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幼馴染が、儚くて、ミステリアス。  作者: 小林ナイン
第1章 幼馴染は、変わらず、ミステリアス。
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27/33

Eps.027 縫いぐるみ

大変お待たせいたしました……<(_ _)>


次のお話は10/15目途に上げられたらと思っております。

予定が立て込んでいるために若干投稿が遅れてしまったら本当に申し訳ないです。

(大事なお話が続いているので猶更なるべく早く上げたいです……頑張ります……)


ご迷惑おかけしますが、何卒宜しくお願い致します……!

小夜と最後に会ってから6日後。

僕と咲良ははっきりと彼女の異変に気付いていた。


授業でも他の場所でも小夜を見かけない。


バイトで一緒に帰ろうという時も小夜が来ることはなかった。



初めは単に体調が悪いのかな、とも思った。

別に今もその線が完全に捨てきれたわけじゃない。


しかし、昨日咲良と話して違う可能性が出てきてしまったから質が悪い。


何もできない自分がもどかしくて仕方なかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「それでね、小夜ちゃんに連絡しても何も返事がなくて、大輝何か知ってる?」


「うーん、何も聞いてないな。確かに、同じ授業の時も見かけなかったね」


「そうやんなぁ。最後に会ったのはいつなん?」


「バイトだった時だから、5日前?とかかな」


「そっか。その時は何もなかったん?」


「うーん、あ、帰り際に店の前ぐらいで男の人と会って、その後から具合悪そうにしてたかも」


体調が悪そうだったのが心配で家の前まで見送ったんだっけ。


この前同じ授業だった時は「今日見かけてないな」としか思ってなかったからそこまで考えが至らなかった。


熱があるとかそういう感じではなかったし、あれから5日間も体調が悪いとは何があったのだろうか。


思い出せば怯えたような素振りをしていたし、あの男に何か原因が……。


僕がそう考え着いたのとほぼ同時に。


何かを考えるようにして黙っていた咲良が再び口を開いた。


「……男、ね」


「うん」


「別に普段の小夜ちゃんは男の人が苦手とはいえ、具合悪くなったりはしないのよ」


「そう、だよね。普段そんな具合悪くなったりはしないイメージ」


ってことはやっぱり考えすぎだったのか。そう思った時だった。



「実は、敢えて口にしたことはなかったけれど、小夜ちゃんには会わせちゃダメな人がいて」


「会わせちゃダメな人……?」


そんな話聞いたことが無かった。


「昔、小夜がストーカー被害にあっていたことがあってね。初めてその話を聞いたのが、ちょうど今くらいやったかしら。その人には相当トラウマがあるみたいで会わせちゃいけないのよ」




……。


驚いてしばらく言葉が出なかった。


そうか、そんなことがあったのか。


もしかすると、いや、もしかしなくても、その出来事が彼女の男性全体へのトラウマの一端になっているのかもしれない。


そうして黙っていると咲良が話を続けた。


「思い出したくもないみたいやから殆ど聞いたことはなかったけど、似てる人がいてね」


「似てる人……」


「一回、その人の特徴を聞いたことがあるの。それがいつも30番テーブルできつねうどんを食べてるお客さん。あの人に似てるなと思ってて」


30番テーブルとは例の席だ。


きつねうどんという特徴からもあの男で間違いないだろう。


「それでも、基本私たちがあがるのは閉店後やし、お客さんももういないから会うことはないと思って何も言ってこなかったんやけど……」


そうだ、あの日は。


休みの日だったからいつもより少し早くから仕事に入って、でも別の新人の子に締め作業をさせたいから早く退勤したんだ。


その結果、まだお客さんがいる状態で店の前を通ることになって……。


「確かに、この前は早く上がったし、そのお客さんと会ってから具合悪そうだった……」


僕が何とか声を絞り出して彼女に伝えると、咲良はやっぱり……と俯き「伝えていればよかった」と後悔をにじませた口調で呟いた。


だとしたら、僕らはどうすればいいんだろう。


単なる体調不良なのであれば、お見舞いにでも行ってどうにか回復を待てばいい。


僕らに出来ることなんてきっと腐るほどある。


彼女の側にだっていてあげられるはずだ。



しかし、今回に限ってはそううまくはいかないだろう。


だって、僕も男だ。


小夜に連絡をしていなかったので事態の深刻さに気づいていなかったが、咲良にすら連絡を返してこないくらいだから人と話すことすら厳しいのかもしれない。


「……何か、できることないかな」


「うーん、今はなんとも……」


悔しそうに下唇を噛みながら咲良は言った。


「とにかく、連絡が来たらまた大輝にも教えるね」


「ありがとう」


結局何も解決できないまま、そのまま僕らは別れた。



ーーーーーーーーーーーーー

僕はあれから、ずっと彼女のことを考えている。


もはやそれまで特に深く考えていなかったのが恐ろしいくらいに、ただただ彼女が心配だった。


机の上のスマホをただ茫然と眺める。


僕にできることは何があるのだろう。


そう思って僕はソファーの上に置いていたペンギンの縫いぐるみを抱きしめた。



こういう時に案外縫いぐるみというのは効果的なようだ。


羽根の下に両手を入れ、さっきよりさらに力強く抱きしめてみる。



やっぱり、なんだかすごく気持ちが落ち着く。


心の中にあったトゲトゲした感情が確かに洗い流されていくような、不思議な安心感がここにはあった。


そう思ってペンギンの頭に頭を沈めていると。


視界の隅でスマホが明るくなったのが見えた。


着信かな?と思ってスマホを開くと、確かに咲良から連絡が来ていた。


『小夜ちゃんから連絡あったよ コーンスープ届けてくる』


ふむ、コーンスープ……?


いまいち状況が飲み込めないが朝ごはんか何かなのだろうか。



僕はほっと、ため息をついた。


ひとまず状況は改善してきているのかもしれない。


でもまだ、僕には何ができるのか連絡をしていいのかもわからなかった。


何かをしてそれが刺激になってしまったらよくない。


まずは咲良からの連絡を待とうと、しばらくは彼女越しに小夜のことを見守ろうと決めた。

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