第一日文書:監査実施通達(これは報告書です。本編は次話から)
(これは報告書です。本編は次話から。報告書と本編が交互に投稿されます)
王国軍報 第二三四一号(抄) 王国暦八十四年 対魔王国戦争第八年 受領:第一日 五刻 宛:監察官 エリアス・ヴェント殿 発:前線司令部 文書課
一、戦時文書管理統制監査の実施について(通達)
参謀本部の要請に基づき、総攻撃の発起に先立ち、全騎士団を対象とする文書管理の統制監査を実施する。監査官には王都監察局のエリアス・ヴェント監察官を充てる。各騎士団長は、監査官の請求する文書の提出を拒んではならない。監査は総攻撃の発起までに完了するものとする。
二、騎士団長名簿(人事摘要)
第一 バルテル・クローム(重装歩兵統括) 鎮西侯家当主。開戦以来の主力。
第二 ロズリーヌ・ヴァレ(騎兵統括) 捕虜交換交渉の功により叙勲。
第三 ドミニク・サール(攻城・工兵統括) 架橋工の名手。
第四 ヴェラ・ロンド(前線防衛・鹵獲品管理) 開戦時、灰の谷近郊の所領を焼失。
第五 アルノー・ギース(補給・輜重統括) 兵站無欠の評。着任四年。
第六 ロタール・ヘム(前哨統括) 戦死。後任未補、副官代行。
第七 ヨルグ・ヴェルナ(斥候・国境前哨統括) 灰の谷出身、魔族系。開戦初期に忠誠審査を受け潔白判定(審査記録第八七号)。哨戒指揮八年。
第八 ユスト・ブラン(治療・防疫統括) 軍医総監格。最年長。
第九 ガーヴィン・モロー(情報・伝令・文書統括) 最古参。
第十 ペレン・コシュ(輜重補助・駐屯管理) 本年着任。最年少。
三、第六騎士団前哨部隊の壊滅について(既報の整理)
二十日前、第六騎士団前哨部隊は灰の谷北方の丘陵において魔王軍の待ち伏せを受け、壊滅した。騎士団長ロタール・ヘム以下四十七名が戦死。戦闘詳報より抜粋する。
「敵は我が方の進路を、既知の如く待ち受けたり」
生存者三名の証言は詳報に付す。魔王軍が当該経路に事前に布陣していた点につき、詳報は「偶発の遭遇に非ず」と結論している。
四、拾得紙片について
壊滅後の哨戒において、中継所付近にて出所不明の紙片一葉が拾得された。数字の羅列のみが記され、解読に至っていない。原文を転記する。
一四・七・一一 一四・一・四 一五・二・六 一四・二・七 一四・三・一二 一四・三・一三 一四・二・一三
一五・二・八 一五・二・九 一四・八・一一 一四・五・四 一四・五・三 一四・三・一一 一五・六・一 一四・八・一一
本紙片は監察官預かりとする。
──なお、本件に関する追加の調査は予定されない。
以上




