第47話 モンスターズ
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さらに歩き回ること30分、今度は超巨大な蛇のようなモンスター二匹に出会った。
「お。コイツはカタストロフボア。指定モンスターだ!ハイウルフより大分強いぞ。ただ基本二体で動くから今度は2対1だ。頑張れよー」
また呑気に助言してくるジャンタン……ん?なんか緑の魔法陣を出しているようだが……。まあいい、今は目の前の敵に集中だ!
カタストロフボアは地球のアナコンダを4倍ぐらいにしたような怪物で、しかも二匹いる。恐らく巻き付かれたら死ぬな……どうすっかな。
ずるずるとこちらへ向かってくるカタストロフボア。首を持ち上げるとそこだけで3メートルぐらいはある。しかも二匹なので俺の注意力は分散する。
――ここは光輪を使うか。俺は目の前に直径1メートル程、太さは浮き輪ぐらいのいわゆる基本形の光輪を二つ出した。
「よーし、来い来い!」
俺はその光輪の縦の厚さを限りなく薄くし、外側を鋭い刃の様な形状にした。
「輪切りにしてやる」
二つの光輪を操り頭を切断しようとしたが、なんとカタストロフボア達は素早い動きで器用にそれを避けていく!
こいつ……この光輪の危険性に気付いてるのか!
俺はなんとか光輪で攻撃しようとするが、同時に動く標的二匹に対し、二つの光輪を操り当てに行くのはかなり難しかった。
ならば俺も直接参加して攻撃するぞ!そう思って片一方のカタストロフボアに突撃していくと、今度は二匹とも光輪をかいくぐり、口を開けて俺めがけてすごい速さで飛びかかって来た!
もしかして誘ってたのか!?ヘビにしちゃー賢いな。
奴らの口の大きさは俺が丸々入るぐらいのサイズだったが――。俺はニヤッと笑った。
好都合だ!
こういう場面でやりたかった技があったのだ。
まず俺の頭、腹、足を中心に3つの光輪を出してさっきの光輪と同じように刃物状にする。
すると俺に噛み付いてきたカタストロフボアの口は自動的に切り裂かれ光輪が食い込む。さらに俺はその光輪の直径を3倍ほどに広げた!
するとその瞬間頭部を数枚にスライスされた二匹の巨大なヘビの死体が出来上がった!
「――ふぅーっ、いやー焦った焦った……でもケガしなかっただけでも上出来だろ?」
俺は戦闘を見ていたジャンタンに聞いてみた。
「ナイス太一。光輪の使い方最高だな!……ってか見てて思ったけどよ、ソレで出来る事って実はかなり多いんじゃねーか?」
「ん?例えば?」
「今みてーに鋭い光輪を自分の周りにたくさん出現させれば相手が武器でも持ってなけりゃー攻められねーから防御につかえる。その状態で輪を広げるだけで攻撃にもなる。それと、横に薄くするんじゃなくて逆に土管みたいに縦に広げたら魔法攻撃も防げる強力なバリアーになるんじゃねーか?」
「あー、確かに。縦に広げてバリアーにする発想はなかった……さっすがジャンタン!」
「あと、その輪っかに乗って移動する事って出来ねーか?筋斗雲みたいによ」
「あーそれは試した事あったんだけど難しくて上手くいってないなー。動かそうとすると消えるんだ」
「なるほどな、分かった。また後で広い所で色々試してみようぜ。しっかし便利な能力だなマジで」
笑いながらそう話すジャンタン。
「うん、俺も本気でそう思う。でもこの能力ばっかり頼って俺自身の体力が衰えるのは嫌だからあんまり使いすぎないようにしとくわ」
ジャンタンはいい笑顔で「分かってんじゃねーか!」とだけ言った。
なんか話してて思ったけどジャンタンは見た目はチンピラ風だが内面は結構優しい人間のようだ。
あと、この時俺は誰かと話し合う事で新しい発見が生まれるという事に今更気づいた。今まで一人でいることが多かったからな……。よし、今後もジャンタンにどんどん相談しよう。頼りにしてるぜ!
「……ん?そう言えばジャンタン、初めこの蛇を指定モンスターだって言ってなかった?」
「おう、ちょっと待っとけ……」
ジャンタンは指を耳に突っ込み何やら話し始めた。
「警備隊本部よろしいか?ジャンタンだ。……ああそうだ、終わった。同行者は佐々木太一。登録はされてるハズ……はっはー。そうだろ?……よっしゃ、じゃあ入金よろしくな」
会話が終わったらしくこちらを振り向くジャンタン。
「戦闘が始まる前に境界警備隊と通信してたんだ。今から戦うぞってな」
「へー、じゃあ向こうは今の戦いを見てるってことか?」
「ああ、世界樹の上の方に取り付けられた望遠カメラで警備隊の奴が見てるハズだ」
「え!もしかして世界樹の上とかに人が住んでたりすんの?」
「んー、まあ住んでるっつうか任務で交代しながら最低二人はいるな。境界なんていつ出来るか分かんねーし、今太一が戦ったモンスターより強いやつも出てきたりするから油断できねーぞ」
「マジか……」
やっぱ境界警備隊はブラックだなと再確認した。
そこから2~3時間後、俺とジャンタンはさらに修行を続けてモンスターを数匹倒した所で俺は一つレベルが上がった。
「おおー、やっぱりレベルアップの白い光と湯気みたいなのは気持ちいいなー」
ジャンタンは満足そうに笑っている。目的が俺の修行だからしっかり成果が出たってことで喜んでくれているようだ。
「ここは地球と違ってハッキリ成長が分かるのが良いよな」
「そういえば今俺レベル何なんだろ?回数忘れたよ」
俺は笑いながらジャンタンに言った。
「数えてもあんまり意味ないぞ。誰かのレベル3が誰かのレベル6と同等なんて普通にある話だ。レベル上がった!って自分で喜ぶだけでいいんじゃねーか?」
「なるほど、オーケー。じゃ、次の魔物を探そうぜ!」
俺はレベルアップの勢いでそのまま続いてモンスター討伐に行くつもりだったがジャンタンはそれを止めた。
「いや、もう4時だ。一旦今日は帰ろう。まだ魔王襲来まで50日程あるらしいし焦ることはねえよ。お前も香織も日本じゃ実家ぐらしなんだろ?」
「もうそんな時間かー。分かった、また明日以降もシンクロ練習と並行で頑張るかな……っ痛!」
俺はその時最初に会ったハイウルフに噛まれた傷が今頃になって痛みだした。今までずっと興奮状態が続いていて気が緩んだからだろうか?
「な?意外と怪我は後を引くだろ」
「ああ。……てか一つ思ったんだけど――この世界には回復魔法ってないの?」
「回復かー……。いや、一応過去に回復魔法使える魔道士はいたらしいけどな……なんか難し過ぎるらしい。傷を治すつもりが逆に破壊しちまったってのが多発して禁止魔法扱いにされたって聞いたな」
「へー。エノキでも出来ないのかな?」
「いや、アイツは多分存在すら知らねえと思う。科学魔法だって今日知ったぐらいだしな」
そうなのか……回復使える魔法使いがいたらなー。俺は自分の右足を悩ましげに見下ろしながらそう思うのだった。
――俺達はまた例の鉄の扉のところに戻ってきた。すると出発前にもいたあのファックペンギンがなんか2羽に増えていた。
「ファッ……ファッ……ファッ、ファーックルルルル!ファーックルルルル!ファーックルルルル!ファーックルルルル!」
やかましくペアで同じスタイルで揃って鳴く2羽のペンギン。――やがて空に向かって2羽とも飛び立っていった。
「……なんか不思議な奴らだなー」
俺はそう言ってファックペンギンの立っていたいた所を見ると――そこには卵が置いてあった。
「あー、あいつらアホだからたまーに卵のこと忘れて2匹とも飛び立っちまうらしいんだ。それで外敵に食料として持っていかれる。こりゃ数が少なくなるワケだ」
ジャンタンは呆れたようにそう話す。
「……そうか、まあほっとこう。俺達人間がどうこうするもんじゃないしな」
そう言って俺は例の扉の前に立ち、取っ手を引いた――すると出かけたときよりかなり軽く鉄の扉を開けることが出来た。
「うおおおっ!軽い……。なんかめっちゃ強くなってない?俺」
「おう、そーだろ。太一は知ってるか?レベルアップにも種類があってよ、肉体を酷使してのレベルアップ、魔法を使ってのレベルアップ、敵を倒してのレベルアップ――とまあ内容によって色々違うんだ。もちろん上がる能力も違う」
「へー、なんかそこら辺はゲームみたいだ」
――というか俺は初めオルターに来た時、ステータスが空中に表示されたりそういうのを期待していたのだが……試しに「ステータスオープン」等と言ってみたりもしたが特に何もオープンしなかった。おもんねー。
俺とジャンタンはデヴォンシャー内に入って香織のいた広場へ走っていく。この時はもう素早く走る事が出来ないほど疲れていた。
広場につくとそこにはウェイバーと香織、そしてエノキがいた。
俺を見つけるとエノキが飛んできて声をかけてきた。
「おータイチー!あんた怪我してんじゃん。ちょうどいいや」
エノキは両手を広げて俺に迫ってくる。
「は?何が」
「新しい属性の魔法試させてよ!怪我を治す魔法だよ」
エノキの足元に展開されたその魔法陣はそれまで見たこともない色――黄緑色だった。
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