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光の戦士 ~殺人犯と同じチート能力を持ってますが悪用しません~  作者: 池田大陸


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57/72

第57話 突入!

完結まで毎日投稿します!


 シャロの操縦するドローンの送信機にはモニターが付いていて、リアルタイムで映像が見れるようだ。そして映像はノートパソコンにも転送され、それをジョージが確認している。


 やがてドローンは浮かび上がった。

 エノキとマウロはそれを仰ぎ見てそっくりな顔で驚く。


「な、なんか浮いたっ!?鳥みたい!」

「……ふーっ、まったく地球の科学技術には頭が下がるよ。こっちの世界では魔法があったからこういった技術はほとんど発展しなかったんだ」

 まあそうだろう。魔法みたいな便利なものがあるなら皆そっちを研究するわな。


 やがてジョージはノートパソコンのモニター画面を確認し、シャロにOKのサインをした。


「香織、あんたもドローンの操作覚えてもらうわよ」

「あ、うん。頑張る」

 香織は若干戸惑いながらも快く返事をした。


 ジョージが鞄からもう一台のドローンを取り出し、送信機を香織に渡した。


「基本的に操作は簡単だ。目的地まで飛ばし撮影。帰還させるときはホームボタン一つで自動的に戻ってくる。ホバリングもある程度自動的にやってくれる」

「へーすごい高性能……」

 香織は驚きつつもう一台のドローンを操縦し始めた。


 そしてジョージは立ち上がり、緑の魔法陣を展開させた。お、何だ何だ?


「エノキ、マウロ。脳波交換しよう。俺は映像を見ながらジャンタンも入れた三人に状況を伝え指示を出す」

 あ、脳通信の番号か!……あれ?俺には聞かないのか?


「タイチは科学魔法使えないわよね?」

 事前にシャロに言われてたようだ……今、改めて確認された。


「おう!その通り」


 なぜか俺は開き直って自慢気に答えてしまう。どーせ俺は魔法苦手だ!


「おっけーおっけー。しっかり登録しといてね、ジョージ!」


 上機嫌に魔法陣を展開させるエノキ。マウロも同様に脳波交換を行う。



 一方、ジャンタンとシャロは真剣な表情で送信機に付属したモニターを眺めていた。

「よし、シャロ。その岩山に見せかけたヤツがアイツらの本拠地だ。おそらくハイド対策に見張りの科学魔道士がどっかにいる」

「オーケー。ちょっとズームしてみる」

 ジャンタンとシャロは敵の配置を探っているようだ。なるほど、科学魔道士が見張ってなけりゃハイドで正面から入り放題だもんな。


 そうしていると香織の操縦するドローンの羽音が聞こえてきた。

「香織、ドローンの操縦どう?」

「あ、太一。うん、コレ意外と簡単かもー!」

「へー、こんなにすぐ操縦できるのか……」

 俺はドローンの進歩にちょっと驚いた。中学生の時ゲームセンターの景品でとった玩具用のドローンは、ホバリングはおろかまっすぐ飛ばすのも困難だったというのに……。


 ここでパソコンを眺めていたジョージから香織に指示が出る。


「香織、指示するところまでそれを飛ばしてくれ」

「了解!」


 香織はドローンの操縦が楽しいのかめっちゃ笑顔で答える。なんかさっきまでとはえらい違いじゃねーかお前。


「香織のドローンはシャロのドローンになにかあった時にサブとして使う。奴らのアジト付近に着陸させるぞ」


 ジョージは表情をほぼ変えず淡々と説明している。なんとなくだが、この人は背も高いし、体格もいいし何か……サポートより実戦で敵を蹴散らすタイプのように見えるんだがな。ちょっと聞いてみよう。


「なあジョージ。ちょっと質問いい?」


 一応ジョージは香織にドローンを案内中だったので遠慮気味に尋ねてみた。しかし意外と二つ返事で「オーケー」と言ってくれた。


「ジョージは体格的に戦闘向きな気がしたんだけど、サポート役なんだな。それとも今回だけかい?」

 するとジョージは初めてちょっと微笑んでこう答えた。

「……俺は遠距離攻撃が得意なんだ。だから敵には近づく必要はない」


「ジョージはメジャーのピッチャーだったのよ!300メートル以上離れた標的に投石をヒットさせられるわ」

 シャロはモニターを見つめたまま付け足した。

「マジかよ!?すげえええ!!」



「いた!全部で4人だ!おいエノキ、マウロ。太一も来い!」


 突如シャロの送信機モニターを見ていたジャンタンが叫ぶように俺達を呼んだ。

「これがアジトの全景な。縦横70メートル位あるが、見張り要員が東西南北に4人配置されてる。初めにコイツ等を叩くぞ!」


 エノキは不敵にニヤッと笑う。マウロも氷のような微笑を見せる。俺はここに来てやっと少し緊張してきた。少し目をつぶる。


「人を殺す……覚悟か………………よし、大丈夫だ」


 ジャンタンは続けた。

「できればこの見張りの奴らを同時に葬ってハイド状態でアジト内へ侵入してえところだな。科学魔法使えるやつは基本レアだからそう多くはいないはずだ。建物中にはいない可能性もある」

 俺は一つ疑問があった。


「一つ聞きたいんだけどさ、ハイド使ってる科学魔法使い同士が接近したらどれぐらい遠くから感知できんの?」


 エノキが大きな声でそれに答えた。

「そんなもんそいつらの腕次第に決まってんじゃん!ちなみにウチは兄貴より感知範囲広いからね!そこんとこヨロシクー!!」

 胸に拳を当てて偉そうにするエノキ。


「え!?そうなん?」

 俺は現時点ではマウロの方がエノキよりちょっと格上だと思っていたので驚いた。


「ああ。昨日、ちょっとしたゲームをしたんだけど。二人共離れて直線上に立ってハイド状態でお互いゆっくり近づき、感知した側がハイドを解除する――っていうヤツさ。何回やっても完敗だったね。僕は40メートル、リアは50メートルの感知範囲だった。リア、やっぱりお前は天才だ!」


「はっはー。あったりまえー!」

 天狗になって鼻を伸ばし謎のダンスをして調子づくエノキだった。まあでも今回に関しては頼もしく思える。少なくとも向こうの魔道士のハイドの感知範囲がエノキやマウロより広いとは思えない。


「……ジャンタンは?」

 若干気まずそうな顔をしてジャンタンは答えた。

「ご、5メートル……」

「あ、なんかごめん」

「謝んなや!逆にやだろ」


 だがマウロはここで恐ろしい事を口にした。

「ちなみにハムは200メートルを超える。上には上がいるよ……」

「に……200……!?」

 それまで調子に乗りまくっていたエノキは一瞬でイラッとした表情に変わった。分かりやすいやつだ。


 そして最後にジャンタンがまとめた。


「よし、見張り4人のうち銃を持ってる北と西の二人はエノキとマウロが、東は俺、太一は南のやつをそれぞれ潰すぞ!その後は中に侵入してダッバーフ以外の団員はできる限りぶっ殺すこと。よっしゃ行くぞ!!」


 ――と、そこでシャロが気になることを言った。


「ねえ。もしかしてコレ気づかれてない?」


 香織とジョージ以外の皆がシャロの送信機モニターに群がる。

「ほら。あの見張り役……ドローン見上げてるでしょ?」

「ホントだな……あっ魔法陣を出したぞ、雷だ!」


 プッ――……。


 モニターはそこで真っ黒になった。

「ドローンをやられた!くそっ、アジトから応援が来るかも知れねえ……!」

「おい、皆急ぐぞ!ジョージ、香織のサブ機で指示を頼む」


 ジャンタンはそう言うとハイドで姿を消しダッシュで駆け出す。エノキとマウロもいつの間にかハイドで消えていた。

 俺もすぐに駆け出した。急がねーと!


 俺はムルファー団のアジトへと駆け出しながら、今のうちから基本形の光輪をまとっておくことにした。何かあったらいつでもシールドを張れるように。


 そして一分も経たないうちにアジトの南入り口に到達する。その距離約60メートル。

 見張りはやはり一人でジャンタンの言った通り銃を持っていない!チャンスだ。


 俺は体にまとっていた光輪を消し、右手に円盤投げの円盤のように光輪を出す。


「うおおおおおーーりゃああーー!!」


 そして大声と共に全力でぶん投げた!

 イメージだけでも光輪を飛ばすことは出来るが、実際に俺が投げる動作をしながら飛ばした方が高速で飛ばせる。これはすでに実験済みだ!

 相手が魔法の詠唱を始めたその瞬間――!


 ドガァン!!


 さっき投げた光輪が相手を直撃!そのままアジトの岩壁に叩きつけられ地面に崩れ落ちる。コレは即死か生きてても相当なダメージだ!すぐには動けないだろう。


「よっし!!」

 俺は拳を握った。この時俺はアドレナリンが出まくっていたため人を死傷させた後味の悪さよりも興奮と任務に対する義務感の方が遥かに大きかった。


「さあこっからだ!」と気合を入れ直した時――。


 ドォン!ガガガガガガ!ゴッ!!パァン!


 離れた所から数種類の轟音が響いた。

「エノキ達も派手にやってんな!」


 俺も負けじと敵のアジト内へと足を踏み入れる。


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