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魔法の使えない魔法使い  作者: 只野 凡


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37 再会


「うーん。」


私が魔法の師事をお願いすると、彼女は難しい顔をして唸りだした。何か、問題があったのだろうか。ソワソワしながら彼女の返答を待つ。


長い沈黙のあと、リンは重い口を開けた。

「…基礎の知識は教えられるけど…私の知識通りなら…難しいかもしれない。」


難しい…。


それはつまり魔法の習得が困難なことを言っているのだろうか。


それとも、彼女の知識では教えられる範囲がそこまで多くないのだろうか。


芳しくなさそうな返事に少し気落ちする。


もしかしたら、他人に魔法を教えるという行為事態に問題があるのかもしれない。

自分の生涯をかけて得た知識を、代価もなしに無償で教えるなど、ありえないのだろう。

いくら友人だと思っていたとしても厚かましすぎた。いつか、お金をためてもう一度お願いすることにしよう。


私には魔女の家から借りてきた()本があるのだ。しばらくは一人でも学べないことはない。時間ができたらまず一冊読んでみよう。


大切なことを何個か忘れている気がするが、

当面の目的は決まった。

自分の中で計画を建て終わったその頃。


少し前を歩いていたイースたちが、突き当たりの建物の中へ入っていった。大きな場所だ。人の賑わいも相当なものだ。

宴会でもやっているのだろうか。


イースたちに続いてクロも入っていく。


入らずに外で突っ立っていると、

「ここに入るよ。」とリンが私をリュックごと後ろから押してくる。それで前に進むことはなかったが、私たちの目的地がここで合っているらしいので、押されるがままクロたちに続いて中へ入っていった。



外からでも分かっていたが、広い空間だった。吹き抜になっており、上からロウソク円のように配置された巨大なシャンデリアが光源となって全体を照らす。


テーブルが立ち並び、雑談する者、飲み物、(恐らく酒だろう)を片手に歌うもの、突っ伏して眠りこけている者など、各々がやりたい放題している無法地帯のようだ。


奥にあるカウンターのような場所には、きちっと制服を着たここの職員らしき人もいる。

クロがそちらへ向かっているのが見えた。 


とりあえず後ろをついて行こうとした時、

丸いテーブルに座った二人組に声をかけられる。見覚えのある二人だ。

「おーいリン!それに……魔女さんか?えらい可愛くなってるじゃないか!」


「魔女さんじゃなくてアイリだ。服を買ったのか、似合ってると思うぞ。それと…アイツとは和解したのか…?」


ガルンとエイルだ。二人でここで食事でもしていたのだろうか。テーブルには空いた皿とグラスが2つ置いてあった。

私も気になっていたエイルの疑問に、リンが答える。


「わたしが救援で呼んだ。…結構まずい状況だったから。」


エイルは驚いた顔をして聞いてくる。

「また面倒事にあったのか?そして、最初の襲撃者に助けを呼んだ?どうなってる?」


「おいおい、帰ってきて早々何に巻き込まれたんだよ!怪我はしてないよな?」

ガルンが会話に割り込むように入ってきて私たちを観察する。一言、「大きい荷物だなぁ」と私の背中を見て呟いた。


リンがガルンの行動を気にもとめず質問する

「それより、イースを見なかった?」


ガイルは思い出した愚痴を言うように答える

「あぁ!聞いてくれよ。アイツ、孤児院の子を連れて入ってきたから、こんなところ連れてきちゃだめだろって伝えたら、こっちを睨んで行っちまったよ。ついさっきだ」


「…襲われたのは、さっきの子か?」

エイルが鋭い質問をしたところで、

クロから声がかかる。


「こっちだ。全員ついてこい」



 


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