それは時に新しい視野を私たちに与えてくれることだって、私は知っている。
けれど……ここにいる彼女は、そういった違うものであっても望ましくない、存在を許されない類の違う考えだ。
不気味なそれを見るような気持ちになっているとそこで白い女が、
「見た目以外で何が判断できるというの? ああ、なるほど、社会的な地位といった人間の“ルール”のお話? 残念だけれど、私は“人間”ではないから、それにいかほどの価値があるのかは分からないわ。ただ、利用できそうだから使っているけれど。でもそれも見た目の一つでしかないでしょう?」
「……そんな話をしていないわ」
「では何の話をしているの?」
「中身の話よ」
「? 若いかどうかという事? 若い肉体の方が確かに男には魅力的に映るかもしれないわね」
「……違うわ。もっと、気持ち……優しさとか……」
「それはただあなたがそう思っただけ、そう感じただけ。その人にとっては優しいという意味にとらないのかもしれないでしょう? 結局あなたたち人間が見ているのは外側だけ。それに講釈を並べ立てているだけ。その人物になったわけでもないのだから、わかるわけないでしょう? それとも“聖女”様は他の人間の思考が読めるの? 心が読めるの?」
「無理よ」
「では、結局は外側しか見ていないの。そこにいる男たちと同じね。私の見た目だけで近づいてくるもの。ほんの少し微笑んで囁いてやれば簡単に騙される、ウケル」
そういって笑う白い女の醜悪さ。
気持ちが悪いと思っているとそこで私の視界がゆがむ。
白い女の顔が、ぐにゃりとゆがみ、ドロリと液体のように垂れ下がっている。
凍り付くような……それこそ“死体”のようなそれを私は一瞬見た。
そこで白い女が笑みを消した。
「今……何かを見た?」
「……とろけた顔」
「……やはり“聖女”の力は侮れないわ。抑え込んでいるはずなのに時間が増すと、それがきかなくなっていく。早いうちに抑えないといけないわね」
白い女がそう告げた所で、金属と金属のぶつかるような音がした。
ハルト王子とその白骨化した男の剣が重なったらしい。
そしてそれに気をとられた瞬間、白い女が宙を飛んだ。
白い服とか身が白くひらひらと浮かび上がり、さながら白い幽霊が宙を飛んでいるようだった。
そしてそのまま部屋の外に出てしまった彼女。
「しまった、逃がしてしまった」
「あ~そこの、たしかリリーだったか? 今はあれを追うよりも子にいる骨を彼女の支配下から解放して、“聖女”の力で“復活”させる方が先じゃないのか?」
そこで、ロジェンを女体化させた人物がそう言いだしたのだった。
評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。




