19話 転生でないのなら...その意味は? 中編
「言い訳がセコいな」「ホンにのぅ」『何でよ!?』
俺のツッコミにリアが頷き同意する。そんなリアが突然ビクッと身を震わすので、何事かと思い俺も辺りに気を配ると...
ココッツ、ココッツ、ココッツ...
足音が聞こえてくる。しかもコレは
(スキップ?)
だと理解した瞬間、俺はセシルと入れ代わる。
魂の回廊から入れ代わるのは割と簡単だが(と言っても相手が魂の回廊側を意識していればだが)、逆に魂の回廊側に行く方が難しい。耕助はセシルの尻に敷かれてるっぽいので彼女に言われるとパブロフの犬みたいに聞いてしまうが、俺にセシルをそのように動かす権限は無い。
「(お主も敷かれておらんか?)」
「(リアの尻にな)」「...(物理的な意味では無いぞぇ?)」
俺がセシルと入れ代わろうと苦心していたらリアに変なツッコミをされたが、あまり深く考えずに受け答えしているとリアが照れだした。
そんなリアを尻目に俺は、セシルが深く思考しようとしたタイミングでコチラに引き寄せるイメージを強くする。
そして自身は空いた魂の回廊側に寄せ、セシルの魂を本人の身体に滑り込ませる。
さっきも言ったが...入れ代わってさえしまえれば、魂の回廊側に居る自分が意識をシッカリ持つ事で無理に入れ代わられる心配は無い。ただ
「セシルが考え事してた所為でリアの念話が聴こえなくなってしまったな」
まぁソレは構わないと考えながら、今度は耕助の意識が魂の回廊側から離れる前に呼びかけないといけない。
「すまん。さお姉に説明は終わった?」
『三歳君?いつの間に入れ代わったんだい?』
そう思って質問したら質問で返された。ソレでもまぁ、コチラに意識がちゃんと向いてると確認出来たので良しとするか。
「セシルが何か考え事してたんで、今がチャンスだと思って入れ代わったんだ」
『チャンス?向こうで何か...あぁ、そういう事か』
俺の答えを聞いて違う疑問を抱いた耕助は、俺に聞くよりセシル側を直接覗いて理解したようだ。
俺の方からも視えるが、リアは早々に退却(寝たフリ)してエマから逃げている。エマの相手を押し付けられたセシルだが、彼女にとっては実の妹だ。何の苦も無いどころか、普通に可愛がっている。
『耕にぃ?』『あぁ、ゴメン。説明が途中だったね』『うん♪』
耕助も妹を可愛がってんな...
そう思いながら
(兄貴に可愛がられた記憶かぁ)
兄妹と兄弟の違いって、普通にあるよな...
小さい時は似たような感じだが...大きくなるにつれ、兄弟の在り方は兄妹とは違うなと感じた。
ってセシルは姉妹か...
セシルは性別こそ女性だし話し方もそうだが、基本考え方や生活態度に男性的な部分が見え隠れする。
にも関わらず
「(要所要所で)女を武器にするんだよな」
『ソレ、私の事?』「ぬぉ!?いつの間に?!」『ソレはコッチの台詞よ!』
なんて事を考えていたらセシルに聞かれていた。
『何言ってんの?シッカリ念話してたわよ!』
『じゃなきゃ僕にも聞こえてないからね』「あぁ〜」
セシルと耕助に嫌味や突っ込みを言われ、更にさお姉にまでネチられる。
どうして分かったのか聞いたら
「戦艇側と話す時は電話持つみたいにして念話してねってお願いしたからねぇ〜♪」
という事らしい。勿論俺にもそうしてと言われた。なので俺は今、誰にも電話してないのにスマホを耳に当てている。何にも聞こえないスマホが耳の傍に在るのは...正直、違和感が半端ない。
因みに今話題に上がっているのは...
『確かにソレは有るかも知れないね』「まぁな」
何故長時間入れ代わっているのが良くないのか...だ。
なのでそれなりに長く入れ代わっていた為その辺りの事情を話し、俺は既に耕助と入れ代わっている。
『ただその理屈だと...僕と君が入れ代わる分には、それ程影響は無いんじゃないかな?』
「セシルよりはマシってだけで、仕草や身体の使い方が違うからそのうち違和感が出ると思うぞ」
俺がそう言うと
「そうかなぁ?違う使い方をすれば筋肉の使い方が変わるから健康に良さそう♪」
『沙織〜♪頭良いな』「それ程でも♪」「待て...何で分かるんだよ!?」
さお姉が余計な事を言い出す。口を挟むだけでも面倒くさいのに...
『でもまぁセシルとは控えた方が良いだろうね』「お?どうしてだ?」
俺の言葉を聞いてドヤるさお姉だが直ぐ様睨んでくる。どうやら顔色に出たようだ。
そんな空気を読まない耕助が、先程言ったセシルとは長時間入れ代わらない方が良いって事に言及する。
『彼女は女性だからね』「ソレはそうだ」『だからね...』
そう言って語りだした内容に、俺は思わず赤面した。
「『ちょっと耕にぃ〜⤴』」「『何で被るんだよ?!』」
確かに思い当たる節はある。実はさっきセシルの身体に居た時、地味に辛かったのだ。
何故辛いのか、ソレは...あの日だか『まだ来てないわよ!』...え?
『三歳君?アレは来る前に予兆があってね?』
『耕助に説明されたくないんですけど!!!』
そう言えばさっき...確かに付けてなかった『思い出さないでよ!?馬鹿!!』ような?
「デリカシー」「えっ?!」「デリカシーないんかぁ〜!!!」「ぐぉ!」『やったれ沙織ぃ〜♪』『うぁ...』
デジャヴュ...
(前回は魂の回廊側だったが、今回は体験側かぁ...)
そう思いながらも
(俺、悪くないやん)
過去も今も耕助が原因じゃないか...
『ダメージも全て君(の身体)が受け持ってるね(苦笑)』
耕助...やっぱソコは他人事かよ
俺は気が遠くなりながら...失神した。
「...ん、...っん!みっくんてば!!」「ぐへっ!!」
腹に強い衝撃を受け...目覚める。
「はぁ...はぁ...」「よ、良かったぁ〜」「ちょっ...!」
そしてさお姉に抱きつかれた。何故か短距離走でもした後のように、息が荒いし鼓動も早い。
「良かった...生きてた」
何を当たり前の事を...と思いながら
「さお姉が絞め落としたんじゃないか!」「...ごめん」「あ、いや...そこまで!?」
抗議しようとしたらガチ泣きされ、その上もう一度抱きつかれた。その様子が可怪しいので
『良かった...間に合った』「は?」『多分呼吸が止まったのよ』「はぁ〜?!」
確かに...冗談でも首を締めてはイケない。体感的に予測だが、揺さぶられた時に意識が飛び、一時的に呼吸が止まったのだろう。だが心臓が止まった訳ではない。なので酸素供給が絶たれた為二酸化炭素濃度が上がって...結果脳幹から自律神経に〝呼吸しろ〟と、要は無呼吸症候群からの回復と同じ現象が起きたのだろう。
「ってヤバかったじゃねぇか!?」「ごめんなさぁ〜い」
顔をグシャグシャにして泣くさお姉だが
「あれ?耕助は?」「え?」『耕助は...』
この状況でも謝って来ない程、流石に無神経なヤツじゃない。だが
「耕助?」『......』「耕にぃが...どうしたの?」
魂の回廊に、耕助の気配が感じられない。
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