表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Life 夢の軌跡  作者: 伊藤ヲカシ
第1章
3/44

3話 パキラへようこそ

 アビスそれは1世紀前に突如として起きた変革の時にまで遡る。地殻変動の後日本の土地に起きた最も顕著な変化、それは昔新宿と呼ばれた土地に出来た半径100メートルの大穴だった。今や攻略不可能の底の見えない地下迷宮と呼ばれ、未だ人類が征服出来ていない変革の時以降の神秘の1つだ。


 そんな危険な場所が何故成り上がる場所として有名なのか、それは一世紀が経っても尽きる気配の無いアビスが生み出す未知の鉱石やそこに生息する化け物を倒す事で生まれる石や爪、牙などがあらゆる方面で有用であり、尽きる事ない金山として世界に知られているからだ。


 人々は需要が下がる事のないアビスの宝を求めてアビスのモンスターと戦い位階を上げて更に下へ潜ってモンスターと死闘を繰り広げる。世はまさに大探検時代なのだ。


その時代の流れに乗り自分もアビスを利用して成り上がる事を決意した灰は、今病院のベットの上で悪魔と心の中で罵った女の背にしがみ付いていた。


 退院した灰と彼を後見人として引き取った女性小野寺凛は現在自分達の会社のオフィスに向かってバイクを走らせているのだ。


「おい、あんまり引っ付くな。セクハラで訴えるぞ」

「うるせー。バイクの後ろに乗るの初めてなんだよ。もうちょい安全運転でいけよ」

「なんだ第2位階のくせにビビりか」

「ビビってねぇーよ!!」


 そう言いながら2人がじゃれ合いながらたどり着いたのは一応東京に位置しているが賑やかな地区からは少し外れにある街のcoffee cafe白馬と書かれた店。


「カフェじゃん」

「バカ上だ。」

バイクから降りた灰が店の前でこれの何処がアビス探索会社のオフィスだよ?とジト目で凛を睨むが、凛は横手に、バイクを止めた後なれた足取りでcoffee cafe白馬の横にある階段を上がって行く。


「此処が私の会社アビス探索会社パキラだ!!」

「…名前かわいい」

「そうだろう。勝利の花言葉があるんだ」

「ブレないなこの女」


灰が凛の背を慌てて追いかけた先にあったのは、少し煤けた白い壁紙に明らかに中古のでかいオフィスデスクと型落ちした古いノートパソコンをコーヒー片手にカタカタと鳴らす女性だった。


「あっ社長ーおはようございまーす。後ろの子が例の新人くんですか?」

「おはよう胡桃(くるみ)。そうこいつが私の下僕にして、お前の同僚の狼原灰(カミハラカイ)だ。敬語も使えないクソガキだが、仲良くしてやれ」

「はーい。私は森下胡桃(もりしたくるみ)よろしくね」


 胡桃と呼ばれたスーツを着た女性を見た灰は、その童顔でクリっとした可愛い見た目から小動物を想起させつつ挨拶をする。


「厚化粧してるけど俺とタメじゃねぇか?ならタメ口でいいだろ?」

「あらやだ。めちゃくちゃいい子じゃないですか社長ー」

「何言ってる。そいつは今年で2ー」「社長?!」

「まぁ、お前もうちの社員なんだから社会人としてのマナーは守れ社長命令だ」

「…はい。よろしくお願いします」


 ちゃんと敬語で返事をした後に胡桃に頭を下げた灰を見て満足げな顔をした凛は、壁の端に避けられていたホワイトボードを引っ張り出す。

「注目!!」


 灰と胡桃の視線を浴びながら水性ペンで問題点と大きく書いた後、改善すべきポイントをズラズラと書いていく。


・赤字

・ノウハウがない

・肝心の冒険者がクソガキしかいない

・販路拡大のコネがない

・私が美人すぎる


「おい!!最後の関係ないだろ?!あと俺はクソガキじゃない!!」

「そうですよ社長私と女性社員が美人過ぎるに描き直してください」

「書きたいなら自分で書け」

「くっはい!!」

「このノリめんどくせぇな」


 うんざりした表情を浮かべる灰をよそに最後の問題点が胡桃により書き直された後、ホワイトボードをキャップで蓋をしたペンで突きながら凛は話を進める。


「まぁ、どれも看過できない問題だが、最大の問題はお前だ灰」

「ペンで人を指すな」

「まぁ、実際アビスでの探索を1人でやるのは死傷率が統計から見ても高い数値ですからね」

「そうだ。それにこのバカは、戦闘もアビスの立ち回りも知らない素人だ」

「おい叩くな」 

「そうですよねーうちにノウハウなんてないですからねー」

「撫でるなよ。っていうか俺中学生だけどアビスに入れるのか?なんか資格とかいるんだろ?」


 ペンで指すなと言ったら今度は周りこんで背中をペシペシと叩く凛と反対側でオオヨシヨシと言いながら頭を撫でる胡桃、そして不機嫌そうな顔を浮かべ不満を言いながらも2人にされるがままになっている灰は、肝心な事を聞く。彼は確か最低でも15歳からしかアビスには入れないと公民の授業で習った事を思い出したのだ。


「それは大丈夫だ。今年になって救済措置が取られたからな。胡桃説明してやれ」

「はーい。才能ある若者育成に企業が力入れてねアビス庁が重い腰を上げて今年になって規定を変更したんだー。確か位階が第2位階以上なのと企業の社員なら13歳まで年齢の引き下げがあったの」

「13歳って随分都合がいいな」

「まぁ、少しでも小さい頃からアビスで強くなった人材を社会は求めてるってことだ。というわけでいくぞ」

「ちょっ、いくって何処に何しに行くんだよ?!…です?」

「決まってるだろお前の資格と装備を整えに新宿だ。あと、データ送っといたから後は頼んだぞ胡桃」

「はーい」


 まだ状況が飲み込めきれてない灰を引き連れ再び会社を出た凛は、新宿に向けてバイクを発進させたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ