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一夫多妻制の許されたこの社会で俺は銀髪少女に唯一無二の愛を貫く 最終章《一夫多妻エンドVer.》  作者: 東音


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苦い幸福の涙《瀬川香織視点》

「妊娠4週目ですね。おめでとうございます」

「えっ。本当に?」

 病院で、女医さんに笑顔でそう言われた時、私はパチパチと目を瞬かせた。





 石藤家で暮らすようになり、3か月――。


 左手のリハビリの傍ら、私は条件に合う就職情報を探していた。


 まだ法律上の手続きはしておらず、良二くんとは形式上の内縁の妻(というよりも居候に近い)。


 もちろん、体の関係は一切なかった。


 さくらちゃんは、実質的な一夫多妻制を受け入れるつもりでいてくれたようだけれど、良二くんは、男性恐怖症になってしまった私に必要以上のスキンシップを取らないように気遣ってくれていたし、それがなくても、さくらちゃんに誠実な彼は私に手を出す事はなかっただろう。


 そんな訳で、齢32でリミットも近付くものの、子供を持つことはもうほとんど諦めていたのだけど、ある時、さくらちゃんに提案されたのだ。


「香織さんが望むならですけど、こういう方法で妊娠する事が可能みたいですよ?」


 さくらちゃんが見せてくれたスマホの画面には、『お家で妊活♡シリンジ法』という宣伝文句と共に、管のついた注射器の写真が写っていた。




 その後三人で相談の末、まぁ……、その手順(♂→♀)にしては省略するとして、行為なしに妊娠する為に良二くんにご協力頂いて数週間経ち、体に違和感を覚えて受診したところ、女医さんにあっけなく妊娠4ヶ月を告げられたのだった。



「え。たった一回で……?前の旦那の時は、不妊治療であんなに大変な思いをして、それでも出来なかったのに……。(まぁ、無精子症だったから当然なんだけど……)」


 信じられない気持ちでそう漏らしてしまうと、年配の女医さんは、目元に皺を寄せ、朗らかに笑った。


「じゃあ、今の旦那さんとは相性がよほどよかったんだね。」


「相性……よかったんだぁ……」


 女医さんの言葉を繰り返し、目に涙が盛り上がって来た。


「私……バカだったなぁっ……」


 高校時代の自分の過ち。良二くんの傷付いた顔。その後の白鳥の一夫多妻制家庭の地獄。


 取り返しのつかない過去を後悔と共に思い出す。


「よかったですね。お子さんのエコー写真と母子手帳、お渡ししますからね」


「ふぐっ。あ、ありがと……ございますっ……」


 そして、今の幸せを噛み締め、その象徴とも言える大事な写真と冊子に涙を落としてしまったのだった……。


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