3話 なし崩しに居座る計画を立てる沙織とソレに気付く三歳
『これじゃ♪コレを待っておったのじゃ♫』「良かったなリア」
俺はリアに頼まれ新たにイラストを描いた。
『声、声を出したいのじゃ!』「ソレはまだ無理だよ」『(ソコのマイクを使えば)出来るじゃろうが!?』
(うぁぁ...マジか)『三歳よ!引くでないわ!』「そういえば(リアには感情が)ダダ漏れだったわ」
実際大人の声を変声機器で出そうと思えば出来るかもしれないが...
『いい加減休ませてくれ』『そうっすよ!働かせ過ぎッス!』
この通り、作業が追いついていない。
『なんじゃと?!お主?悪魔族なのであろう?だったら...』
『ちょっと待って!ソレ、設定みたいなモンだから!』『使えんのう...』
確かに...セバスが言うように名付けは人魔大戦前に役割を与えられただけで、設定と言われたら【そうだね】と言わざるを得ない。
悪魔マルバス...確か機械工学の知識を授けたりする悪魔だって記述をどこかで見た気はする。
そんな事を思っていると
『ねぇ三歳?』「なに?」『暇だわ』「...我儘だな!?」『仕方ないじゃない!?』
セシルが手持ち無沙汰を訴えてきた。
『お主、コチラの忙しさを分かってて言いおったな』『ふ〜ん(ぷいっ)』
(あはは...)
俺は心の中で呆れ笑いをするも、決して馬鹿にした訳では無い。さっき妹と比べられた事で拗ねているだけだと分かったからだ。
『あのねぇ...「分かってるから待ってくれないか?」...別にいいわよ』
実際同じイタズラでも計画的犯行を試みるセシルと思い立ったが吉日のランシェでは事後処理の規模が段違いなのだ。まぁ...ランシェの凄い所は
『「いつも事態が好転する事なんだよねぇ...」』
そう思っていると
ガチャガチャ...バタン!「ただいまぁ♪」
さお姉の声がした。ってどゆ事?だがそんな事より俺は慌てて部屋を出て、玄関まで足音を消しながらも急ぐ。
(しっ―――……)
このゼスチャーで状況を理解したさお姉は
「(ボソッと)今、何やってるの?」「イラスト見せてた」
小声で俺達が何をやっているのか聞いてきた。だがそんな姉を見て思わず
『泥棒みたいじゃのう』『お芝居に出てくる方ね』
感じた事をセシルたちが代弁しだした。そのせいで
「ぷっ!」「何?」「いや、抜き足差し足忍び足...」「何よぅ(ぷくぅ)」
笑ってしまった。さお姉に怪訝な顔をされたので、仕方なく足運びに指を差す。
するとさお姉は頬を膨らませながら抗議してきた。
「ところで...どうして戻ってきたの?」
「お腹空いたからお昼ご飯食べに来たのよ♪」「はぁ?!」
防音室に入りさお姉に帰宅(なんかこのまま居座られそうな予感がしたのか、そう感じた)した理由を聞いたらそう言われた。
「まぁまぁ...最近作ってないけど、前は自炊してたから何か作るよ♪」
「それっていつの話?」「両親が亡くなってから私が作ってたんだから♪」
そんなさお姉の言葉を聞いても、何故か一抹の不安が拭えない。
だが、それは杞憂に終わったようだ。
「おっ!?意外とイケる?」「意外とは余計ですぅ〜」
セシルたちに作業を一時中断してもらい、防音室に入ってもらった。と言うより、お披露目は済んだのでしばらくは防音室に居てもらっても構わないな。そう考えながらさお姉の手料理を食べていると
『そんなにかかるの?』「ぬぁっ!?」「どしたん?」「セシルがね」
「あの女かぁ...食べさせたくないなぁ」『心配しなくても欲しくないわよ』
セシルの念話に驚いてしまう。そしていつものやり取りを見ながら
「『何か良いアイデアないか?』」『えぇ?!』『簡単じゃ...魔力回路の要領で先に『面倒ねぇ』それくらいしてやるのじゃ!』『分かったわよ』
二人にアイデアを募集したら、リアが自分と同じ気遣いをするようセシルを諭してくれた。
「どうせやらないわよ」「???」『ムカつくわね』
『三歳、表情の変化で(感情を)読まれたんじゃ』「マジか?!」
俺がこれで少しはマシになると思っていると、さお姉が突然一言漏らす。なんの事を言っているのかと疑問に思っていると、セシルとリアが俺の表情でさお姉が今の三人のやり取りを見通したと言ってきた。
俺が驚いていると
「いちいち解説しなくてもいいのに...あの女」
「いや、解説したのはセシルじゃないけどな」
さお姉がセシルの発言だと勘違いしてるので、ソコはリアがやったんだと訂正する。
(ダーン!ダダダダン、ダン、ダーン!)
突然スマホの爆音が鳴り響いた。ソレを見て嫌そうな顔をするさお姉。
さお姉は何故か口に料理を突っ込んでから電話に出る。
「もしもし恵子?」
「ワザと口にモノ突っ込んでんじゃ無いわよ!」
すると大音量で編集長の声が聞こえてきた。
「アンタわざわざ三歳君のとこで食べてるわよね?」「!何で?」
二人のやり取りを聞いていると、どうやらさお姉の偽装工作はバレてたようだ。
だがそんな事よりも、俺には二人がしている会話の
「ひっど〜い!プライバシーの侵害よぉ?!」
「今に始まった事じゃないでしょ!?」
「それはそうだけどぉ〜」
ズレっぷりが面白い。さお姉の抗議に対して恵子さんは更なる人権侵害を口にしたしたのに、さお姉はソレに納得してしまう。
「「なんで笑ってるのぉ〜?」」
「いや、面白いからに決まってるだろ」「「なんでぇ〜?」」
さお姉はいつもの天然ボケだが、恵子さんは俺の普段と違う崩した態度に突っ込みを入れつつも気に入ったようだ。
「三歳君に代わって」「(そのままでも)聞こえてるわよ」
「(大きな声で話すのが)疲れるのよ!」「はいはい」
俺はさお姉からスマホを受け取り
「先程ぶりです」「そうね」
恵子さんに軽く挨拶をする。
「眠かったりしません?」
「昨日帰ってからは流石にねぇ〜...でも、昨晩はシッカリ寝たから大丈夫よ♪」
俺の心配は取り越し苦労だったようで、どうやら大丈夫そうだ。声からも活気が溢れている。
「ソコの沙織「馬鹿って言ったぁ!」に言っといて。食べたら直ぐに小倉先生のとこに行けって」
小倉さんの事小豆って呼んでんのかよ...
そんな事を思いつつ俺は了解の旨を伝えて通話を切った。
さお姉にスマホを返しながら聞こえてたよね?と確認するとシラを切ろうとする。
「馬鹿って言ったぁ!って突っ込み入れてたじゃないか」
「聞こえませぇ〜ん」「後で後悔するのは「分かってますぅ!行きますよぅ!」なら良し」
結局食べ終わった後、直ぐ出て行く事にしたさお姉。
「ごめん、後片付けは任せるね」「良いから早く行ってきな」
「なんかもういってらっしゃいする夫婦「行けよ」冷たい!」
見送る必要は無かったんだが...なんだかんだで行こうとしない姉をその気にさせる為、仕方なく玄関まで行き送り出す。
『難儀な奴よのぅ』『本当にね』「お前ら暇なんか?」
出歯亀してきた二人に、俺は一瞬昔の会社員時代を思い出してしまった。
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