怪物
ここが異世界なのだろうかと突如現れた彼はそう呟いたがそこでハルト王子が、
「突然現れて……以前もそうだったが、お前は何者だ?」
「……あ~、今話さないといけないか?」
「後で逃げずに話をしてくれるならそれでいい」
「じゃあ、それで」
短く新たに表れた人物と一緒にハルト王子は会話をして、目の前の白い女に顔を向ける。
白い女はそこで……いつもの微笑を消した。
表情が崩れるような醜悪な顔に豹変する。
「またお前か」
「ほんとうだよ。もう二度と会いたくないから今すぐ消えてくれ」
「あなたが消えればいいのよ。どこまでもどこまでもどこまでも追ってきて……何なのよお前は」
「とりあえず悪い奴を倒したらどうにかなりそうだから追っているだけだ。というか、あれを倒したら次のステージ、らしいからな」
「お前の言っていることはいつも分からない」
「俺自身がよく分かっていないんだから聞くなよ」
そう返すと、目の前の白い女が、
「“聖女”よりもたちが悪い。強い力を持つ“化け物”が……なんでこんなところに」
「本気でお前らを抹殺しようと思ったんじゃね~の。面倒な目に合わせられて、うんざりしていそうだしな」
「……誰が?」
「この世界の“神様”かな?」
「そんなものがいると思っているの? ただこの世界が特定の形になるように作っているだけの分際に、“意志”も何もないわ。むしろ私達の敵たる邪魔な存在よ」
「……なんか認識がずれている気がするがまあいい。どうせお前は倒すし。そもそも“人間”ですらないからな」
そう告げた彼の言葉に私は、君の悪さを覚える。
まるでこの世界の事の多くを彼は知っているように見える。
しかもこの余裕はいったい何なのだろう?
そう思っているとそこで白い女が、
「でもこちらには人質がいるわ。この二人に手出しできるのかしら」
「人質? 人質ね……その程度の拘束で、そちらの二人はどうにかできたと? 見ろよ、もう外しているぞ」
「え!」
そこで白い女が焦ったように振り返る。
それから彼は、青い板状の光の板を呼び出して触れる。
即座に魔法が発動して、風が巻き起こる。
鎖が枷ごと砕け散るのを私は感じた。
大きな音とともに、私達の自由が再び戻る。
そこで白い女が、
「だましたわね?」
「おう、でも結果として救出したからそうなったという事で」
「この……やはりここにいるのなら、お前は……“聖女”事消す。そして貴方様には……その記憶を忘れていただきますわ」
そう告げた白い女がにたりと笑う。
同時に周りの空気が凍り付くように冷たくなって……かしゃんと何かが落ちてくる音が聞こえた。
この屋敷全体から聞こえている、硬いものが地面を打つ音。
それがいくつもいくつも足音のように聞こえてくる。
いったい何がこの部屋に集まってくるのだろう……そう思っているとそこで、それは姿を現した。
「ひいっ」
思わず私は悲鳴を上げてしまう。
だって、そこには、人間の“骨”がまるで私達のように立っていたのだから。
評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。




