6話 消えぬ記憶、癒えぬ傷痕 サイレント・ヴィジョン
「何を言い争ってるのかと思えば...また耕助か...」
『またって言い方はヒドイな』「ソコは受け止めて下さい」
セシルとリアの念話を感じたので、ソチラに意識を向けるとヤッパリ言い争っていた。
『丁度終わった所ではあったぞぇ』『終わらせたの間違いじゃないかな?』『続けたいの?』『無駄な争いはしないでおこう』「ソレは賢明な判断だ」『......』
リアが既に片は付いたと言うと耕助が若干不平をこぼし、間髪入れずにセシルが圧をかけると耕助は白旗を上げた。もうこの流れが定着してきたのを見越して俺が耕助の言を肯定すると、ヤツはやや不機嫌になったのか返事はせずに黙ってしまう。
「そんな事より、妹たちは今何をしてるんだ?」
『彼奴なら早速やらかしおったぞぇ♪』
「ん?!もう?何をしたんだ?」『有り体に言えば...軍務違反』
はあ〜?!敵も居ないのにどうやってそんな事やらかせるんだ?...と俺が固まっていると
『勝手に出撃しようとしたんじゃよ』「出撃?!」『アナタの書斎に行こうとしたのよ。飛べないのに』
マジか...って飛べないってどういう事だ?俺がまたもやラグると
『大きさが違う故、呼吸が出来んのは知っておろう?同じ事が、我らの設備全般にも言えるのじゃよ』
「そうなのか?なら、どうしてセシルの機体は動けるんだ?」
『動くだけなら他の機体も動けるわ。でも、飛べるのはシュツェンゲルだけなのよ。アナタの魔力を使ってね』
そういえば言ってたな。俺の耳から飛び出した時に...
『あの時は臭かったわ』「ソレ、思い出す必要あるのか?」『無いのう』
なんて馬鹿な会話をしながらも色々思い出す。そう言えば飛空艇を飛ばすのにも、俺の魔力を使ったとか。
『無限とも思える魔力、この世界だと宝の持ち腐れだけどね』
「そんな事無いだろう?本来動かないモノが使えるんだから」『ソレはそうじゃの♪』
セシルが戦力として考えた事に対し、俺は普段遣いで起動しない設備が使える事に有り難みを感じて欲しいと考えた。するとリアが同意してきたので
「その魔力は直接セシルが触れるモノにしか流用出来ないのかい?」
『どういう事?』『なんとも言えんの。可能なのは戦艇のみかのぅ?』
電気を貯めるのと同じように魔力も貯めれないか聞いてみたが、どうやら飛空艇だけ可能なようだ。
「なら飛空艇に貯めた魔力を使う事は出来ないのかい?」
『各機体にソレを貯める仕組みがないわ』「ふ〜ん」
と思いながらも、俺はとあるアニメを思い出していた。すると
『その手があったか!やれるやもしれんぞ?』「本当か?!」『何?!どういう事?』
リアが俺の考えを読んで、出来るかも知れないと言う。セシルが分からないと言うと、ソコはリアがフォローする。リアの説明で理解したセシルは
『凄いじゃない!飛ぶのは兎も角、速く動けるようになるのは助かるわ』
作業効率が上がる事に喜んだ。
「あんま、こき使うなよ?」『『大丈夫じゃ♪』』「二人の温度差よ」
どちらもヤル気に溢れているが...リアが交替を含めて最適化を考えたのに対して、セシルは最大効率を思い描きやがった。当然俺とリアから突っ込みが入る。すると
『ちょっとリア?アナタさっきまで私と一緒にノリノリで『悪魔族じゃから良いんじゃ!』ソレだけじゃないでしょ?!』
セシルがリアに突っ込む資格は無いと、先程までのやり取りを思い描く。
その時、セシルが思い描いたやり取りの中に気になる事が...
「セシル?エマがやらかした後って...結局どうしたんだ?」
『どうしたとは?』「その、処罰的なモノだよ」『あー…入れたわ』
俺がさっき感じた、エマへの処遇をちゃんと言葉で聞く事にした。だがセシルの物言いが...どうも歯切れが悪い。今も肝心な所で言葉を濁している。
「なぁ...今まで俺は念話が聞き取れなかった事なんて、無かったと思うんだ」
『うっ!』「うっ、じゃないんだよ」『観念するしか無いのぅ』『やっぱりか』
俺が感じたのは暗くて狭い部屋...と言うには殺風景過ぎる場所だった。アレはまるで
『その通りじゃ』「やっぱり牢屋かよ!」『独房ね』「大した違いじゃないだろ?!」
「落ち着くのじゃ三歳」「そう思うなら、俺をエマの元に案内してくれ!」「分かったのじゃ」
気付けば、俺はセシルと入れ代わっていた。俺がその事に気付くより先に、リアは俺の手を引いて歩き出す。
「大丈夫じゃ、快適...とまではいかんが、そこまで酷い場所では無い」
「そうか」「あぁ、そうじゃ」「......」
リアは歩きながら、俺の顔を何度も見上げ...しかも慈愛に満ちたような表情で、幼子をあやすように語りかけてくる。流石に見た目が12歳くらいの女の子にそんな顔をされると、いやでも落ち着いてくる。
「ふふっ、どうやら落ち着いたようじゃの♪」「すまん」「良いのじゃ、我には隠せんからのぅ」
『別に、やりたくてやった訳じゃないのに...』「分かっておるから、のぅ?」『......』
そしてソレは...セシルも同様だった。リアと違ってセシルの場合、心情も伝わってくる。だから
「すまんセシル」『いいわよ、別に』「それでもだ」『...分かったわ』
敢えて言葉にする事で、互いの心情を肯定した。
「良いのぉ...我には情景では無く記憶として伝わって来る故、複雑でありながら単純などという相反する結果が同時に発生する事など絶対に起こり得ぬ」
「お、今度はリアが慰められる番か?」「別に拗ねてなどおらぬわ!」『良いのよ?甘えても♪』
そんな俺たちのやり取りを羨ましそうにするリアを見て、今度は俺が慰めようとすると...本人は拒否してきた。そんなリアをセシルがからかい半分でおちょくる。
「お姉様に大精霊様?さっきから何をお話になっているのですか?」
「お?もう着いてたのか」「もう少し先じゃがな」『ソコを左に曲がった所よ』
気付けば、目的地に到着していた。正確には目前といったところか?
セシルが言うように目の前の十字路を左に曲がると、少し暗くなっている通路が見えた。
曲がりしな反対側が気になりソチラを見れば、アッチは完全に消灯している。
角を曲がった後声のした方に向かって歩いて行くと、通路より更に暗い部屋からエマが顔を覗かしていた。
リアが言ったようにそこまで酷くないのか、当人に辛そうな素振りは見えない...が
「ココは...寒くないのか?」「ミトセ様が今、眼の前に居られるのですね?」
俺は部屋の暗さと独房と言われた場所が、想像してた牢屋より更に狭くその所為で感じた閉塞感から思わず体感温度が下がってしまった。リアの翻訳のおかげでエマがなんと言ったかは直ぐ分かったが、逆にエマは俺の言葉を理解出来ていない。その状況と相まって、俺はどうしようもない焦燥感に苛まれた。
「サミジナよ!ソコに居るんじゃろ?鍵を持って出てくるのじゃ」
『ちょっとリア?!』「構わんじゃろ?その可能性も少しは感じておったではないか」
リアが俺の心境の変化に気付き、緊急対応を試みてくれているのが分かる。
セシルも最初は咎める気だったようだが、リアの言葉で俺の変化に気付き対応を変えた。
(退勤処理をした後に...電気の消えた部屋で、終わらない業務)
俺は自分の胸を抑えながら、呼吸を整えるのに...数秒を費やした。
読んで頂きありがとうございます(╹▽╹)
☆☆☆☆☆評価…可能であれば…
リアクション……お気軽にして頂だけたら幸いです♪
感想、レビュー…ハードル高いと思いますが頂だけたら嬉しいです(≧▽≦)b"




