31話 新たな刺客
高級食材の処遇を巡る戦いから1週間が経った。2人はその間数多くのイレギュラーに見舞われたが、難なくそれらを跳ね除け目標数に指をかけていた。
モンスタードロップ
・石鱗リザードの石鱗×100 100/100
・シアンフロッグの皮×200 200/200
・ジャイアントスパイダーの糸×5 0/5
・スライムのかけら×160 160/160
採取物
・黄色輝石×3 3/3
幾つかモンスタードロップは既に納品され、倉庫は少し寂しくなっていた。なお、余分にドロップした、物は在庫として丁重にしまわれている。
2人は納品の手伝いをした後、寂しくなった倉庫の整理をしながら興奮気味に先程見た業者の納品作業について語り合っていた。
「なんか、凄かったよな」
「あぁ、箱に詰めてトラックに運ぶの手伝っただけなのに一人前の冒険者になれ慣れた気分だ」
初めは自分達が、痛い思いをしながら集めた物がトラックに積まれていく様は2人をなんだか感慨深い気持ちになっていた。
だが、それ以上にこの業界に踏み込まなければ見られない冒険者の別側面に触れる事ができた事が嬉しかったのだ。
一頻り自分達の成長を自画自賛した2人は、気を引き締め直すかのように真剣な面持ちを作る。そう未だ1つも手に入れる事のできていないモンスタードロップがある。
ジャイアントスパイダー数週間前カイを死ぬ寸前まで追い詰めた蜘蛛型モンスター。なんとか倒す事に成功したものの、以前強敵である事には変わりない。
カイは意を決した様に静かに戦意を高め、ハジメもあの時の情景を思い出し、今度こそ仲間をやらせはしないと闘志に火をつけていた。
「いよいよ、残すところあいつだけだな。」
「勝とう。今度は無傷で」
2人が明日の探索に向けて心の準備を整えているその時、別の場所鎌威組本拠地では組員と客人達の間で一触即発の空気になっていた。
「おいデージー、俺達を納得させる言い訳はちゃんと考えてんだろうな」
「はい。ちゃんと考えてますよ。じゃなきゃこんな所に来るわけないじゃないですか」
対面する両者は鎌威組、若頭 鎌野イタチ そして机を挟んで和やかな笑顔を浮かべているのが、探索会社デージーこと始末屋会社デージーの社長花垣トオル。
暫く2人による睨み合いが続いた後、若頭のイタチが圧を引っ込め話を促す。デージーの社長のトオルは、先ず謝罪と打開策を話し始める。
「先ずは謝罪を前金を頂いたのに関わらず、標的2人を始末できず申し訳ありませんでした。少々あの2人の実力を甘く見ていたようです。あのエリアで起きる大概の不慮の事故は試しましたが、どれも彼等を殺す事は出来ませんでした。そこで今回の反省を踏まえ、部下達では荷が重そうなので、私が出向き直接手を下す事にいたしました」
「ほう、お前がでるのか?勝てる見込みは?」
「彼等は第2位階1人と第1位階1人です。そして私は第3位階この意味貴方なら分かりますよね?」
作り顔の和やか表情が崩れ始末屋としての本性が顕になる。狂気に満ちたその顔に鎌威組の組員もデージーの社員も一瞬たじろぐ中、イタチは愉快そうに笑う。
「成程ないくら強者を揃えようとも1つ上の位階上位者に組織が潰される話は山の様にある。お前が直接出る事でれば確実に始末出来るだろう」
組織のトップがわざわざ出張る事で充分な誠意を感じられたイタチは上機嫌になり、抗争を避けられた事でトオルも作り顔の和やかな表情を再び纏う。
「でいた2人の首を持って来てくれるんだ?」
「明日にでも」
この日カイとハジメジャイアントスパイダー以上の試練が課される事が決まった瞬間だった。




