夢の話をしよう
ロジェンが朝から悲しそうだつた。
「ボク、TS(性転換)しておっぱいの大きい美少女という最高の肉体すらも手に入れたのに、女の子として嬉しいことがあまりない気がする」
「そう、大変ね」
ただあまりにもあれな愚痴であったので、私は適当に流した。
ちなみに現在、宿の一回で私達は三人で朝食をとっている最中だった。
御者の人は朝早くに食事をとっていたが、私達がここで何泊かしていきたいというと、ハルト王子の別荘の方にそう連絡しに行ってくれた。
そして私達は簡単な軽食をとりながら話をしていると、ロジェンが机にうつ伏して、
「うう、ボクの扱いが男の時のものと全然変わってない気がする。こんな風に女体化してしまったのだから、もっと幼馴染であるリリーとハルトは、僕を甘やかして心配するべきだと思うんだ」
などというので私はハルト王子に、
「今心配することって何かあったかしら。勝手に一人で何かをしでかさないようにするくらいしかないわよね?」
「そうだな。……男女が同じ部屋で寝るのではなく、ロジェンが無茶しないよう見張るものになったからな、昨日は」
「男女って言うとあれだけれど、どちらの性別といった方がいいのか分からないロジェンなわけだしね」
などと私は話す。
実際に昔も今も、女の子になっただけでそれ以外は何一つ変わらないため、異性になろうが同性になろうがロジェンは相変わらずロジェンなので、私にとっては違和感がほとんどない。
それに性別は心が男で体が女なのでそこまで抵抗がなかった、というのもあるのかもしれない。
そしてその話をするとロジェンは何も言わなくなった。
「ようやく沈黙したわね。それで実は今日、夢を見たの」
そう告げるとハルト王子は、はっとしたように私を見たので私は頷く。
「そう、以前ロジェン達の偽物達が“何”なのかに気づいたあの夢よ」
「……また見たということは、何かがあるのか? その……得体のしれない人物、“彼ら”関係で」
ハルト王子が呟くと、ロジェンがむくりと起き上がった。
真剣な表情をしているのは、“彼ら”の危険性に気づいているからか。
そう思いつつも私は、
「湖に何かをしようとしているらしい。“湖”にはあるものが封じられているとかなんとか。それを阻止するためにあの、廃墟になった別荘に向かうらしいの」
「俺たちが、か?」
「ええ、夢の中では“ロシェ”、つまりロジェンとそう話していたわ」
ハルト王子とそう話してから、紙とインクとペンを取り出した。
夢の中では映像のような見取り図が現れていたが、現在の私にはそれを呼び出せる……能力はあるのかどうかわからない。
それにはぐれた時のことも考えて、見取り図を描いて渡しておくことに。
インクで黒い線を引き、部屋の構造を描いていく。
「ここに重要アイテムがあって、ここに敵の魔物がいて、ここに今回のボスがいて、ここに回復系の薬があって、他にも……」
といったように説明を書いていく。
それを三枚分作成し、ロジェンとハルト王子に私は渡したのだった。
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