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【連載版】悪役令嬢は、偽聖女と踊らない~婚約破棄から始まる溺愛スローライフ~  作者: ラズベリーパイ@天安門事件


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乙女ゲームなる異界の物語

 その夜私は夢を見た。

 久しぶりに見たそれは、以前見た、乙女ゲームなる異界の物語である。

 そこで私はロシェ(ロジェン女体化版)を見ていた。


 するとそこに“私”が現れて、


『ロシェ、いきなり探しに行くのは危険だわ』

『大丈夫だよ、ハルトもいるし、私達だって“聖女”だもの』

『でも場所が分かっているだけで、屋敷がどうなっているかまでは分からないわ』

『早めに対処しないと更に危険なことになるのは分かっているでしょう』

『すでに魔物が出ているのだものね』

『うん、それにここの“湖”にはあるものが封じられている。それを……その封印を解かれる方がボク達には危険なんだ。それに封印に必要なものもあちら側にわたると危険だからね』

『そうね。それを知っている私達が動かないことにはどうにもならないわね』

『うん、じゃあ、行こうか』


 そんな会話をロシェと“私”はした。

 そしてすぐに、その場所にはあるものがあらわれる。

 大きな部屋の見取り図のようなもの。


 二階と一階の地図が同時あらわされていて、二階の所には危険なボスとここで遭遇するよ、とか、必要なアイテムは一回のここにあるよ、と書かれている。

 また、他にも宝箱などにはいろいろなアイテムがあるから回収していくと後の戦闘で便利だよ、といった丁寧な説明書きがされている。

 とりあえずその部屋の配置などは全部覚えた私だけれど、


「……どうしてどこに行けばいいとかそういったものが全部書かれているの? 遭遇していないのに」


 そう私は呟いた所で目が覚める。

 どうやら私はまた、あのゲームの夢を見ていたようだとすぐに気付く。

 予知夢のようなそれだが、あれは、夢の中でゲームと呼ばれていた。

 

 物語のようなそれだが、多くの立ち位置が酷似している。

 だからこそそれを基に対策が立てられたのだ。

 そう思いながらすぐ隣を見ると、ロジェンが簀巻きにされた状態で穏やかな寝息を立てていた。


 そういえば昨日、必死になってロープを引きちぎって駆けだそうとするロジェンをさらに抵抗できないようにハルト王子と私で、魔法を使って拘束したのだ。

 手間がかかるわね、と嘆息しつつ、それでもこのロジェンはここから抜け出して一人で目的の場所に行ってしまう恐れがあったので、一番高い部屋のベッドは一番大きいとのことで、私、ロジェン、ハルト王子の順に一緒に寝ることになったのだ。

 その時ロジェンは、


「男女で同衾は良くないと思います」

「残念だけれど、ロジェンは女の子だから」


 そう返すと今度はハルト王子の方を向いてロジェンが、


「ボク、今は女の子だよ!」

「中身はロジェンだからな」

「女の子でありさえすればいいのでは! ボクって美少女だし?」

「俺にも好みはある。ロジェン、お前には、俺は全く女性としての魅力を感じない!」

「……言い切りやがった。だったリリーとはどう?」

「……」

「ふふ、やり込めたぜっ……もがもが」


 そこでどや顔のロジェンは、ハルト王子によって布で猿轡をされた。

 変なことを出だされても困るし、呪文を唱えて魔法を使われるのも困るのでこれで良いのかもしれないと放置して、私達はその日、眠った。

 そして今に至る。


 私はロジェンのいつの間にかさるぐつわが外れた顔を見ながら、


「さて、二度寝でもしましょうか」

「……僕のさるぐつわが外れていることに、リリーは突っ込まないんだ」

「あら、ロジェン起きていたの? おはよう」

「……おはようございます」


 そこでロジェンがどこか悲しそうに、そう答えたのだった。



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