38 報告
クロの後ろに続いて、全員で階段を登り2階へ移動する。うえに上がるにつれて少しずつ1階の騒がしさが遠退いていくが、2階にたどり着いた瞬間。膜のようなを通過し、パタッと音が切られたように聞こえなくなった。
不自然な音の途切れに困惑していると、隣にいたリンから小声で
「今のは風と闇の魔法。消音の結界がある。」と教えてもらった。
一番奥の部屋の前でクロが立ち止まる。
そこで3回扉をノックすると、扉の奥から「入れ」と声がかかる。
ガルンが頭をかいて一言、
「酔ってテーブル叩き割った時以来だな…」
と呟いた。
…これから入る部屋は叱責部屋か何かだろうか。特に心当たりはない…はずである。
クロが扉を開けて、目で入室を促す。
ガルンを先頭に、エイル、リン、私の順で入入室する。最後にクロが扉を後ろ手で閉めて入室すると、部屋の奥で豪華そうな椅子に腰をかけ、机に組んだ両手を乗せた男性が話し始めた。
「呼び出しに応じてくれてありがとう。
初めましてのお客さんもいるようだから挨拶をしよう。オレはジェイルだ。お客さん以外は知っているだろうが、この冒険者ギルドっていう…まぁ何でも屋だ。そこを取り仕切ってる。よろしくな」
そう言って頭を下げるので私も頭を下げる。ガルンたちの上司にあたる人だろうか。
私も自己紹介するべきかと思ったが、ジェイルがすぐに話しだした。
「クロの報告にあったが魔女様だそうだな。そして…クロ、どういう風吹き回しで彼女を連れてきたんだ?自分の任務はいいのか?」
「こいつらの瞳が役に立ちそうだから連れてきた。任務の同行の許可をくれ」
そう言ってクロはジェイルの机の前まで行き、懐から出した紙を机に置いた。
ジェイルはその紙を見て苦い顔をした。
「おいおい。待ってくれ…リンたちはともかく魔女様?も連れて行くのか?話が急すぎるぞ。どうしてそうなった?」
ジェイルがそう話している最中、入ってきた扉からノックが聞こえ、ジェイルが返事をする前にクロが扉を開けた。
そこには、イースとロンがいた。
ロンは膝と手のひらを包帯やガーゼで覆われていた。恐らく治療していたのだろう。
戸惑った顔をしたまま、入ってきたイースは言った。
「クロさんから呼ばれて来たんですけど、今回の事件の報告だけではなかったの?任務がどうこう聞こえましたが…」
そんな彼女を見てジェイルは頭を抱えた。
「ったく……何から話せばいいのやら…。」
しばらく唸ったあと、事の顛末と詳細の説明を始めた。
要約すると、
クロはある任務でこの街に駐在していて、
そのクロから私の話を聞いて、ガルンたちに私に関しての説明を求めて呼んだそうだ。
そうしたら、クロが従事しているある任務の進展報告として、なぜかガルンたちパーティと私を引き連れてきた。
そして、なぜかクロがリンたちパーティと私にある任務の協力要請を打診してきた。
ということだそうだ。
説明を終えたジェイルはそのまま続けた。
「それで、まずはそちらの坊主だ。彼は怪我人か?今回の事件がどうこうイースが言っていたが…」
クロが
「被害者だ。」
ジェイルはまた頭を抱える。
「クロ、頼むから分かりやすく説明してくれ…それじゃあ何も分からないぞ…」
「…任務の標的の組織が加害者だ」
「………詳しく説明してくれ」
また、長い説明会が始まった。




