座練躍再び 《前編》
MF㈱社内にてー。
「小坂潤二様、石藤良二様、あなた方は、販売促進プロジェクトを成功に導き社業の発展に大きく貢献されました。よってその功績をたたえ、ここに表彰させて頂きます。」
「「ありがとうございます!」」
社内表彰の場で、満面の笑みを浮かべる社長から賞状をもらい、頭を下げる営業部長の小坂と営業次長の良二。
「(石藤営業次長、また、大手食品会社のとの契約を取り付けたらしいぜ?)」
「(ああ。今年に入って3件目だろ?すげーよな!)」
「(石藤営業次長、仕事も有能だし、最近体が引き締まってカッコよくなりましたよね〜!)」
「(あ〜ん、一夫多妻婚でもいいから、新しい奥さんに立候補しよっかなぁ……?)」
「(いやいや〜、一人目の奥さん、料理研究家の財前寺桜だし、二人目の奥さんも凄い美人らしいよ?太刀打ち出来ないでしょ〜!)」
社内表彰の他の男性社員の称賛の声や女性社員がキャーキャー騒ぐ声を聞き、目つきの鋭い男性社員=座練躍は忌々しそうに顔を顰めた。
「チッ。なんで、石藤なんかがあんな出世を……」
自分は主任止まりなのに、元は後輩だった良二が破格の出世をし、周りにもてはやされている事に納得がいかない座練。
(しかも、財前寺桜さんという完璧な妻がありながら、もう一人妻を迎えるなんて、鬼畜な真似しやがって……!きっと、桜さんは毎日泣いているに違いない!)
加えて、良二の妻のさくらに横恋慕している事も加わり、座練の恨みは深く、かなり独りよがりな思考に発展した。
(そうだ!この俺、座練躍が不幸な身の上の彼女にとっての遅れて来た王子様になればいいんじゃないか?最近、LI◯Eでそういう展開の漫画読んだぞ?よし! そうと決まれば、今日は定時上がりだ!)
✽
「あ、座練さん、ここの入力、どうしても上手くいかないんですけど、教えてもらえませんか……?」
座練が帰ろうとしたところ、新入社員の一文字始にパソコン画面を見て、質問され……。
「は?俺様の作ってやった資料にやり方載ってんだろ?俺は今日はすげー忙しいからっ!じゃなっ!」
「あ、座練さんっ…」
新入社員を冷たくあしらい、部屋を出たところに……。
ドンッ!
「わっ!」
「うわっ!」
部屋に入ろうとしていた長身の人影とぶつかってしまう座練。
「いてて……。あれ、座練さん?」
「!? 石藤っ……営業部長っ」
なんと、今正に憎いと思ってその妻を奪おうとしていた良二に会ってしまう。
「そんなに慌ててどうしたんですか?」
「な、なんでもねーですよっ!! お疲れ様ですっっ!!」
「あ、ああ、お疲れ様……??」
ギロリと睨みつけ、去って行った座練に、良二は首を傾げながら部屋に入ると、一文字の縋るような瞳と目が合ってしまった。
「石藤営業次長……」
「え?君は確か、新入社員の……」
✽
前に酔って押しかけた時の記憶を頼りに、良二の家に向かった座練。
(ここだよな。確か。何とか、偶然を装って、王子っぽく運命的に桜さんと接触できねーかな?)
良二の家の前でウロウロする座練は、王子どころか不審者全開であったが……。
「あっ。コラァ!良織くん!外出ちゃダメですよぉっ!」
「へへーんだ!知らねーよぉっ!」
タタタッ!!
!?
桜らしき女性の引き止める声と共に、良二の家から3歳くらいの男の子がこちらに飛び出して来て、座練は目を丸くしていると……、一足遅れて、桜色のロングワンピースを着た銀髪美女が飛び出して来た。
「道路に出たら危ないっ! あっ! そこの方、お願いです。その子を捕まえて下さいっっ!!」
「えっ。//あ、ああっ。はいっ!」
ガシッ!
「うわぁ! おじさん、何するんだよ!」
頼まれるまま、その男の子を捕獲すると、銀髪美女がすぐに追い付いた。
「ああ、通りすがりの方、ありがとうございますぅっ!」
「さ、桜さん……!////」
青い目に涙を浮かべ、礼を言って来る銀髪に青い目の美女は紛れもなく憧れの人、財前寺桜で、座練は緊張で固まり……。
「あんだ? おっさん。さくママを変な目で見やがって!パチンコで◯んこ狙ったろか?」
「良織くんっ!!」
捕まえられた男の子は、座練にガンをつけ、桜に怒られていた……。
✽あとがき✽
読んで下さりありがとうございます!
来週はいよいよ最終話。座練の視点の後半も見守って頂けると嬉しいです。
今後ともどうかよろしくお願いしますm(_ _)m




