女の子のままだと
目的の場所に移動し始めた私達。
朝であるからか優しい日の光が心地の良い、のどかな村の道。
途中村の人に出会ったので軽く会釈をしながら、その目的の、貴族の屋敷に向かった行く。
もちろん周りに、私の部屋の隣に宿をとっている貴族関係の人物がいないかを見ながら、だが。
少なくとも周りを見回して、私達のような格好をしている人物はいない。
かといって隠れて様子を見ている可能性もあるが、
「“探査”を行って敵の位置を確認できるかしら。でもそうすると、敵にも私達がいると知らせてしまうことになるかしら」
そう私が呟くと、ハルト王子も、
「確かに魔力を検知する能力があれば気づかれるな。だがすでに俺達がここに来ているのを確認しているかもしれない。だったらどちらにしろ気づかれていることになるが……」
「あ、それならボク、“彼ら”の気配には鋭いからボクに任せて!」
そこでロジェンが手を上げた。
でも今の話を聞いていて私は、
「感覚が鋭いのなら、なんでこんな風に崖から突き落とされる羽目になったの? でなければ入れ替わったりされることにもなかっただろうし」
「う、そ、それはその……その時は気づかなかったと言いますか……彼らの隠すのが上手いというか……」
「もしかして、女体化してそう言った物を鋭敏に感じ取る能力が目覚めたりしているの?」
「あ、確かにあの頃からそう言ったのが分かりやすくなったかな?」
「……それ“聖女”としての能力なのでは」
「あれ?」
そこでロジェンが今更ながら気づいたというかのようにそう呟いた。
そしてその能力を使えば、“彼ら”に気づかれずに行動できそうだと気付く。
でも、気になるのは、
「“聖女”としての能力がその一つだけとは思えないのよね。私だって幾つも力があるのだから。とするとロジェンにはまだまだ隠された“聖女”としての力があると思うの」
「な、何が言いたいのでしょうか」
恐る恐る聞いてくるロジェンに私は、
「やっぱり“修行”は必要かもしれないわね。後でロジェン、頑張りましょうね?」
「え、あの……」
「あら、森が見えてきたわ。この奥の方に貴族の別荘だったものがあるのよね。……でもここからではよくわからないわね。古いから森と一体化しているのかしら」
ロジェンが何かを言いたそうだが、とりあえず私は聞かなかったことにした。
そこには村を隔てるような黒々とした森、その細い道の入口が目の前にある。
するとハルト王子が私達の前に出る。
「戦闘は俺の方が得意だから、俺が一番前を歩く。ロジェンは俺を援護してくれ」
「え~、ボク今は女の子だから守って欲しい~」
「リリーを守るので俺は手いっぱいだ」
「あ~はい、ボクも一応は、体が女でも男としての自覚があるのでリリーを守るために頑張るよ」
「……それ以前に婚約者だろ」
「女の子のままだと婚約破棄続行だと思う」
「……男に戻るかもしれない」
「女の子生活楽しいよ?」
そこまで聞いたハルト王は深くため息をついてから、
「いいから援護しろ」
「は~い」
というわけで、私も戦えるのだけれど言える雰囲気ではなかったので、私はお言葉に甘えることにしたのだった。
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