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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く 最終章《一夫多妻エンドVer.》  作者: 東音


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二俣法律事務所の相談案件《石藤香織視点》後編

「私は、石藤良二さんとお見合いをした北原冴子! 一時の気の迷いで破談になってしまったけれど、私に必要なのは、やはり彼みたいな「誠実で優しい」男性だったわ! 私も一夫多妻婚に入れてもらうよう、あなたから頼んでもらえないかしらっ?」


「な、何を言ってるんですかっ?あなたはっっ…??」


 とても正気とは思えない彼女の頼みに、私は慄いたのだった……。


「一時の気の迷いで、元カレと一夫多妻婚をしたけれど、夫の暴力や他の妻からの虐めで大変な目に遭っているのっ!

 見合い相手だった石藤さんと結婚していたら、今頃、幸せで穏やかな家庭を築けていたんじゃないかって、今は自分の選択を後悔しているわっ! あなたもそう思ったから、復縁したんでしょうっ?」


「……!!||||||||」


 北原冴子という女性に掴みかかられ、かつての自分の境遇をも彷彿とさせるような悲痛な叫びを聞き、私は胸を突かれた。


「あなた、学生時代に石藤さんと付き合っていたのに、裏切って白鳥慶一と結婚したって、週刊誌で読んだわよ?

 それなのに全部許されて、彼と一夫多妻婚して幸せに暮らしてるなんてズルくない? 私だって同じ境遇なんだから、彼との一夫多妻婚に引き入れて貰えるよう口添えしてくれたっていいじゃないの! ねっ! そうでしょっ!?」


「そんな事が出来るわけないでしょうっ! ちょっと、落ち着いてくださいっ!!」


 彼女の一言一言に重い石礫を投げつけられるようなダメージを受けながらも、私は懸命に彼女に抵抗した。


「かっ、香織さんっ!|||||||| せ、先生ーっ!! 磯崎さーんっ!! 大変です、こっちに来て下さい〜〜!!」


 揉みくちゃになっている私達を前に、受付の佐藤さんは蒼白になり、奥の部屋にいる二人を大声で呼んでくれた。


「どうした、そんな大声出し……、石藤さんっ!|||||||| 君っ!やめ給えっ!!」

「……!! 大変!!|||||||| 何をされてるんですかっ!!」


 弁護士の二俣貢ふたまたみつぐ先生(37)と、磯崎さんが慌てて、駆けつけてくれ、女性を引き離してくれた。


「石藤さん、大丈夫?」

「え、ええ……」


 磯崎さんに護るように抱えられ、女性の方を見ると、長身の先生に取り押さえられてもなお暴れていた。


「法律関係のご相談の御用がないなら、お引き取り下さい! これ以上スタッフにに、危害を加えるつもりなら、警察を呼びますよっ!」


「離してっ!! 私は人生を取り返そうとしているだけっ!!何が悪いのっ!?どうしてぇっ!?」


 その姿に、私は高校時代に良二くんとの仲を引き裂く原因を作ったさんの懺悔を聞いた時、錯乱して詰め寄ってしまった自分の姿を重ね合わせ、胸が苦しくなった。


「その気持ち、よく分かりますよ……?」

「石藤さん、危なっ……!」


 彼女=北原冴子さんに近寄って声をかける私を、磯崎さんが心配して止めようとしたけれど、私は「大丈夫」と言う意味を込めて、首を横に振った。


「今の状況が苦しくて、良二くんに頼りたくなる気持ちは分かります。けれど、良二くんを裏切って傷付けた罪は消えません。

 例え、良二くんとさくらちゃんに許されても、私は一生覚えていて、抱えていようと思いますし、償い続けて行こうと思います。あなたにはその覚悟がありますか……?」


「……!!||||||||」


 北原冴子さんは、一瞬虚を突かれた表情になると……。


「うっ、ううっ……! うああぁっ……!」


 彼女は号泣し、化粧が剥がれかけた彼女の頬には青痣の跡があった。


「今まで辛かったんですよね。北原さんの要求は受け入れられませんが、今後の生活について法の力で助けになる事があるかもしれません。よかったら先生にご相談なさってみてはいかがですか?」


「ヒグッ。お、おねがっ……しますっ……」


 嗚咽を漏らしながら、北原さんは何度も何度も頷いた。

        

        ✽


 落ち着いてから、北原さんは、二俣先生の説明を受け、暴力について医師の診断を受ける事、別居からの離婚を希望する意志を示した。


 そして、帰り際、北原さんは私に深々と頭を下げた。

 

「さっきは、すみませんでした……。精神的にも肉体的にも限界で、自分の事しか考えられなくなっていました。

 あんないい方を自分の迷惑で傷付けた上に、更にひどい迷惑をおかけしようとしていたなんて、自分の浅ましさが恥ずかしいです。

 そんな自分が言うのも、おこがましいですが、石藤香織さん、どうかあの方を幸せにして差し上げて下さいね」


「ええ……。一生かけても精一杯努力していきたいと思います」


 憑き物が落ちたかのようにスッキリした顔で、良二くんの幸せを想う彼女に、私は強く頷いた。


         ✽


「北原さん、カウンセラー担当に石藤さんを希望されたみたいだけど、大丈夫?何かあれば私がいつでも代わるからね?」


 北原さんが帰った後、心配気な磯崎さんに、私は笑顔で首を振った。


「大丈夫ですよ。彼女、今の状況に追い詰められて、一時的に錯乱してしまっただけで、悪い方ではないと思いますから! ぜひ、彼女の担当を任せて下さい。」


「あら、頼もしい! これからどんどん仕事お任せしちゃお!」

「お手柔らかに……」


 茶目っ気たっぷりにそう言う磯崎さんに苦笑いしながら、少しは私も以前より成長して、人の役に立てる人間になっていけているだろうか……と考えていると……。


「ママ、ここ、どこ〜!?」

「あなたねっ? ここで働いている石藤良二さんの二番目の奥さんって……!」


「違いますっ!」


「「え?」」


 受け付けが再び騒がしくなり、私と磯崎さんは同時に声を上げた。


「私は、石藤良二さんとお見合いした南條美輪子! 妊娠が発覚して、やむなく一夫多妻婚したけど、本当ならこの子は彼の子として育てる筈だったの!」

「ビエーン!」


「第一夫人とその子ばっかり優遇される生活にはうんざりだわっ! あなたも良二さんを裏切ったのに、一夫多妻婚で幸せになったんでしょ? 私も一夫多妻婚に入れてもらえるように話をしてくれない? ねっ? いいでしょう?」


「だから、違うと言っていますっ!! 何をおっしゃってるか分かりませんっ!!」


「ギャワ〜ン! お家帰りたいよおぉ〜!」


 キツそうな顔立ちの女性に詰め寄られ、受け付けの佐藤さんが金切り声を上げ、女性に連れられていた4〜5才ぐらいとみられる子供はギャン泣きしていた。


 磯崎さんは、困ったような顔で、顔を引き攣らせる私の肩をポンと叩いた。


「石藤さん……。今日、厄日……かな?」



✽あとがき✽


 読んで下さりありがとうございます!

香織、頑張れって感じでしたね…(^_^;)

なお、この頃になると香織の男性恐怖症も大分改善されていまして、弁護士の二股先生(名前に反して真面目で、実は香織の同僚、磯崎さんに想いを寄せている)やスタッフ、お客さんとは問題なく仕事をこなせているようです。


 次話は座練の石藤家訪問の話になります。

 今後ともどうかよろしくお願いしますm(_ _)m


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