表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の使えない魔法使い  作者: 只野 凡


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/55

33 仮面の男


 少年の足元から出てきた男は、少年の背後から覆いかぶさるように現れる。


必死に抵抗を試みる少年ではあるが、黒の鎖によって口を塞がれており、声を上げることすらできない。


何とかしなくては。得体のしれない仮面の男。勝算なんて分からないが、このままではお世話になった2人も死んでしまうかもしれない。それは余りにも目覚めが悪い。


とりあえず、鎖にだけは捕まるべきではない。足元には最大限注意を払う。


そして、イースかリン。どちらかを救出する。人任せで申し訳ないが、どれだけ弱っていても、私よりは戦えるはずだ。


私の武器は動かせる魔力だけ。


こんなことなら宿にこもって魔法書を読みこむべきだった。


背中から大きなリュックを下ろしながら心のなかでぼやいた。


 仮面の男は、動かない私から視線を外し、壁の方に叩きつけられた男を見る。既に意識はなく。ぐったりと壁に寄りかかっている。


「余計な手間を増やしてくれたな無能」

意識のない男に向けて手を向ける。魔力が腕に集約された瞬間。

腕から伸びる黒い鎖が意識のない男の胸に突き刺さる。

不可解な行動に質問する。


「仲間ではないのかい?」


男から魔力を吸いながら、こちらを見て仮面の男は答える。

「ただの駒だ。…面倒な奴らの前に呼び寄せやがって。運が悪かったな。お前らも」


魔力が空になった男が、鎖によって打ち捨てられる。恐らく、死んだのだろう。鎖は次の獲物を狙うように、身動きのできないイースたちに襲いかかる。


私はとっさに手を向けて、魔力を鎖の進行方向。イースたちの前に盾のように展開する。まっすぐ伸びる鎖は、魔力の塊に突き刺さるように止まった。

一先ず、彼女たちが殺されるのは防ぐことができたが、魔力の壁は溶かされるように縮んでいく。長くは持たないだろう。


「…?何をした」


魔力の見えない者には、急に鎖が停止したように見えるだろう。向こうは魔法使い。もちろん魔力については熟知しているはずだが、もしかしたら、魔力のまま操る行為というのは余りメジャーではないのかもしれない。



相手にとっては未知。

もちろん…こちらも相手の手の内は読めていないが。お互い知らない、分からないことだらけだ。互いに何をしてくるか分からない状況。男も、迂闊に手を出せないでいる。




『知識は命。生とは知識の探求。だからこそ未知とは恐怖で…』


「おもしろい」

誰の言葉だろうか。脳裏に突然よぎる聞いたことないはずの声。なぜだか自然と口が動いた。奇妙な出来事だが、嫌な気持ちはしなかった。危機的状態であるのに口元が緩む。


「…。」

仮面の男は新たに鎖を2本生み出し、私にめがけて飛ばす。

先ほどと同じように魔力の壁を展開する。


鎖は壁に突き刺さり、動きが止まった。


対処できる。

目の前で止まった鎖を視る。黒い魔力で覆われた鎖だ。


男から生み出されている鎖からは、絶えず男から魔力の供給がされているのが分かる。


私の魔力で防げることは分かっている。

手を魔力で覆い鎖を掴む。


「…!」

男の動揺が視える。


覆った魔力は薄くなっていくが、私の身体には何も問題は発生していない。長くは持ちそうにないが、耐えられる。


ちゃんと視れば、分かるじゃないか。


鎖から手を離し、全身を魔力の膜で覆う。


もっと知りたい。未知を。解き明かしたい。

この状況に相応しくない欲求かもしれない。


「…何者だ。貴様」


先ほどまでとは違い、明確に私への敵意が向けられる。ここからはお遊びでない。そんな気がした。


相手は私を脅威であると認識した。


私を、未知を恐れたのだ。


ならば、勝算はある。



「私のことかな?」


得体のしれない私を恐れている。


理解の及ばない存在。なりきってみせよう。



「私はね…魔女さ。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ