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【連載版】悪役令嬢は、偽聖女と踊らない~婚約破棄から始まる溺愛スローライフ~  作者: ラズベリーパイ@天安門事件


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探し物の一つ

 こうして鍵と回復薬を探しにとある部屋に私たちはやってきた。

 廃墟という割にはきれいに整えられた、人が生活していたであろう様子がうかがえる部屋だった。

 さて、だれが住んでいたのだろう?


「その謎の貴族というべき人物かしら? ここの部屋の主は」

「しかも女性だろうな」


 私のつぶやきにハルト王子がそう答える。

 そこで私は、地図に示されていたように、鍵を一つ見つけた。

 後は回復薬だけれどそこで私は、ハルト王子が珍しく明後日の方向を見ているのに気づいた。


 まじめな彼にしては珍しいと思ってそちらの方を見ると、ちょうどロジェンが女性ものの服の中から、回復薬を取り出したところだった。


「あったよ、リリー。これ、確か市販品ですごく魔力が回復する薬だ。いいもの見つけた。もっと何かないかな~……ぐえっ」


 そこで私は、楽しそうに女性ものの服が入っている引き出しをあさり始めたロジェンの襟首をつかんで引っ張った。

 変な声が出ていたが、この辺りは仕方がない。だって、


「ロジェン、貴方、元男でしょう? 一応はもう少しこう、女性の服なんだから……」

「え~、でもボク、今は女だし? 一部記憶喪失の間は、自分で女の子の服を選んで買ったりしたし、アルバイトで販売したり、コスプレしたりしていたから何の問題もないよ」

「……」

「それに女の子の服って、いっぱい種類があるから選んでいて楽しいんだよね。こんな服がある~、とか。どうしたのリリー、ハルト。だまっちゃって」


 そこで何も言えなくなった私たちに、ロジェンが不思議そうに言う。

 どうしたのだろうといった雰囲気のロジェンに私はため息をつきそうになるけれど、それを飲み込む。

 代わりにハルト王子に、 


「なんだか、ロジェンはこのまま女の子でもいい気がしてきたわ」

「奇遇だな、俺もだ」

「……次に行きましょうか。いくつか鍵を集めないと、目的の部屋に入れないの」

「そうなのか。……そういえばリリー、鍵などのある場所はわかっているが、ここの屋敷に入って実際にその鍵を拾ったり見つけたりした“夢”の記憶はあるのか?」

「いえ、ないわ。私が記憶にあるのはこの屋敷に突入する前の記憶だから」

「それで、必要なものはどこにあるのかはわかるのか。それで、屋敷内の魔物の位置は?」

「それは、“夢”では出ていないから分からないわ」

「なるほど、魔物の気配を感じるから、どうかと思ったが……そこは俺たちが気を付ければいいか」

「魔物の気配? どこ?」


 私は気づかずに、そうハルト王子に聞くとロジェンが、


「は~い、向かいの部屋です」

「そうだ。……リリーにはやはり一番後ろを歩いてもらおう」


 ハルト王子にそういわれてしまって、私は悔しくなる。

 どうして私だけ今は気づかないのだろう?

 聖女としてのの能力に何か異変があるのだろうか? そう私が不安を覚えているとハルト王子がそこでぽつりと、


「……こういうのも変だが、初めてここに来たのに“ひどく心地がいい”ような気がする」

「ハルト王子?」

「いや、なんでもない。気のせいだ。……間取りに、俺が懐かしく思うものがあるのかもしれない」


 そうハルト王子が言って、そして探すものは見つかったので向かいの部屋に私たちは向かったのだった。

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