別の副作用
ハルト王子の一撃で、現れた魔物が真っ二つにされて倒された。
砂のように崩れて、代わりに何かがポトリと落ちる。
それは石のようなものだった。
それにハルトが近づき拾う。
青色の石。
一瞬ハルトが小さく呻くとロジェンが慌てたように近づいて、
「そんなに不用意に触ったらだめだよ。ただの魔石じゃないんだから」
「……魔石にしか見えない」
「いや、黒い魔力が渦巻いているじゃないか」
ロジェンがそう話しているが、どうやらハルト王子には見えないようだった。
私も近づいてみてみると、
「確かに黒い影があるわね。見せて」
「リリー、その影はあまり触っていると……え~と、なんで消えたんだろう」
「さあ? “聖女”の力とか?」
「それなのかな? うーん、初めて見たよ。でもこれ自体は強力な魔石だからもらっておこう。使ってもいいし、売ってもいい値段になるし」
そういってロジェンはいそいそとそれを懐に入れてしまう。
なんというか、逞しいなと私が思っているとそこでハルト王子が剣をようやく鞘にしまい、
「それでロジェン、説明をしてもらおうか」
「……色々と話すことが多いから、宿に戻ってからでいいかな?」
「分かった。一番上等な部屋が、あそこでは一番広いだろうからそこにまずは戻ろう」
そういった話になったのだった。
宿に戻った私達は飲み物とちょっとした菓子を購入……のようなものをし、その部屋の四人掛けの丸テーブルに座った。
とりあえずは勧められたので私はハルト王子の隣に座る。
「……どうしてこの配置なんだ?」
「え~、ハルト、嬉しくないの?」
「……俺にそんなものは通用しない。それで、突然、『……きた』といって走っていったが、何を感じたんだ? 実際にあそこには先ほどお魔物が現れたがその前に、誰かと言い争うようなロジェンの声が聞こえたが」
ハルト王子の言葉にロジェンは、
「ハルト~、女の子にはもっと優しい言葉遣いで聞くべきだと思うんだ」
「お前は中身はロジェンで俺の親友で幼馴染で男だ。俺はお前を“男”として扱う」
「じゃあ一緒の部屋で寝ても問題ないよね~」
「それとこれとは別の話だ。それで、そうだな。ひとつづつ聞いていこう。一番初めに来たといったが何が来たのを感じたんだ?」
その問いかけにロジェンは、
「二人は何も“感じ”なかった? 違和感とか」
「特にはなかった。リリーは?」
そこで私にも振られるけれど、私も気づかないと答える。
ロジェンがそれを聞いて呻いた。
「この感覚の鋭さも、もしかして女体化に関連しているのかな? なんだか胸がちょっと重くなったくらいで、前よりも体が軽くて動きやすいんだよね」
「女体化の影響というよりは、回復の魔法の別の副作用なんじゃないのか? ……というかいつもよりも速すぎて俺たちは中々追いつけなかったしな」
「身体能力向上の効果があるのかな? それはそれでいいね。襲い掛かってきた防寒も簡単に倒せたしね~」
「……そうだな。それで、その……そちらに向かっていたということは危険なものがあると、ロジェンは知っていたと?」
「そうだよ。彼らは……人を、町を、人の営み全てを……“破壊”しようとしているようなんだよね」
ロジェンがここに来て初めて、深刻そうな表情で答えたのだった。
評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。




