1話 エマ=ランシェ=クランドール御一行様、日本へようこそ?
セシルがランシェとの再開を果たし、感慨に耽る瞬間に...
俺は不用意なひと言を告げてしまった。
(久しぶり...って言うが、数日前に会ってたじゃないか)
そんな風にも思ってしまい、怒ってるセシルに更なる失言をする始末...
憤るセシルと困惑してそうなランシェに申し訳ないと思いながら、俺は意識を日本側に向け魔導強襲戦艇の方を見た。
ソコでは時空の穴に突っ込まれた、俺の腕を食い入る様に見つめている乗組員たちの姿が見て取れる。
(皆、セシルを心配してるんだな)
暁の太陽との戦闘になってると知れば、彼らの性格なら今直ぐにでもアチラに駆け付けたいと思うだろう。
(まぁ...決着はもう着いてるんだけどな)
そんな風に思った瞬間...セシルがチラッとだけ暁の太陽を見た時の事を思い出す。
(アレは...もう生きてないよな...)
セシルの視界を借りていた...アチラに気を置いていたからだろう。普段よりもセシルの感情の流れが読み取れていた所為で、俺は...
(アイツ...タイミングだけじゃなくて、場所まで悪いじゃねぇか...)
セシルを守ろうと咄嗟に手の平を閉じながら、押し込む様にして手を地面へ突いた時...アイツは運悪く、俺の爪と...岩に挟まれて圧死した。
(下が砂地になってる場所の方が多いのに...)
ソコならば、ひょっとしたら死なずに済んだかもしれないのに...
俺がそんな風に自分への言い訳をしていると
『えぇっ!?アナタ…本気で言っているの?!』『勿論です!お姉様♪』
何か揉め事?のような雰囲気を醸しながら、困惑したようなセシルの感情が流れてきた。
『お久しぶりです!ゲビック叔父様♪』『ラン嬢ちゃん!?コッチに来ちまったのか?!』『はい♪あっマルヴェラ小母様も来てますよ?』『ウゲッ!相棒は来なくても『何やて?もっかい言うてみぃ?』...何でもねぇよ!』『父さん!』『ゲオルカまで!?日本はそんな気軽に来て良い場所じゃねぇんだぜ?』
なんだか良く分からんが、大所帯で人がやって来たようだ。俺もセシル同様困惑しつつ、様子を視ていたら
『サミジナまで来たの?』『仕方無いではないですか?』『まぁ、それもそうね』
ランシェ付きのメイドも来たようだ。そう言えば地味にセシル憑きの悪魔族も居たな...そんな風に考えていると
『(悪魔族に取り憑かれてるみたいに言わないで』
セシルから睨まれてしまった。どうやらまた、念話になってしまったようだ。
「私はお姉様が心配なんです!こんな見知らぬ土地で...」
補給物資の搬入作業を終えて戦艇の艦橋に戻り、改装中の水槽へと進路を取る中
「見知らぬ土地では無いけどね...」「???」
私はランシェにニヤけそうになるのを堪えながら、持って回した言い方をする。当然、ランシェは不思議そうな面持ちで私を見てきたので
「言ったでしょ、私は転生者だって」
以前から仲間にも知らせていた事をもう一度妹に告げた。三歳の方を見ながら...すると
「はっ!?もしかして...」「そうよ、ここが日本よ」
ようやくランシェも気付いたようだ。私の視線を追うようにして、ランシェも三歳の方を...
「こっちを見ないでよ!三歳!!」
「うあぁっ!?ってそっちが先に見たんだろ?!』
……ビビビビ……
見た瞬間三歳もコチラを見てきた為、ランシェがその大きさと視線に身体をビクつかせる。
思わず私が三歳に注意すると...驚いた三歳は声を発するも、途中で念話に切り替えて私に不満をぶつけた。
大気の震えに揺らされた艇体、特に窓を見ながらランシェが
「今の(超巨人)が、三歳?」「そうよ」「大きいなんてものじゃ...」
三歳の背中を見ながら、何処か不思議そうに...呟いた。多分呆気にとられているのだろう。
そんな妹を眺めているのも悪くはないが、私は気になった事を確かめるべく頭に浮かんだ疑問を口にする。
「そんなことより...ランシェ、どうして時空の歪みの近くに居たの?」
私の疑問にランシェは
「それは...時空の歪みを調べに帝国が来るかもしれないと思い...そうなれば、隠していない通信機器の存在がバレるのは時間の問題で...」
これから私たちとの交流を維持するに当たって、必要な物が色々足りない事、場所の不備、ヴァレリアント要塞の移動すら視野に入れた計画も練り始めていたそうだ。
だが、そんな許可は出ないだろう。十二星家議会がある限り...
それよりも...そこは一つ解決策はある。時空の歪みが、安定しているのであれば...
『本当ですか?!』『分からないわよ?やってみない事には』
セシルの提案にランシェが驚いている。それはそうだろう。聴覚を借りてる俺ですら、ビックリしているのだから...
『可能性は高いんじゃねぇか?』『ホンマかいな?』
『日本の物質で囲えば更に耐久性は上がんだろ』
だが、そんなセシルの思い付きをゲビックがより現実的にした。
『ナイスよ!ゲビック!その発想は無かったわ♪』
どうやらゲビックの発案にセシルも共感したようだ。...って
「おい?ソレ俺が買ってくんのか?」
『当たり前じゃない?!』『...?』『あぁ、コッチの話』
俺の悪い予感を肯定してくるセシルに
「(妹の前で)俺の扱い...雑になってないか?」『気の所為よ』
突っ込みを入れると、セシルは空々しく惚け始めた。正直そんな事よりも
「なぁ?いい加減リアを起こさないか?」『あぁ〜…』
俺はリアが居ない不便さ、困窮を覚えるこの状態が辛くなってきた。
セシルにもソレは伝わったようで
『ちょっと待ってて。リアを起こしてくるから』『私も一緒に『ランシェは補給物資の内容伝達を『サミー?』はいはい』...仕方ないわね』はい♪』
セシルがリアを起こすのに一人で行こうとしたが、妹の適応力の前に完敗したようだ。
「やっぱセシルの妹だな」『どういう意味かしら?』
「そのままの意味だよ」『やっぱり「悪かった!」...ふん!』
そんな姉妹をヤッパリ姉妹だと再確認していると、俺は口でセシルには勝てない事も再確認する羽目になった。
『起動』『嫌じゃ!』『ちょっとリア?!』
そんなやり取りをする中、ランシェは大人しく付いて来た。何となく俺は、嵐の前の静けさのような気配を感じては居たが...
『思った通りね』「マジか...リア?」『くっ!いくら三歳の頼みと言えど』
『観念しなさいよ(ランシェは)一週間くらいは居るわよ?』『ぐぁ〜…!』
プシュー……
『大精霊様♪』『...相変わらずじゃの?』『ハイ♪』『......』
実際にリアは、そんな事してないんだが...
この時大きくため息を吐いたように感じたのは、致し方ない事だと...
この後(セシルの目と耳を借りる事で)俺は知る事となった。
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