探し物
人がいなくなって時間がたっているだろう屋敷だが、思いのほか綺麗だった。
そこまで物が散らばっていないからそう見えたのかもしれない。
それとも、ここに住み始めた誰かが掃除をしていたのだろうか?
「推測してみても分からないわね。とりあえず……全員で移動する? それとも二手か何かに別れて探す?」
冗談で私が言うとロジェンが、
「あ、じゃあボクが一人でこの場から……」
「ごめんロジェン、冗談だったの」
嬉々として一人自由鼓動をとろうとしたロジェンの襟首を私は掴んだ。
このままだとロジェンは自分一人で探しに行ってしまう。
正確には、一人で敵を探しに行ってしまう。でも、
「目的のその部屋に入るにはいくつかの過程が必要だったはずなのよ。だからその部屋に向かいましょう。そもそも事前に説明しておいたでしょう?」
そう私はロジェンに言うと、ロジェンはふてくされたように、
「でもさっさと倒しちゃいたいし、ボク、あいつら嫌いなんだ」
「それは私だってそうよ。でも少なくとも今くいくはずなの」
「う~、“聖女”の能力ね……でもボク思うんだ」
「何が?」
「リリーの“見ている”ものって“物語”なんだよね」
「そうよ、それがどうかしたの?」
私がそう返すとそこでロジェンは少し黙ってから、
「“物語”ってさ、淡々とした日常の話……というよりも、時々劇的なイベントがあったりするよね」
「そうね。それがどうかしたの?」
「……リリーが攫われたりしたら、“物語”の盛り上がりにはなるような気がするんだ」
「こう見えても私、結構強いのよ」
呆れたようにそう私が言うとロジェンが、
「その油断が命取りなのです。というわけでリリーに危険が及ばないように、やっぱりボクは別行動を……なんでボクの右手をハルトは掴むのかな? そして左手はリリーが掴んでいるし」
そこで私はロジェンの左手を、ハルト王子は右手を掴む。
まるで連行されていく人物のような状態のロジェンは、
「僕って全く信用ない。悲しい」
「残念だが俺は今までロジェン、お前を信用してそれがその通りだったためしがない」
「え~、そんな~」
「だからこういった時は実力行使だ。行くぞ」
「うう、酷い。幼馴染なのに全く信用されないなんて」
などとウソ泣きするロジェンを聞きながらまず始めにとある部屋を開く。
特に罠のようなものは感じない。
魔力もない。
その部屋はそこそこ綺麗ではあったけれどあまり使われていないらしく、足の折れた椅子が二つ転がっている。
窓にも破れたカーテンがかけられている。
それを見ながら私は、
「確かここのベッドの方かしら。そちらの方に、カギが一つ隠してあったはず」
「地図を見る範囲だとそうだな。そして他にも印があったがそちらはどうなんだ?」
そうハルト王子が聞いてきたので私は、
「あちらの方は回復の薬のような物だったから。あると便利ではあるけれどその前に、他の部屋に続く鍵を探しておいた方がいいわ。……私が見た通りならばそこにあるはずだから」
そう私は返したのだった。
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