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Life 夢の軌跡  作者: 伊藤ヲカシ
第1章
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2話 悪女との契約

 夢を見ている。記憶にもない顔もぼやけた自分と似た髪色を持つ男と母親が談笑している。やがて2人は俺が突っ立って2人の談笑風景を眺めていた事に気付くとこちらに手招きする様なジェスチャーをする。


 これは夢だと分かっている。だが、願わずにはいられない願わくば母さんが死んだ親父と再会できていると良いな。泣かないで笑っていてほしい。


 両親に背を向けて反対方向に歩き出す。光っている何かを目指して歩み続ける。すると段々と意識が覚醒していくのがわかる。


 もう直ぐ目が覚めるのだと自覚すると同時に意識が現実に引き戻され重い瞼が微かに開く。まだピントが合わずぼやける視界に白い天井が映る。


 暫くの間体を動かすことなく、意識を覚醒するのを待つ。次第にカーテンから漏れ出た光によって意識が覚醒していく。意識が覚醒したら次は頭だけ動かして状況を確認する。


自分の片腕には医療ドラマでみた点滴がされており、此処が何処かの病院だという事がわかる。


一先ず変な所じゃ無さそうな事に安堵すると共に夜の街での意識を失った後の事が、全く分からないので看護師さんが来るまで大人しくベットで横になった。


ボーッと病院の天井を眺めること1時間漸く看護師さんが通りかかり、意識を取り戻した事により医者の診察を受けたあと色々な立場の人がきて、道端で意識失った後の顛末と母親がどうなったのかが教えられた。


 先ず意識を失っていた俺の近くを通りかかった女性に救急搬送されこの病院にまで運ばれてから5日間意識が無かったと告げられた。


 その後医者からは暫く入院して経過を見たいと言われたが、後遺症も無く早期退院ができると言われた。大量の煙を吸っても生きていてなおかつ五体満足なのは異常で、調べた結果肉体の位階が1つ上がっていたと言われ驚く。


 世界史でも習ったが、この世には1世紀前に地殻変動が起き世界に変革の時が訪れた。世界中に不可思議な現象が起き人が住める場所じゃ無くなる地域が出始める事件や紀元前の遺跡が活性化して攻略不可能な迷宮になるなど不可思議な現象が起きた。


 ただ変化したのはこの世界の環境だけでなく世界に生きる人類や生物にも適応されたのだ。なんと軍人や武人、生と死を彷徨った人の中から従来の人間が出せる肉体性能の限界を遥かに超えた数値を叩き出す者が現れ始めたのだ。


 これにより、世界各国は、各々法律やらモラルやら経済活動、社会の仕組みのあらゆるものが改新されたと習った。


 話を戻そう。何はともあれ自分は生死の境で限界を超え、1つ殻を破り第2位階の肉体を手に入れたことで死を回避できたのだ。怪我の功名と言っていいだろう。


 次にスーツを着た大人達から母親について聞かされた。俺の予想通り母親は無理心中をはかり人が駆けつけた時には死んでいたと告げられる。そして、近親者からの葬式の費用は出すが後は知らないと言われたらしい。つまり顔は見たことはないが、祖父母にお前の面倒は見れないと言われたのだ。


「あぁ、話は最後まで聞く様に君に祖父母から頼まれた未成年後見監督人が来ている」


 落ち込む暇もなく淡々と話を進める大人の話を聞いていくとどうやら自分の身柄は、未成年後見監督人とやらが引き取ってくれるらしい。


 説明が終わったのかスーツを着た人が病室から出て行った後入れ替わりで何となく見覚えがあるサングラスを掛けたスーツ姿の綺麗な女性が入ってくる。


「やぁ少年5日ぶりだね。目が覚めて良かったよ投資した金が無駄にならないか冷や冷やしたよ」

「あんた、だれ?」

「ああ自己紹介がまだだったな。小野寺凛だ。意識を失った君の為に救急車を呼んだ後、更にお金の力で素性を調べ上げて後見人になった女だ」

「後半は知らんが、取り敢えずありがとう」

「おお、後半はって事は思い出したんだな?」


朧げだが、覚えている。急に面接だの夢はなんだの聞いてきた変な女だ。しかも俺の後見人にまでなったとか頭おかしいんじゃないのか?


「何が目的だ?」

「ん?」

「なんで俺の後見人にまでなったんだ?普通救急車を呼んでおわりだろ?」

「ふふ、よくぞ聴いてくれた。ずばりお前の様な体のいい(しもべ)が欲しかったんだ」

「話が見えてこない1から説明しろ」


 凛は、怪しげな笑みを浮かべた後、紙芝居を取り出してなんと朗読会の様に一枚一枚手書きの下手くそな絵を前につきだしながら自分の話を語り出した。えっ、まさか紙芝居形式で説明されるのか?


「私、才色兼備のスーパーウーマン小野寺凛な現在20歳という若さでアビス探索会社を新たに起業し東京のはずれにオフィスを構えたんだが、事務をしてくれる従業員はいても肝心のアビスに潜ってくれる奴がいなくてな。募集かけながら、足を使ってスカウトしようとあちこち駆けずり回っていた所、運良くダイヤの原石が道端に転がってるじゃないか、だから拾って自分の物にしたわけだ。」

「つまりお前の会社の為に、俺にアビスに潜れって事か?」

「その通り、お前はこれから私の社員だ寝床と飯は用意してやるからキビキビ働けよ」

「ふざけんな!!なんでお前の為に死ぬ目に遭わなきゃいけないんだ?!」


 病室のベットを殴りつけながら凛を睨みつけて吠える。こんな奴に騙されて搾取されるなんて嫌だ。殴りつけられたベットから凄い音がするが、女は表情1つ動かさず俺の顔の前にしゃがむとサングラスを外し至近距離でガンを飛ばされる。


「…家が欲しいんだろ?」

「えっ?」

「教えてやるよ、お前の母親が死んだのはなんの力もなかったからなんだよ!!お前も搾取され尽くして死ぬのが嫌ならな、成り上がれ!!誰にも搾取されないぐらい強くなれ」

「どれだけ強くなれば自由になれる?」

「私の手から離れたければ、3億納めな。納めて成人すれば晴れて自由だ」


覚悟を決める。俺は今日この日病院の中で冒険者になり成り上がること決め、美女の皮を被った悪魔の手を取った。

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