4話 天然やんちゃ娘(トラブルメーカー)...始動(笑)
『ちょっと...『いや、セシルよ...今のは我らに直接ではなく、その態度がそう思わせただけで他意はないぞぇ?』それはそうなんだろうけど』
二人の言葉に何が起こったのか、直ぐには気付けなかった。そんな俺を庇うように尚もリアが言葉を続ける。
『分かっておろうが、我らにもその気はなかったぞ?』
「さっきからなんの事を言っているんだ?」『お主、自覚が...いや、コレは違うな。あの時と逆パターンかぇ?』『どういう事?リア』
リアが言うには、俺は頭で理解しても感情が追いてこない。又は感情がそう命じても、頭が受け付けない。そんな感じだとリアが指摘してきた。
「要するに、さっき俺は不機嫌になってたのか?そしてその原因に思い当たる節がありながら、その感情を無視していたと?」『そういう事じゃ』『んで?それって結局どういう事なの?』
そのままリアがセシルに、俺の感情と頭の中で流れた記憶を詳らかにする。
「なんか自分で気付いてない葛藤を他人に詳しく説明されるのって、すんごい変」
『そうじゃろうのう』『ソレはまだ、私もされてないわね』
だが、俺自身セシルとリアを昔の上司のようだと思った事は一度もなかったのに...
『だから三歳よ、気にするでないわ。我らをかつての上司と同じだとは、思っておらぬであろう?』
「当たり前だろう!あんな奴等とリアは違う!絶対に!」『落ち着けぃ』
気付けば、俺の動悸は激しくなっていた。どうやら嫌な出来事を想起したようだ。
『あのぅ...私は?リアだけなの?』『今はそっとしとくのじゃ』
「セシルは...ゲビックさんがボヤいてたぞ」『ゲビックぅ〜』
そんな時に何気ないセシルの気遣いが、俺の心を落ち着かせていく。
『ねぇ?そんな事より、動けるようになるのに2週間位かかるんでしょ?』「おや?何処で知ったんだ?」『アナタたちがご飯食べてる時に、コッチも同じ事してたのよ。その時にね』
セシルが言うには、さっき昼食中にリアから聞いたらしい。
『まぁコレばっかりはリア...いや、ゲビックさんたちにもどうにも出来ないだろ?』
『そんな事は無い。我の手にかかれば...おぅ、そういう事かぇ』
俺の思考を読んだリアは、何故ダメなのか理解したようだ。だが
『ねぇ!私を置いてかないでよ?』「『分かってるよ』」
実際2Dモデル自体を用意するのも、リアなら可能だろう。だが、俺の個人情報を利用する以上情報発信元を明示しなければならない。俺自身が既に配信と作家業をしているからだ。
『だから?』「えっ?!」『三歳よ、コヤツ...本気で分かっておらぬぞ』「マジか」
仕方ないので、より具体的に説明する事にした。
主にインボイス制度を...
『そんな事まで分かるの?!』「今はな」『コワイ世界じゃのぅ』
厳密には納税の仕組みと合わせて、制作過程の明示が何故必要なのかの説明をした。
『調べられる可能性を考えて...ねぇ』『三歳が気にし過ぎなだけかもしれんがの』
実際セシルたちが親戚等でココに居るなら、やっても構わない。だが...いつ来るか分からない税務調査がある以上、疎かにも出来ない。
「異世界住人を探らせる訳にはいかないからな」
『私たち、痛い腹なのね』『ソレはそうじゃ』『笑い事?!』
それよりも...リアの様子がおかしい。いつもの分析、解析能力が無い。
心做しか、セシルの方も...
「ちょっと気になったんだが、今何してる?」
『お主と念話しておろう?』『そ、そうよね?お話してるじゃない?』
何かぎこちない。俺は意識してセシルの視野を借りると...無機質な明かりが見えた。首がちょっと痛い。俺は更にセシルの身体ごと奪う。
「休ませてやれよ」「うげっ!何で来たのじゃ?」『あははっ...』
すると、コイツらはまた...家臣たちをこき使っていた。
『別にコレは...無理をさせてはおらんぞぉ』
『そうよ、ちゃんと楽しんでるんだから...ね♪』
軽く視界だけ借りて自分の身体に戻ったが、俺の眼には彼らが楽しんでいるようには見えない。
『違うわよ!最初は未知の道具に眼をキラキラさせてたんだからね!』
「最初は!だろ?」『くっ...』
『まぁ良いではないか。本気で無理な時は、ちゃんと断れる奴等じゃよ』
俺もセシルたちに倣いながら作業を始めたせいか、もうそこまで気にならなくなってきた。
『そういう天然な所は、セシルにソックリじゃのう?』
「褒めるなよ」『褒めてないわよ?!』『わはははっ!!』
そんな俺たちにとって、当たり前となった非日常が引っ掻き回されるとは...まだ、この時は予想出来なかった。
少なくとも、俺だけは...
「モール?アレは何?」「分かりません」
「ベーク?アレは何?」「だから、分かりませんて!」
「何よ?!二柱とも使えないわね」「「ひでぇ...」」
私は...途轍もなく大きい部屋の間取りを見ながら、色々と悪魔族に質問する。
だが、この二人は日本でも実作業以外では役に立たなかった。
「サミー?」「私はもっと分からないわよ?」「まだ何も聞いてません」
この怠惰な女もモール同様悪魔族なのだか
「セバスに聞く事は「出来ませんね」(回答が)早いわよ!」
相変わらず面倒くさがりです。と言うよりアノ事件解決から、ちょっと我儘にもなってきたような...
アッチの悪魔族も手が離せないみたいですし...
「どうしましょうか?折角お姉様の所に来たのに、暇を潰す出来事を見つけなければならないとは...」
「止めませんか?要らない事するの?」「決めつけないで!」
全く、サミーは何年私のメイドとして仕えているのか...ってお姉様付に比べたら、半分も経っていませんね。
そんな事を考えながらも、私はミトセ様の屋敷の中を見物する事を続けており...
「アレは...何かしら?」「「「我々は何も分かりませんよ?」」」「分かってます!」
そう三柱に答えながらも、私は手にした双眼鏡を手に取り興味を引いたある本棚を見つけた。
「アレは...この日本の書物に違いないわ」
「ソレくらい見れば「うるさいですよ!」...はぁ」
全く、ため息を吐きたいのはコチラです。
私は、ゲビック叔父様に張り付いているマルヴェラ叔母様とゲオルカを見ながら
「どうやって邪魔されずに本棚に辿り着けるか...考えないといけませんわね」
「げっ!またとんでもない事言い出した」「勿論戦甲翔で行くわよ?」
サミーに今後の展開を伝えたのでした。
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