あなた好みの
白い骸骨が、幾つもまるで生きた人間のように立っている。
頭蓋骨には目がないのに、目のあった部分は私達をうつろにこちらを見ている気がする。
そんなはずはないしそんなものはないはずなのに。
けれどバラバラなはずのその骨は人の形を作り、手には武器を持っている。
それの持つ“悪意”は私達に向けられている気がする。
いえ、絶対にそう。
“聖女”の感覚が弱められているとはいえ、“邪悪な感情を持つ視線”、つまり、こちらに対して“攻撃的な視線”はこれほど地下kぇれば私も感じ取ることができる。
“聖女”用にどのように仕組まれているのかは分からないが、こうして対峙した状態ではそれを特に感じる。
そう思っていると白い女が、
「私の下僕たち。けがらわしい“男”ではあるけれど、この程度の使い道はあるわね」
その言い回しを聞きながら私は、
「ここにいるのは、“男性”なの?」
「ええ。私に近づいてきてほんの少し相手をしてやれば簡単についてきた“男”よ。自分が死んだかどうか気づかない状態の方が、こうやって操りやすいから、“生きた男”をこうした方が都合がいいの」
私の問いかけにこの白い女は、楽しそうにそう答える。
けれど私はそれを聞いて、おぞましさに気分が悪くなる。
白い女がこんな表情をして平気でいられるのが更に醜悪なものに感じる。
悪意に満ちたそれに私は、気持ちの悪さを感じる。
けれどこの白い女はそれが“酷い事”だと分かっていないのだ。
どうして彼女はそんなことをするのかと問えば、きっと、使えるからといったような回答しか得られないだろう。
罪悪感も何もない人間にこちらが言ってもよくわからず、それどころか彼女は一笑するだけだろう。
けれどこれだけは言える。
「あなたが男をけがらわしいというけれど、貴方自身がそんな風に醜い性根をしているから、そんな男しか近づいてこないとは思わないの?」
「……あなた、見かけは美人だけれど反抗的で可愛くないわ。やはり“聖女”名だけあるわね。残念だわ……不愉快だから、貴方を生かしておいてあげる選択肢はなくなったわ」
「初めから私を殺そうと思っているような発言もあったけれど?」
「私は気まぐれなの。なのにそんな私のご機嫌を損ねるのは、よろしくなくてよ?」
そういって笑う白い女。
支離滅裂なように見えるものの、“聖女”と敵対し、同時にハルト王子の方を気になるようにちらちらとみているあたり……ハルト王子は気になっているようだ。
この白い女たちにとって何か目的があるらしい。
でも、渡さない、そう私は思う。
かれは私にとって大切な“幼馴染”であり“友人”なのだ。
そして私には今力がある。
だから、必ず……そう私が思っていると白い女がいいことを思いついたというかのように、
「そうね、貴方様はこの“聖女”がお好きでしたわね。でもこんな反抗的で口の悪い女は貴方様にふさわしくありませんわ。それならば……皮をはいで中身を入れ替えましょう。それで、見た目はあなた好みの従順な“女”ができますわ」
そういいだしたのだった。
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