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スゴロク スゴくロクでもないゲーム  作者: 沖光峰津
新章 新たなるゲーム
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第八十三話

 町で休みを終えた秀樹たちがヘカロの元へと集まる。


「おはよう、中々厄介なバッドイベントだったらしいね」


 爽やかに挨拶するヘカロの向かいで三人が顔を顰める。


「厄介なんてものじゃなかったですよ」


 カラオケの苦手な栄二が一番に言った。


「だな、あれほど難しいカラオケは初めてだぜ、全部知らない歌だからな」


 思い出したくもないのか秀樹は厭そうな顔だ。


「天界のカラオケだって言ってたけど、あんな変な歌本当に流行ってるんですか? 」

「カラオケの事かい? 私はあまり行った事がないので詳しくは知らないがロロフィが言ったのなら本当だよ、あの娘は友人と毎週のように行っているらしいからね」


 怪訝な顔で訊く菜穂にヘカロが苦笑いしながらこたえてくれた。


「マジなんだ……てっきりロロフィの悪戯だと思ってたわよ」

「ロロフィちゃんノリノリだったからな、毎週行ってるって聞いて納得だぜ」

「あははっ、僕は苦手のカラオケでマイナス70で済んだだけで安心だよ」


 呆れる三人を見てヘカロが愉しそうにフッと笑う、


「そうだね、栄二くんの言う通りさ、60や70のマイナスで済んだのはいい方だよ、他は100以上引かれているからね、遊びに付き合ってくれたのでロロフィが負けてくれたんだよ」


 秀樹がハッと顔を上げる。


「ロロフィちゃんが……そうなんですか…… 」

「やっぱ遊んでたんじゃないの、でも負けてくれたのならいいわ」

「あははっ、でも結構楽しかったよ、カラオケ苦手の僕でもどうにか点取れたし」


 納得した様子の二人を見て秀樹が頷く、


「他よりマシなら仕方ないな、町でたっぷり休めたし今回は由としようぜ」

「そうね、ポイント引かれたのは痛いけどバッドイベントじゃ仕方ないわね」


 ヘカロが優しく微笑みながら口を開いた。


「バッドかラッキーかはランダムで決まる。だが偏らないように調整は入る仕組みだ。つまり一度バッドに当たったのなら次にバッドが出る確率は低くなる」

「って事は次はラッキーが出る確率が高くなるって事か」


 少し考えてから秀樹が言うと隣で聞いていた菜穂の機嫌がよくなる。


「カラオケ程度で済んでラッキーだったって事ね」

「そういう事だ。但し絶対ではないからバッドが続けて出ても私を恨まないでくれよ」


 爽やかに笑いながらヘカロがサイコロを取りだした。

 サイコロを受け取った秀樹に菜穗がニッと笑いかける。


「ゾロ目出してもいいわよ」

「そうだね、ラッキーイベントが出る確率が高いなら出てもいいよね」


 栄二も意地悪顔で笑っている。

 二人を見てヘカロが顔を顰めた。


「なんだみんな知っているのかい? 」

「俺は言ってませんよ、ロロフィちゃんが言ったんだ」


 慌てて言い訳をする秀樹の前でヘカロが大きく溜息をつく、


「まったくあの娘は……仕方ない子だ。他のチームには言わないでくれよ、秀樹くんたちを処罰したくないからね」

「わかってます。他が有利になる情報なんて絶対に言いませんよ」

「そうよね、バッドにしろラッキーにしろ、どちらかが出るってわかったら心構えができるものね、突然言われるのとでは全然違うわよね」


 菜穗が賛同するように大きく頷いた。


「君たちを信用しよう、ではサイコロを回してくれ」


 秀樹がサイコロを回す。


「5と3の8だぜ」

「今36だから44マスへ進むんだね」

「次はどんなイベントかしら? バッドのマイナス分取り返しましょうね」


 ゲームに慣れたのか栄二と菜穗の顔が明るい。


「だな、装備も揃えたし少々難しいヤツでもやっていける自信はあるぜ」


 二人を見て秀樹が粋がる。


「君たちならやれるさ、では行こうか」


 ヘカロが広げた天使の羽に包まれて三人の姿が消えていった。




 恒夫たちも休みを終えてロロフィの元へと集まった。


「おっはぁ~~、恒夫おっはぁ~~ 」

「おおぅ、ロロフィだぞ、おっはぁあぁ~~だぞ」


 手を上げて大声を出すロロフィにラグが更に大きな声を出しながらブンブンと手を振った。


「煩い……朝から元気だな…… 」


 横を歩いていた恒夫が耳を押さえながら呟いた。


「ヘカロに聞いたよぉ~、みんな凄いですねぇ~~、恒夫が520ポイント、ラグが510ポイント、スギナちゃんが610ポイントでしょ、みんな500以上なんてほんとに凄いわよ」


 自分の事のように喜ぶロロフィに恒夫が普段の飄々とした顔を向ける。


「何が凄いんです? 500ポイントってそれほど凄いんですか? 」

「何言ってんですか、500ポイントって言えば現在の上位30に入ってますよ」


 恒夫がバッと身を乗り出す。


「マジか! 」

「本当ですよぉ~、だから凄いって言ってるじゃないですかぁ~ 」

「マジで……上位30か…… 」


 恒夫がバッとラグとスギナに振り返る。


「聞いたか! 30だぞ、30」

「何喜んでんだ? 30番がそんなに好きなのか? 」


 不思議そうに訊くラグの頭を恒夫が撫でる。


「30だぞ、このまま行けば予選通過だぜ」

「おおぅ、予選通過か、あたいたちの勝ちなんだな」

「そうだぜ、このまま突き進もうぜ」


 二人が興奮するのも無理はない、予選通過できるのが上位40名だ。そして上位30名には褒美として神様が願いをかなえてくれるのだ。

 スギナが恒夫の腕を引っ張った。


「まったく、まだ序盤じゃぞ、浮かれるのはそこまでにしておけ」


 ロロフィが三人の前にサッと出てきた。


「フッフッフッフゥ~~、まぁ私が担当してるんですから当然ですけどね、優秀な師に仕える弟子も優秀になって当然というか……私の努力の賜物ってヤツですね」


 自慢気に胸を張るロロフィを見てスギナが呆れ顔だ。


「お主が浮かれてどうするんじゃ」

「いつからロロフィちゃんの弟子になってんだ」


 スギナに注意された事と自慢気なロロフィを見て恒夫も冷静さを取り戻した。


「優秀なのか? 流石ロロフィだぞ」


 何のことか理解もせずにうんうんわかった振りをして頷くラグをスギナが見上げる。


「お主は仲が良くなった相手の事は何でも信じるんじゃのぅ」


 ロロフィが『まあまあ』と言うように手を振った。


「いいじゃないですかぁ~、良い報告なんですからね、それじゃあその調子で頑張っていきましょう~~ 」


 ニコニコ顔でサイコロを恒夫に手渡す。


「秀樹たちはどうなったんです? 」


 サイコロを見つめながら訊くとロロフィがニッと悪戯っぽく笑った。


「カラオケ楽しかったですよ、秀樹くんも菜穗さんも結構旨かったですよ」

「カラオケ? バッドゲームでか? 」

「にひひひっ、それは言えません、でも結構旨くいったですよ」

「そっか……ロロフィちゃんがそう言うなら安心だ」


 それ以上聞くのを止めて恒夫がサイコロを振った。


「2と5の7か」

「今37じゃから44へ進むんじゃな」

「そんじゃ、出発進行だぞ」


 元気に言うラグの尻尾をロロフィが掴んだ。


「にゅん!! 」


 ビクッとしてラグが固まる。


「ダメですよぉ~~、出発は私が言うんですからね」


 ニコニコ笑顔のロロフィがラグの尻尾を離した。


「にゃははっ、いいだろ、あたいとロロフィの仲だぞ」

「ダメです。私の役目ですからね」


 笑顔だがロロフィの目が笑っていないのを見て恒夫が慌てて間に入る。


「わかった。ロロフィちゃんの仕事の邪魔はしないからさ、ラグにもさせないからさ」

「にひひっ、わかればよいよい」


 うんうん頷くとロロフィが天使の羽を大きく広げた。


「それじゃ行くわよ、ドキドキわくわく出発進行ぉ~~ 」


 ロロフィの天使の羽に包まれて恒夫たちが消えていった。


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