29話 気の置けない仲間たち?
『いい加減にして三歳に(身体)返したら』『げぇ〜っぷ!?』
『『何で念話でゲップ出来るのよ!?』』『やっぱ勝てんの』
耕助は魂の回廊で繋がって(三歳は私の身体を使って)いるが、リアは魔力回路で繋がっている為少しだが時間差が出てしまう。この前までは苛立ちしか感じられなかったが、今は寂しそうだと感じるようになった。
『耕助?!もう充分堪能したでしょ?!『餃子もな!』...そうね。そろそろ帰って来なさいよ』『...俺、今帰ったらさお姉と歩いて帰るの?もう少しコッチ居ても良いかも?』
私が耕助に帰ってくるよう伝えると、三歳はもう少しコチラに居たいと言い出した。
その理由がズボラだなと思いつつも、少しくらいなら良いかと考えていたら
『お?三歳君かい?すまない、ラーメンに夢中でちゃんと聞いてなかった。何のようだい?』
『あぁ、今セシルがこっちに居るんですが...どうやら元々耕助さんが居た魂の傷に居るんですよ』
...ん?気のせいかな?何か違和感があるが、そんな事より先に何故三歳と耕助が入れ代わったのか原因を究明するのが先だ。
三歳が耕助と語りだしたので、私は少しだけ三歳に話を任せる事にした。
『それは...どういう事だい?セシルがそっちに帰った時、自分の身体ではなくいきなり魂の傷に入ったって事かい?』
『いや、そういう訳じゃないんですが...って頭がこんがらがってきたな...セシルが元々耕助さんが居た所に居て、そこから俺に話しかけて入れ代わったんですよ。そしたら今度は僕がその魂の傷に入ったみたいで...』
『成る程、聞けば不思議じゃないけど、不思議な事が起こってしまったって事なんだね?』『はい?』
耕助の言った事に、私はなぞなぞでも言われたような気になったしまった。
『そうか!?元々あった場所から移動したって事じゃな!』『『『どう言うことだ?リア』』』
私たちの質問が見事に重なり、リアが得意げに答えだした。
『つまりじゃ!傷自体はセシルの魂に付いとるが、概念的には二人の魂の中間に在る。と、言う事じゃ♪』
リアの解説に、私はどういう事?と、まだ良く分かってなかったが
『『成る程、そういう事かぁ〜』』『ちょっと?!私にも分かるように教えなさいよ!?』
三歳と耕助は分かったようだ。私は良く分からなかったので三人にもう一度分かるように説明するよう抗議した。...が
『ところで耕助さん、ちょっと相談なんですが...』
『ん?何かな?ちょっと緊張するね』『大丈夫ですよ♪別に変な事頼みませんから』
そう言って二人が談笑し始めた。
なんかムカついてきた。
『ちょっと!?無視してないで答えなさいよ!?』
私はリアも含めて再度抗議すると
『今まださお姉とラーメン屋ですよね?』『そうだけど?』
『二人で帰宅して、キリの良い所で呼んでもらえませんか?』
まるで、私の存在なんて無いみたいに会話を続けている。
『あぁ〜三歳君ひょっとして『皆まで言わないで下さいよ』分かった♪』
いや、これはさっき三歳が言っていた状態だ!!!
理解した瞬間怖くなってきた。この前耕助に言われた時、五感があるから大丈夫と私は答えた。
だが...あの時は、耕助と会話出来た。先程は、三歳と会話出来ていた。なんならリアとも...
しかし今は...誰とも会話出来ていない。三歳もリアも意識が耕助に向いたせいで、一時的に私の存在を忘れているのだろう。
だが...そんな私の心境にはお構い無しで、三歳と耕助の会話は続いている。
(魂の傷は怖い所だよ)
今更ながら、あの時耕助が言った言葉を...そして、先程三歳が怯えていた事が理解出来た。
『何よ...ちょっとこの場所...淋しいじゃない...』
私がさっき三歳に言った事を後悔していると
『やっぱり怖いんじゃねぇか』『だから言ったじゃろ?セシルは意地が悪いんじゃ!』
三歳とリアが語りかけてきた。
『少しは反省したかぇ?』『まだじゃねぇか?後悔はしたみたいだが』
『な、何よ?!その言い方!まるで分かっててやったみたいに!』
二人が話しかけてくれた事に感謝しつつも、つい悪態を吐いてしまう...そうね。これが
(意地が悪いって事なのね)
私はリアの言っていた意地悪の意味が、ようやく分かったような気がした。
『お?!どうやら反省も?し始めたようだぞ?』『本当かぇ?!にわかには信じられんのう』
『ちょぉっと待ちなさいよ!?なんかおかしくない?!ってかそんな事より!』
どうやらここだと、リアは私の表層意識を感知出来ないみたい。でも...
今はそんな事より気になる事がある。私はそれを確かめるべく三歳に声をかけた。
『アナタ!なんでリア並に私の気持ちが分かるの?!私はアナタの事、そこまで理解してないわ?!』
私がそう言うと、三歳が答えるより先にリアが答えだした。
『我は三歳が聞くお主の声を聞いておるから、お主の感情は言葉からしか理解出来んかった。じゃから三歳の感じたお主の表層意識を我は視たんじゃが、セシルよ...お主も自覚出来とらんだけで、それなりに三歳の事を理解しておるぞ?』
そんなリアの回答を聞いて、私はそうかな?と自問自答しだした。そうやって考えていると
『まぁ人は自分を俯瞰出来ないって言うしな』
『そうじゃの。セシルもクランディアでは悪魔の子なんぞと呼ばれとったが、日本では人の子であるの♪』
どうにも馬鹿にされてる気がしてきた。すると
『してねぇよ!?さっきの意趣返しだろうが!!』『やっぱり意地の悪さは治らんの♪』
さっきから勝手に人の感情を読み取って言いたい放題言ってくる二人(特にリア)に
『ねぇ?!何も言ってないのに責めてくる、あなた達の方が意地が悪くない?!』
『『うっ!!』』『やっぱり自覚あるんじゃない?!』
自覚無き正論パンチをたまたま繰り出せた事にドヤっていると
『お互い様だろ?!似たような事が今までもあったじゃねぇか!』『そ、そうじゃそうじゃ!』
なんだか子どもの喧嘩みたいになってきて、虚しさが勝ってきた。
『...不毛なことは止めようか』『そ、そうじゃな』
私の気持ちが通じた?みたいで(まぁさっきから通じまくっていたんだが)私たちは落ち着きを取り戻した。すると
『三歳君?帰宅したが代わるかい?』
耕助が丁度良いタイミングで声を掛けてきた。
『そうですね。では代わりますか』
そう言って二人は入れ代わり...
『あぁ...セシルの身体をマトモに感じるの...初めてだな』
『んん゙っ!?いやぁぁぁぁぁぁーーー―――…!!!』
何故か初めて男に触られたような感覚に襲われ、私は思わず悲鳴をあげた。
「ーーー―――…!!!」「うるさいわっ!!!」『どうしてだよ』『…マジか』
私の悲鳴に耳を塞ぐリアよりも、耕助への対応が先だ。
「アナタ、今まで私の事…」
『ちょっと待ってくれ!?ずっと僕たちは一緒だったじゃないか?!それに、三歳君が良くてなんで僕はダメなんだい?!』『耕助さん?俺を巻き込まないでくれませんか!』
積年の恨みにも似た感情に、狼狽する耕助を…私は今、問い詰めないと気がすまない。
「アナタ、本当に日本で目覚めたんでしょうね?」『も、勿論だよ!』「(ジーーー)」
耕助の感情がしどろもどろになりながらも、自分の目覚めが本気でコチラに来てからだと言っている事が伝わってきた。
「セシルよ…もうええじゃろ?」
「そうね…でも今後耕助に、私の身体を自由にさせる気は無いわ」『そ、そうかい…』
私が耕助に警戒心を顕にすると、三歳が不安そうに尋ねてきた。
『お、俺は良いのか?』「良いに決まっておるじゃろ!?」「なんでリアが答えるのよ!?」
リアの物言いにそう答えながらも、私は別に構わないと思っていると
『僕の方が付き合い永いのにおかしくないかい?』
私の思考を読んだらしい耕助が、そんな事を言ってきた。当然私は
「信用ないからダメ!」
と言うと耕助は無言のまま現状を受け入れたようだった。
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