15話 ソレはソレ、コレはコレ...な話
「要するにモノの言い方を変える努力をすれば良いのじゃろ?」
突然リアが明後日の方向を見ながら喋りだした。
何事かと思いながら見ていると
「ソコで思考停止するからじゃ!言われた側の気持ちを考えてから、言い回しを変えれば良いと言うとるんじゃ」
なんとなくだが耕助と話しているのだろうと検討をつけ、私もアチラに向かう事にする。
「クレア、ちょっと三歳たちと話してくるわ」
「はぁ〜い」「お姉様?なるべく声に出してお話して下さいね♪」
クレアに一言だけ告げて直ぐに向こうへ意識を向けるつもりだったが、ランシェの言葉を耳にして一瞬躊躇した...が、その眼差しを見て踏みとどまる。
「覚えていたらね」「そんなぁ〜」「大丈夫ですよ♪エマ様同様勝手に喋りますから」
エマにも一言告げてから改めてアチラに意識を向けると、クレアの余計な一言が先程同様耳に入ってきたが...
(戻ってきたらクレアには何かお仕置きしなきゃ)
ランシェに睨まれているクレアを見ながら、私は三歳と耕助の魂に干渉した。
『それにしても...セシルは何をしておるのじゃ』
リアがゴチるのでどういう事かと聞くと、コチラに来る時セシルを見ながらワザと声に出して話してたそうで...ソレを見ていたのだから、セシルは直ぐに来るだろうと思っていたらしい。
『ゴメンね遅くて』『遅いのじゃ!』『ちょっとクレアとランシェに『おちょくられとっただけではないかぇ』...そうね』
などと言っている内にセシルがやって来た。
「それで...セシルは状況を把握しているのか?」
俺が何の気なしに聞いてみると
『何となくしか分からないわ。経緯だけ教えて頂戴』
俺や耕助、リアの感情ですれ違いが起きた事くらいは分かるが、やはり何がどうなったかまでは視ていなかったらしい。
途中参戦だが俺の思考を読んだリアがセシルに状況を伝えると
『なんだ、そんな事か』
アッケラカンとした感じでセシルは語りだした。
『そんな事簡単よ。ソレはソレ、コレはコレよ』
と言って別々に考えれば良いと言い出す。
『要するに、ぶつかれ...という事かよ?』
『有り体に言えばそうなるわね』
セシルが言うには、感謝と文句を同時にやれば良いという事だが
『同時は無理じゃないか?』
『その時の流れで先に処理しやすい方からやるのよ』
俺が無理だと言うとセシルは
感情が先に立っているなら気持ちから
冷静なら事後処理から
先に済まして、後からもう片方をやれば良いと言ってきた。
「そんな上手い事いくか?」
『ソコは慣れよ』
俺が中々そうはいかないと口にすると、何故か今度は耕助も俺と同意見だと言い出す。するとセシルは
『全てに良いとこ取りなんて出来ないわ。そんなの二人とも解ってるでしょ?割り切る事が大事なのよ。自分だって出来ない時もある。ソレを棚に上げて話しても良い。要は互いを認め合う環境が大事なのよ』
そうまとめて来た。
『確かにセシルの言う通りだけど、結局ソレが出来るのは立場のある人間だけだよ』
だが、納得いかなそうな耕助がセシルに何とも出来ない不平を口にする。そして今度は俺が
(ヤバい...ソレは俺も思ってしまうわ)
耕助に同意してしまう。何故ならソレは、俺も耕助も雇われ側だったからだ。
『ソレはちと卑屈ではないかのう?』「『止めてくれリア。地味に刺さるから』」『難儀じゃのう』
するとリアに呆れられてしまったが、俺と耕助はそんなリアにどうにも出来ない不満をぶつける。
だがそんな耕助にセシルが反論すると、耕助も負けじと立ち向かう。
『そんな事言うアナタだって私にあ〜しろ、こ〜しろと念を送ってたんでしょ?』『ソレは『やってないとは言わせないわよ?さっき三歳に、夢の中で私に指示出ししてたって言ってたじゃない』指示出ししたなんて言ってないだろう?』『似たようなモンじゃない?!』『いや、僕の思考をソッチが勝手に盗んでたんじゃじゃないか?!』『盗んだ?!さっきは僕の想いにセシルが釣られてたとか言ってたクセに!』『くっ...』
だがどう見ても耕助側の旗色が悪い。ソレはそうだろう...クランディアに居た時セシルは現実だったのに対して、耕助は夢見心地だったのだから...
『非現実か...確かに現実味は無かったね』
『でしょうね...私だって今でもあの時耕助に誘導されてたって思ってないもの』
そんな風に俺が感じていると、その想いを感じ取った耕助が俺の考えに同意した。
『確かにクランディアで学んでない知識を私は次々に実践していったわ。ソレは間違いなく耕助に導かれたようなモノかもしれない。でも...私は不要だと思ったモノは採用してないし、戦場でもアナタを否定した事はあった筈よ』
だがセシルは、そんな耕助の思慮と自分が下した判断規準との同期を完全には認めなかった。影響は受けたが、自分は傀儡では無かったと断言する。決めたのは私なのだと...
『もうその辺りで良いじゃろ』『そうね』
流石にコレ以上ゴネるのは大人気ないと感じていたら、リアが止めてくれた。
俺の感情を読んでの対応だろうと思っていたら
『そうせんと、お主らドンドン卑屈になっていきそうじゃったしの♪ソレに...』
リアは少し溜めてから
『今なら同期する感覚とやらを感じておるのではないかぇ?』
二人が来る前に俺らが否定した事を持ち出してきた。そんなリアに対して思わず
「いやソレは...共感であって『そうだよ、今のは社会人として過ごした過程で似ている部分があったってだけだよ』そうソレ!」
『そうかぇ?今のも違うと言えるのかのぅ?』「『......(反論出来ん)』」
感情の赴くまま反論を試み、耕助の意見に乗っかったら...更に墓穴を掘るハメに...
そんな俺たち二人にセシルが
『もう降参したら?』「『...参りました』」
と言うので俺と耕助は負けを認めたのだが
「ちょっと待て!何で俺まで耕助側なんだよ?!」
『今更?』『今更じゃの?』『今更だね』
いつの間にか俺まで敗者側にされた。だがそもそも勝ち負けの話じゃ無かった筈なのに
「どうしてこうなった?!」
俺が少し錯乱気味になっていると、何故か三人は笑いだす。
そうして落ち着いてから気付く。
「なんにも解決してねぇじゃねえか」
そう...場が和んだだけで、何一つ解決していないのだが
『良いのではないかぇ?』『これからに期待でしょ?』『まぁ、僕は変わらないけどね』「『『おい!?』』」
何となくだが、これからは色んな事がマシにはなる。そんな空気になった事は、良い事なのかもしれない。
読んで頂きありがとうございます(╹▽╹)
☆☆☆☆☆評価…可能であれば…
リアクション……お気軽にして頂だけたら幸いです♪
感想、レビュー…ハードル高いと思いますが頂だけたら嬉しいです(≧▽≦)b"




