第三十三話「ゴール」
あっという間に時間は過ぎて、集合時間となった。
特別に天使ヘカロが迎えに来てくれて空間転移の魔法で運んでくれた。
中津たちが先にいたが結果は聞くまでもなかった。
三人とも酷い怪我をして項垂れていた。
「秀樹……お前たちは旨くいったんだな……おめでとう」
右肩を血に染めた佐伯が力無く笑った。
その後ろで中津が何か言いたそうにじっと見つめている。
東條は悔しげに睨んでいた。
「佐伯……中津も…… 」
「さあ最後のサイコロ回そうぜ」
何か言い出しそうな秀樹の腕を恒夫が引っ張る。
天使ヘカロがサイコロを秀樹に渡す。
「現在28マス目だから1と1の合計2でもゴールできるが一応ルールなので回してくれ、どのような数字が出ても秀樹くんたちの優勝だ」
「優勝……俺たちが…… 」
秀樹が栄二と恒夫の顔を見つめた。
二人が無言で頷く、秀樹がサイコロを転がす。
3と5の合計8で秀樹たちはゴールした。
「おめでとうございまぁ~す」
ラッキーイベントで会った天使ロロフィがパンパンとクラッカーを鳴らして現れた。
「今回のゲームの優勝は江藤秀樹さんと野方栄二さんと城道恒夫さんのグループです。これにてゲームが終了となり各グループ全員呼んで優勝パーティーでぇぇ~~す」
お祭り事が大好きなロロフィがノリノリで続ける。
「おぉっとぉ~、その前に優勝グループの三人に神様から御褒美でぇ~す。宝玉を両腕で持って空に上げて願いを言ってください、世界征服とか世界一の金持ちなどは無理ですが百億長者くらいならかないますよぉ~ 」
天使ヘカロが預かっていた宝玉を秀樹と栄二と恒夫に一つずつ渡して願い事をするように促した。
説明を聞いている間に残りの2グループがやってきた。
DQN男女三人組とチャラ男のグループは途中で抜けていない、残ったのは普通の大学生といった様子の男二人に女が一人のグループと何かのサークル仲間らしい大学生の女二人に男が一人のグループだ。
普通の大学生といった様子のグループは男が一人抜けて男女二人になっている。
サークル仲間のグループは男が一人残っているだけだ。
みんな疲れきった表情をしていた。
秀樹たちが何を願うのか集まった全員が注目する。
「百億長者はかなうんだな? 」
恒夫が宝玉をペシペシ叩きながらロロフィに訊いた。
「かないますよ、具体的に言うとアメリカの宝くじが当ったり、どこかの富豪が財産相続に指名してくれたりしますよ、恒夫さんの願いは百億長者ですね、では宝玉を両手で高く上げて神様に頼んでください」
「俺じゃなくてもいいのか? 俺以外の誰かを金持ちにしたいんだが」
元気よくこたえるロロフィに恒夫がまた訊いた。
「いいですけど……自分じゃなくて他の人を金持ちにしたいなんて変な願いですね」
「そうか、ありがとうロロフィさん」
不思議そうに首を傾げるロロフィの前で恒夫がニィッと企むような笑みをする。
恒夫が宝玉を両手に持って上げると空に向かって叫ぶ、
「じゃあ願いを言うぜ、東條鈴奈を百億長者にしてくれ、そこに居る東條鈴奈だ」
叫び声に呼応するように宝玉が光り輝く、東條が目を大きく見開いて両手で口元を押さえる。
東條を見て恒夫がニッと悪ガキのように笑った。
「これで転校しなくて済むんだろ、金貰ったら俺にも少し分けてくれよ」
「城道…… 」
東條は涙が溢れて止まらない、嗚咽するように恒夫の名前を言うだけだ。
「次は俺の番だ」
秀樹が前に出る。
その顔も楽しそうに笑っていた。
「俺の友達、佐伯敏明の怪我した足を治してくれ、そうだな、佐伯の体の悪いところあったら全部治してくれ、それが俺の願いだ」
秀樹の手の中で宝玉が光り輝く、佐伯が吃驚した顔で見つめている。
「サッカーのプロ選手になっても友達だぜ、サインとか頼むからな」
「ああ、何でもしてやる。お前は最高の友達だ」
泣きながら佐伯がウンウンと頷いた。
栄二がチラッと見ると中津はすでに泣き出しそうな顔で縋るように見つめていた。
「ハッキリ言って中津は嫌いだよ、でも妹さんは助けてやりたいからな、もうオタクをバカにするなよ約束だぞ」
栄二が宝玉を両手で持って上げると空に向かって叫ぶ、
「そこに居る中津大樹の妹さんの病気を治してやってくれ、妹さんの体の悪いところ全部治して健康に生きていけるようにしてくれ、それが僕の願いだ」
宝玉が光り輝く、中津の目から涙が溢れる。
栄二の前に駆け寄ると中津は地面に土下座した。
「ありがとう栄二、今まですまなかった。もう二度と栄二も秀樹も恒夫もバカにしない、オタクをバカにしたりしない約束する。妹を助けてくれてありがとう…… 」
「僕にも妹と弟が居るからさ、生意気であまり仲良くはないけど、でも病気になったり亡くなったら悲しいもんな、だからさ、よかったな中津」
栄二が中津の両肩を持って顔を上げさせた。
いつか恒夫が言った言葉『負けるつもりか? 勘違いするなよ秀樹、今一番勝ちに近いのは俺たちなんだぜ、中津はこのイベントをクリアできる保証もない、だが俺たちはクリアしなくても確実に勝てるんだぜ』とは確実に勝てる自分たちが中津たちの願いをかなえてやろうという思いであった。
あの時にこうする事を決めていたのだ。
天使ヘカロが秀樹たちの前に立つ、
「友の願いを叶えるか……本当にいいのか? 今ならまだ間に合うぞ」
「俺たちは充分楽しみましたから、なっ、栄二、恒夫」
秀樹が左右にいる栄二と恒夫の背中をドンッと叩いた。
「僕はネピアと出会えただけで充分だよ」
「俺もお姉様と遊べたからな、夢の中とはいえ満足だぜ」
笑顔の三人に釣られるように天使ヘカロも笑みになる。
「そうか……君たちに会えて良かった。正直言って私は今の人間に幻滅していた。どちらかというと人類滅亡派だったのだが秀樹くんたちを見てもう少し人間に期待してもいいと思うようになったよ」
「人類滅亡派って? 」
笑顔から一転して秀樹が顔を曇らせた。
「ゲームも終わった事だし話してもよかろう、ゲームを何故行うかは以前話した通りだ」
「確か……神様たちが何か決める際に意見が分かれたときにゲームをして勝利した方の意見に従うってヤツですよね」
「そうだ。今回は人類の行く末について神々の意見が割れた。このまま人類を生かしておくのか滅亡させて新たな生命を作るのか、それで存続派と滅亡派で対立して今回のゲームで決める事になったのだ」
「だから俺たちにも関係のある事だって言っていたんですね」
険しい顔をしてヘカロが頷く、
「地球を我が物とし他の動植物を蔑ろにする。それどころか同じ人類同士での争いまで起こす。知識がついて間もない頃は仕方ないと見守っていた神々も収まるどころか増長していく人類に希望を失い地球という星の未来を任せておけないと唱える神も出てきた。その者たちが集まったのが人類滅亡派だ」
秀樹がいつになく真剣な表情で口を開く、
「返す言葉も無いぜ、人間なんて他の動物から見れば害悪以外の何物でもないだろうからな、情報が発達しすぎて大きな戦争が起こる事は殆ど無くなったけど小競り合いは今でも世界の彼方此方で起こってるからな、戦争が一つも無かった年なんて無いんじゃないか? 」
「でも……だからって滅亡させるなんて酷いよ、神様なら愚かな人間を導いてくれたっていいのに………… 」
神様の悪口を言うのは気が引けるのか栄二の声は小さい。
恒夫がニヤッと厭な笑みをする。
「言っただろ神様は意地悪だって、人間の事などそこらの石っころとしか思ってないぜ、俺たちがそこらを這い回る蟻を気にしないように神様だって人間なんて気にしてないさ、増えすぎて家に侵入してくるようになった蟻を駆除するように神様が人間を駆除したっておかしくないだろ、俺が神なら今の人間なんて駆除して新しいものを作った方が面白いって思うぜ、そういう事だろヘカロさん」
厭な笑みを湛えた恒夫の向かいでヘカロがフッと自嘲するように笑った。
「それを言われると耳が痛い、だが人類を救済したいと考えている神もいるんだよ、それが人類存続派だ」
ヘカロが恒夫だけでなく秀樹や栄二を見回した。
「先日の事だ。今の人類を見限った滅亡派の神は新たな種を作ろうと具申した。それに存続派が対立する。神々全てを集めて賛否を問うとほぼ半数に別れた。そこでゲームをして決める事になった。それが君たちが参加したこのゲームだ」
マジ顔で見つめる天使ヘカロに栄二が険しい顔をして口を開く、
「それでヘカロさんの……僕たちに懸けた神様はどっちなんです? 」
「安心したまえ存続派だよ、君たちが人類を救ったんだよ、本当の勇者だよ」
三人の顔から緊張が抜けて変な笑みになる。
「人類を救ったなんて関係ないな、神様の気紛れで人間なんかどうにでもなるって事だろ? 俺たちはゲームをやっただけ、自分の欲望を叶えるためだ。それだけだ」
恒夫がいつもの調子でとぼけ顔をすると秀樹と栄二も頷いた。
「だな、只遊んだだけだよな」
「そうだよね、こんなゲームならまた参加したいよね」
「フフフフッ……そうだな、君たちは君たちだ。私も楽しかったよ」
ヘカロだけでなくロロフィや他の担当天使も秀樹たちを優しい眼差しで見つめていた。
「正直言うと、初めて会った時はどうなる事やら不安だった。だが今は秀樹くんと栄二くんと恒夫くんの担当で本当に良かったと心から思っている。久々に満点をやれるグループと出会った。心から礼を言う、ありがとう」
天使ヘカロが秀樹と栄二と恒夫の手を一人一人とって握手だ。
握手をしながら恒夫が口を開く、
「ヘカロさん頼みがあるんだけど…… 」
「頼み? 何でも言ってくれ私に出来ることなら何でもしよう」
言い辛そうな恒夫の顔をヘカロが覗き込む、秀樹と栄二も見つめている。
「俺たちの持ってる魔法の杖とサトリ眼鏡とイカサマサイコロとゴーレムをネピアとクロエにあげることは出来ないか? 二人は役に立ってくれたから礼をしたいんだ」
「アイテムをか……前例が無いな……だが私の権限で許可するよ、自身の願いでなく友の願いをかなえた君たちに敬意を表して特別に認めよう」
しばらく考えてヘカロが承諾してくれた。
隣で聞いていた秀樹と栄二の顔がパッと明るくなる。
「お前そんな事考えてたのか、だから町のカジノでクロエにイカサマサイコロの使い方を教えてたんだな」
「イカサマサイコロがあればお金には困らないし、サトリ眼鏡とゴーレムと魔法の杖があったら敵から身を守れるし、少しは安心して暮らせるよね、流石恒夫だ」
秀樹と栄二が左右から恒夫に抱きついて肩組みだ。
ネピアが魔法の杖とゴーレムを受け取ってクロエがサトリ眼鏡とイカサマサイコロだ。
猫女クロエが剣士で猫少女ネピアが魔法使いという事である。
その他に魔法の銃や恒夫がカジノで稼いだ七百万ギギルも渡した。
目に涙を溜めたネピアが栄二に抱きついた。
「魔法の杖とゴーレム大事にするにゅ、立派な魔法使いになるからにゅ」
「サトリ眼鏡ありがたく貰っとくよ、これで先読みすれば私はもっと強くなれる」
クロエが秀樹に抱きついた。
抱きつきながら続ける。
「イカサマサイコロも大事に使うからな七百万ギギルもな……最後の休みだというのに私たちに渡すために稼いでくれたんだな、ありがとうなツネオ」
「気にすんな、アイテムを渡せなかった時の保険に何かあげようと思っただけだ」
秀樹に抱きつきながら礼を言うクロエを見て恒夫が照れて薄い頭を掻いた。
しばらく様子を見ていた天使ヘカロが恒夫の肩をポンッと叩いた。
「優勝祝いのパーティーを始めよう、この世界での最後の宴だ。楽しんでくれ」
ゲーム終了のパーティが始まった。
楽しい時間はあっという間に過ぎて別れが訪れる。
ネピアが栄二に抱きついた。
「忘れないからねエイジ、あたしエイジに会えて良かった…… 」
「僕も忘れないよ、短い間だったけどネピアと一緒に旅が出来て本当に良かったよ」
栄二がネピアに唇を重ねる。深く長いキスだ。
クロエも秀樹に抱きついている。
「ありがとうヒデキ、お前の事は忘れない、もしまたこの世界に来る事が出来たら必ず連絡してくれ、西にあるチャトラン族の村に連絡をくれれば必ず会えるから…… 」
「クロエの村か、行ってみたいな……俺も絶対に忘れないぜ、また来れたら必ず会いに行く、ありがとうクロエ、大好きだぜ」
秀樹がクロエにキスをする。離れまいとするように強く抱き合っていた。
しばらくして空が白く輝き始めた。
「そろそろ時間切れだ。個人的には三日くらいこの世界で好きにさせてやりたいが私も神に使える一天使にすぎないからな、では秀樹くん、栄二くん、恒夫くん、帰るとしよう」
ヘカロが天使の翼を大きく広げた。
秀樹と栄二がクロエとネピアをそっと離す。
ネピアが涙を拭って笑顔を作る。
「ツネオも元気でにゅ、ヘンタイが治るといいにゃ」
「ははははっ、そうだな次に会う時はヘンタイじゃないツネオがいいな、ありがとうな」
大きな声で笑うクロエの目にも涙が浮かんでいる。
恒夫が二人に腕を伸ばしてビシッとVサインを向けた。
「もしまた会えたら次はヘンタイを超越したヘンタイ紳士になってるぜ、その時は美人のお姉様を紹介してくれよ、元気でな二人とも」
天使ヘカロが羽ばたくと三人の体が白い光に包まれていく、
「エイジぃ、バイバイにゅ」
「元気でなヒデキ、ありがとうツネオ」
「ネピア元気でね、バイバイ」
「クロエ楽しかったぜ、じゃあな」
「二人とも気楽にな、力を抜いて生きていけよ」
秀樹と栄二と恒夫はネピアとクロエと笑顔で別れた。
窓から朝日が差し込んで秀樹の顔を眩しく照らす。
「うぅ……ここは…… 」
ガバッと上半身を起こすと自分の部屋のベッドの上だった。
部屋の中をボーっとした顔で見回す。
「二十六日……一晩しか経ってない……夢の中の世界か………… 」
枕元に置いていたスマホを見て寂しそうに呟いた。
三週間ほどの旅をしたはずなのに現実の世界では一晩しか経っていなかったのだ。
まさに夢の中の出来事である。
お気に入りのアニメの曲が流れてきた。
スマホの着信音だ。
「秀樹、夢じゃないよね……僕たち本当に旅をしたんだよね」
電話に出ると挨拶も無しに栄二が一段高い声で訊いてきた。
「ああ夢じゃないぜ、俺たちはゲームで優勝したんだ」
秀樹も興奮冷めやらぬ声で返す。
「みんなで冒険したんだよね、僕と秀樹と恒夫とネピアとクロエと……みんなで旅をして遊んで戦いもして愛し合って……それで僕たちが勝ったんだよね、オタの僕たちが…… 」
「そうだぜ、夢じゃない、夢の中の世界だけど本当にあったことだ」
「楽しかったね、怖いことも痛いこともあったけど」
「痛いというか何度か死んだからな」
「本当だね、不死身を選んでよかったよね、恒夫には感謝だよ」
「こういう事には頭回るからな恒夫は」
楽しそうに話していた栄二の声のトーンが一段下がる。
「またネピアに会えるかな…… 」
「さあなぁ……俺もクロエに会いたいぜ、でもチャンスはあるかもよ、マジで向こうの世界もあるってのが分かったんだからな」
「そうだよね、ネピアやクロエが元気に暮らしてるって考えたらいいよね」
「そうだな、あの二人なら大丈夫だ。剣士に魔法使いだからな」
しんみりとした空気が流れ二人が黙り込む、その時、秀樹のスマホがまた鳴った。
「んん? 恒夫からだ」
「じゃあ続きは学校でね」
「おう、じゃな」
電話を切って恒夫に切り替える。
「秀樹大変だ!! 」
「何があった? 」
切羽詰まった恒夫の声にスマホを握る手に力が入る。
「お前たちは無事か? 俺は迷子になった」
恒夫の泣き出しそうな声を聞いて秀樹の顔が引き攣っていく、
「迷子!? まさかお前帰ってきてないのか? 」
「俺は帰ってきてる。俺の大事な物が迷子になったんだ」
「脅かすなよ、帰れなくなったと思ったじゃないか、大事な物? ゲームで何か無くしたのか? 」
ほっと一息ついて秀樹が訊いた。
「俺の大事な……俺の大事なトラ猫パンツが無くなったんだ」
「トラ猫パンツって……オークに被せたヤツか? 」
秀樹の顔が険しく変わる。
「そうなんだ起きたらフリチンだったんだ。夢の中だから大丈夫だと思ってオークに被せたのに現実に戻ってきてないんだ。破けたり燃えたりしたシャツは元に戻ってるのにトラ猫パンツだけが無くなってるんだ。チンチンは無事だけどパンツだけが無くなってるんだ」
「アホかーー!! 」
スマホを正面に持ってきて秀樹が怒鳴った。
一呼吸置くと怒りを抑えて息を整えて続ける。
「ビビらせるな、お前だけ帰ってないのかと思っただろうが」
「帰ってなかったら電話なんてできないだろ、それより迷子の迷子の子猫ちゃんになった俺のトラ猫パンツをどうにか取り戻す方法を考えてくれ」
「知るか! パンツくらいいいだろが! 」
「よくないぞ、俺の勝負パンツなんだぞ、どうにかヘカロさんを呼んでトラ猫パンツを取りに行けないか…… 」
「アホか!! ヘカロさんを呼べたとしてもそんな物取りに行けるか! いい感じで別れたの台無しにする気か! 」
「そんな物とは何だよ、髪の次に大事にしてたんだぞ……仕方ないな、あのオークが大事にしてくれてると思って諦めるか、豚が猫パンツ穿いてるのは中々可愛いかもな、どう思う? 」
「黙れヘンタイ、もう切るからな」
また頭に血が上る。
恒夫と話すといつもこうだ。
「まったく……ふはっ、ははっ、あははははっ 」
電話を切った後、恒夫のフリチン姿を思い浮かべて笑いが込み上げてきた。
「本当にやったんだな俺たち………… 」
秀樹がスマホをじっと見つめて呟いた。
また着信音が鳴った。
「ん? 佐伯だ」
慌ててスマホを耳に当てる。
「秀樹ありがとう、足が軽いんだ。痺れが消えてる。今日病院へ行って見てもらうけど治ってるのが自分で分かるよ、中津と東條さんからも電話があってな、東條さんの枕元にアメリカの宝くじが置いてあったらしい、多分当たりのくじだな、中津は妹の病院から電話があって奇跡が起こったってさ…………全部お前たちの御陰だ。マジでありがとう、中津と東條さんも礼が言いたいから今日遊びに行こうって誘ってくれって言われて電話したんだ」
「よかったな、俺たちだけじゃないぜ、お前らも頑張っただろ、だからさ……だから神様が願いを叶えてくれたんだよ」
「そうだな……話したいことがいっぱいある。後でいっぱい話そうぜ」
「おう、俺もだ。お互いどんなイベントやったのか気になるしな、じゃあ学校でな」
優しい顔をして秀樹が電話を切った。
「神様のゲームか………… 」
夢だけど夢ではなかった。
「ふぅーっ、学校行くか! 」
秀樹が元気に飛び起きた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
物語はまだ続きます。
新しいゲームが始まり魔族たちが動き出します。
神のゲームの真の目的は?
人間だけでなく他種族たちがゲームに参加してきます。
敵味方、サブキャラたちが盛り沢山出てきますので続けて読んでもらえると嬉しいです。




