どういう意味だ
白い女が吐き捨てるように、男は使えないと呟いていたが、私はそれよりも気になる言葉を聞いた気がした。
そう、それは、
「“まだ”生きているってどういう事?」
私は気持ちの悪い思いを抱きながら、そう、白い女に問いかける。
それに彼女は笑い、
「その言葉通りの意味ですわ。男なんて醜悪な生き物……ああ、そこにいる方のみは違いますが、存在の価値などまったくありませんもの。どうして世の女性たちはあんなものに恋い焦がれ、共に居たいと思ってしまうのか全く分かりませんわ」
「……どうしてそんなに男が嫌いなの?」
「私が存在した時から“嫌い”なものは“嫌い”ですの。とはいえ、生身の男がいた方が、“事”を運ぶのに“便利”であるから生かしておいてやったというのに……こんなに使えないのであれば、“素材”行きだわ」
「“素材”?」
不穏な言葉を私は繰り返すと白い女が嗤う。
「いけないわ。私としたことが自分の手の内を敵にしてしまうなんて。でも、知ったところで貴方方がどうにかできるものでもないし、関係もないものね」
そういって白い女の手が私の頬をなでる。
冷たくて背筋がぞわりとする。
気色が悪い。
そう思って私がにらみつけると同時に、銀色の鋭い刃が白い女に向けられた。
ハルト王子の持つ剣が、白い女の首近くに向けられている。
そして彼の瞳もまたにらみつけるように白い女を見ている。
それに白い女が嗤った。
「そんなにこの“聖女”が貴方様には大切なのですか? 貴方様の“敵”であるのに」
「……何の話だ」
「ご存じない? 気づいていない? まだ……目覚めてもいないのかしら。残念だわ。目覚めていれば私の言っていることが分かると思いますのに……いずれ、気づいていただけると信じておりますわ」
白い女は剣を向けられたままだというのに、歓喜に震えるようにそう笑顔で語る。
わざと私達の不安をあおるようにそう告げているのかと思いたいが、これが本当にただの演技なのだろうかと私は思う。
きみの悪さを感じる。
と、誰かが階段を駆け上がってくる大きな音がした。
急いで駆け上がる音を聞きながら、こんな場所に誰が来るのだろうと思っているとそこで、大きく扉が開かれた。
「ここか!」
そういって現れた人物は私の知っている人物だった。
“聖女”としての能力などについて話してくれた人物だった。
どうして彼がここに? そう思っているとそこでロジェンが彼に気づいて、
「あ、ボクを女体化させた人!」
「……俺は悪くない俺は悪くない俺は悪くない」
ロジェンの言葉に、やけに反応したその人物はそう叫んで、その場から逃走しようとしたのだが、近くにいたハルト王子が彼の腕をつかんで、
「事情を知っているのなら話が聞きたい。そしてあそこにいる女を俺は倒したい」
「……どうして君がこの場にいるんだ?」
そこで現れたその人物は、不思議そうに聞いた。
それにハルト王子は、
「どういう意味だ?」
「……ただのモブだと思っていたが、どうしてここにいるのかと思っただけだ。……やっぱりここは異世界なのか? そうだろうな……」
といったように、彼は嘆くように言ったのだった。
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