表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く 最終章《一夫多妻エンドVer.》  作者: 東音


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/38

切ない幸福の涙

「すやすや……」

「すーこすーこ……」

「コックリ、コックリ……」


『まぁっ……! 香織さん、おめでとうございます!! はいっ……! はいっ……!』

「んあっ…?」


 土曜日の午後ー。


 寝室でスミレとあんずを横になって寝かしつけてつけている内に、自分も船を漕ぎ始めてしまっていた俺の耳に、感極まったようなさくらの声が響き、急激に目が覚めた。


 どうやら、さくらはリビングで電話の応対をしているらしい。


 今頃は、香織が香織の父と共に産婦人科を出かけている筈だった。

 という事は……。


「はっ」


 もしやと思い、急いでリビングに駆け込むと、ちょうどさくらが電話を切るところに行き合った。


「はい。分かりました。お体大切にされて、ご実家でゆっくりしていらして下さいね。

 お帰り楽しみにお待ちしています。」


 ガチャッ。


「さくらっ!」


「ああ〜っ。良二さん、ちょうど香織さんからの電話を切ったところでした」


 残念そうなさくらに、急くように俺は聞いた。


「それで、結果はどうだったんだ?」

「はい! 妊娠4週目だそうですよ?

 これから、忙しくなりそうですねっ?」


「……!!!」


 さくらの親指を立てての笑顔の返答に衝撃を受けて、俺はその場にへたり込んだ。


「そ、そ、そうか……」


 行為はないが、香織が俺との間の子を妊娠した。


 これにより、未だ手続きをしていなかった香織との関係を早急にはっきりさせなければならないだろう。


 いよいよ一夫多妻制婚姻に向けて動き出していくこの状況をどう受け止めればよいのかと戸惑って呆然としていると、さくらが俺の前に座り、輝くばかりの笑顔を向けて来た。


「おめでとうございますっ。良二さんっ。今日はご実家に泊まられるので、お帰りは明日になるそうです。


 これからは、家族皆で香織さんの体を気遣っていきましょう!」


「あ、ああ……。そう……だな……」


 呆けている俺と違って、さくらは明るい声で、捲し立てるようにこれからの事を語った。


「4週目というと、予定日は来年の6月と行ったところでしょうか?

 これから、色んな準備をしていかなければいけませんね?


 スミレちゃんのベビー用品やベビー服はとってあるんですが、ピンク系のが多いんですよね。もし、男の子だったら、大分買い足さなきゃいけないかもっ……て、気が早いですね?

 でも、性別がどちらにしろ、香織さんと良二さんの子なら、きっと、可愛い子が……うま……産まれ……うっ……ううっ……」


「さ、さくらっ……!? ど、どうした?」


 途中から泣き出してしまったさくらに俺は驚いて肩に手をかけると、彼女は、ブンブンと手を振った。


「い、いえっ。だ、だい……じょぶ……ですっ。か、感動しちゃって、泣けてきちゃっただけ……、それだけ、です……からっ……。う、ううーっ」


「っ……! さ、さくらっ。やっぱり、君は辛かったんじゃないかっ」

「りょ、良二さっ……」


 顔を歪めて泣いている彼女を見て、胸が張り裂けそうになりながら、華奢な彼女の体をギュウッと強く抱き締めた。


「それなら、どうして早くそう言ってくれなかったんだ! 俺は君を傷付けてまでっ……。……!」

「その先は言ってはいけません」


 俺の言葉を封じるように、彼女の指が俺の唇に当てられていた。


「今だけの涙です。

 私はもう分かっているんです。

 香織さんに宿った命は、私達家族全員を幸せにする希望の光になると……。


 私はその子を自分の子のように、愛おしみ、共に大切に育てていけると……」


「さくら……!」


 涙をポロポロ流しながらさくらは聖母のような美しい微笑みを浮かべた。


「だから、今日だけは……泣くのを許して下さい。明日からは香織さんと、その小さな命に対して心からの笑顔でお迎えするとお約束しますからねっ」


 さくらの覚悟に、俺も込み上げてくる涙を必死に腕で拭った。


「さ、さくらっ……。俺っ。君を愛しているよっ」

「私も……愛してますっ。良二さんっ……」


「「んんっ……」」


 口付けは、互いの涙の味がした。


 そのまま抱き合った俺達は本能の赴くまま、心と体を求め合ったのだった……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ