認識操作
彼らと呼ぶ謎の人物たちがいるらしい。
それとロジェンは戦っているというか今まで接触したことがあるようだ。
この様子では因縁の相手なのかもしれない。
そう思っているとロジェンが、
「ちなみにその“彼ら”と呼んでいる人物は、ボクを女体化治療したあの人とも敵対しているようだったんだよね」
「そうなの?」
女体化という形であるとはいえ治療してくれた人物だ。
それもおそらく無償。
善良な方と言っていい人物だが、敵対しているの下りが私には気になった。
それにロジェンが頷き、
「うん、『また間に合わなかったか。おい、大丈夫か』って声をかけてきたし、治療してくれる時に声をかけてボクの意識が完全に無くならないようにしていたあの時、確か、“彼ら”を追いかけているようなことも言っていたね」
どうやら、その“彼ら”は女体化治療した人物と因縁があるようだ。
けれどそうなってくると、と私は考えて、
「その“彼ら”を追いかけていけばロジェンに女体化治療をした人に会えるかもしれないの?」
「! うん、そうだね。前に、“彼ら”と鉢合わせて共闘したことがあったけれど、戦闘が終わったら慌てたように逃げて行って見失っちゃったんだよね」
「……そう。でも、“彼ら”を追えばいいとはいえ、その“彼ら”っていったい何なのかしら」
そんなまるで人類を滅ぼそうとしているかのように、ロジェンの言葉を聞くとそう感じてしまう。
するとロジェンが、
「そうだよ。前に一回町が半壊した時も、酷い状況だったからね。ここ最近だと、“マドルの町の被害”が大きいかな」
「……待って。あの町は土砂災害によるものだって話では?」
「そういった話になっていたね。そういえば」
ロジェンがそう答えるのを聞きながら、私はぞっとした。
だって一応は貴族である私達にその話は、“何一つ”として伝わっていない。
それにその被害も“極めてごく少数”といった話になっていたはずだ。
けれど今のロジェンの話では町が半壊する程度となっている。
「どういうこと? 情報を本来制限する側の私達の方に、本当の情報が流れていない?」
「……“彼ら”ならやりかねないな。実際に気づいたら“自然災害”みたいな話になっていて、町の人たちもそう“信じて”しまっているようだったしね」
「認識操作、ということかしら」
「そうだね」
ロジェンが頷くのを見ながら私はハルト王子と顔を見合わせた。
その“認識操作”というのは、
「ロジェンを殺そうとした連中、偽“聖女”がそんな能力を使っていたわね」
「それは……」
「“彼ら”というのはその、偽物達の事かしら」
「……そしてその偽物にボクが殺されそうになって、それをあの治療してくれた人が追いかけてきたってことかな」
ロジェンが考え込むようにそう呟いてから……つづけた。
「どの道、ボクは“彼ら”が気にいらないから、“倒す”。確実にね」
「でも私はロジェンにあまり危ないことはしてほしくないわ」
「でもボク、彼らの認識操作を受けない、または受けにくいし、強いから僕が動くべきだと思うんだ」
そういってロジェンが笑った所で、部屋の扉が数回たたかれたのだった。
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