可愛がってあげるわ
この世界の“楔”と私達“聖女”の事を言った。
でもロジェンの感覚は、“聖女”の物と違う気がする。
これはいったいどういう事なのだろう? そう私が思っていると目の前の彼女が、
「でも貴方は、“聖女”であることを除けば完璧に私の好みだけれど、残念ね。あの方が気に入っておられるものに手出しを出来ないのは残念だわ。でも、あちらの子に手出しはしてもかまわないわね」
そう言って、この“偽聖女”は楽しそうに笑いながら、ちらりとロジェンの方を見る。
ロジェンはまだ目が覚める様子がない。
そしてロジェンの方は私と同じように拘束をされているようだ。
悪趣味な高速の仕方だと私は思いながらも“偽聖女”を睨みつけながら私は、
「ロジェンに何かしたら許さないわよ」
「あら、今のあなたに何ができるというの? この拘束具は魔力を抑えると同時に貴方の動きを封じるものよ」
そういって笑う彼女に、私は悔しくなる。
現在私とロジェンは、両手を手かせのようなもので拘束されて天井からつるされている状態だ。
これでは抵抗すらもできない。
そう思ってにらみつけると“偽聖女”が私の頬を撫でてから、
「あちらの子にかまうからって嫉妬しないでね」
「誰が!」
「ふふ、貴方の悔しそうな怒りの顔、そそるわ」
そう気色の悪いことを言って彼女はロジェンの方に向かう。
それに彼女はロジェンに何をする気なのだろうと私はあせって、
「ロジェン、ロジェン、起きて!」
「ん、ん……リリー……お前」
そこで私の声に気づいたロジェン目を覚まして、“偽聖女”をにらみつける。
この人物が敵であると気づいたらしい。
すると“偽聖女”はうっそりと笑い、
「意識がある方が、可愛がりがいがあるわ」
「ボクをどうするつもりだ」
「元気がいいわ。その威勢がいつまでもつかしら」
そう笑いながら、“偽聖女”はロジェンの唇をひとさし指でなぞってから、ほほを優しく味わうかのように優しくなでる。
それに変な感覚を覚えたのか、ロジェンがびくっと震えて小さく呻く。
どことなく頬が赤い気がする。
怪しい雰囲気の中その“偽聖女”がロジェンに、
「もとは男なのに、女の子のように扱われる気持ちはどう?」
囁くように呟く。
今私はいったい何を見せつけられているのだろうかという気がしていると、そこでロジェンが歓喜に震えたような声で、
「これだ、これこそがボクが待っていた展開!」
「へ?」
私はそれを聞いて間の抜けた声を上げてしまった。
だがロジェンはさらに続ける。
「せっかく女の子になったというのに……何が楽しくて男にばかり狙われなければならないのか! どうせなら可愛い女の子と同性ならではのイチャイチャがしたい、それの何が悪いのか!」
「……」
ロジェンのことはもう放っておいていいのではないかと私は思った。
そしてそれを見ていた“偽聖女”が、笑ってロジェンから手を放し、
「私、喜ばれるよりも抵抗される方が好きなの。残念だけれど、貴方の方は放置ね」
「そ、そんな!」
「ふふ、いい顔ね。その顔が見たかったの。でも……ご褒美はあげないわ。代わりに、こちらの子の方を可愛がってあげるわ」
そういって私の方を指さす“偽聖女”。
ロジェンが私の方を恨めしそうに見る。
そうじゃないでしょうが、と私は言いたい気持ちになる。
そこで鍵が開くと同時に、大きな音を立てて扉が開かれたのだった。
評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。




