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光の戦士 ~殺人犯と同じチート能力を持ってますが悪用しません~  作者: 池田大陸


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第43話 オルターにおける境界人の歴史 ②

しばらく毎日投稿します。

 

 《――そしてついに魔法使いの長であるランベルト=ノビレやロジャーらは決断した。


『人を殺傷可能な魔法の無許可での使用を禁止し、極大魔法など、古代魔法の魔法書を全て禁書とする』


 その一方で学生達はこうも発言している。


「魔法そのものは素晴らしい文化・技術ですから……小規模な魔法はむしろ一般人にも伝えるべきだと思います。それにより魔法文明も継承されていくハズです。逆に大規模な魔法に関しては魔物を相手にする場合に限定して、そういった部隊を作ると良いと思います」


 魔道士達はそういう発想がなかったらしく皆興味を持ったようだ。


「な、なるほど……よし、じゃあ低出力魔法を簡単に習得できる『魔法具』というものを作って民衆に販売するというのはどうだろう?」

「おお、いいんじゃないか?王に掛け合ってみよう。これで魔法使いのイメージが変わるかもしれん!はは……凄いよ君達」

「いえいえ、魔法を教えてもらった恩返しです」

 ……というように、境界人と魔法使いはお互いに助け合い良好な関係を築いていた――。》



「へー、このときに『魔法具』が出来たのかー」

 俺は自然とこの本の続きが気になってきた。

「次の話行くね」

 香織はタブレットをスクロールした。こいつもかなり夢中になってるみたいだ。


 《――境界人の助言の通り、魔法使いたちは村々に下り低級魔法の安全性を伝え魔法具の販売を始めた。

 当時の魔法具で可能なことは『火』魔法であれば固形燃料1個分、『水』であればバケツ1杯分、『風』であれば強い扇風機程度の風力……というように魔法のレベルは今の基準でレベル1~2程度のものだったが、おおむね魔法の使えない大衆には好評だったようだ。

 また、それをきっかけに「適性」を持ったものも現れ始め、彼らは一般人から魔道士となった。そして王室騎士団に志願したり逆にスカウトされたりと徐々に魔法使いと一般人の溝は薄くなっていった。


 魔法が世間に浸透してくると相対的に魔法使いの数が増え、普通の村人達が魔法使いになってしまう事によって、それまであった特定の職業が一気に廃業に追い込まれるという事態が起きた。例えばレベル3の土魔法で畑を耕せるので、それまで使っていたクワや牛が売れなくなる……等である。これにも魔法の商用利用を禁止する法を作り対処しようとした。

 しかし、禁止したところで実際は見えない所で魔法を使うものも多く、魔法を使えない多くの人々は困り果てていた。

 しかしいよいよそれらを解決できる新種の魔法が誕生することになる。……科学魔法の誕生である――。》



「お、ついに出てくるのか!」

 俺はワクワクしながら続きを期待した。



 《――法歴812年(1983年)世界樹ガオケルナの元に出来た境界から、一人の地球人の女性が魔法使いの集落を訪れた。そこは例の学生達がオルターの人々と交流を持った村だった。

 久しぶりに見た地球人に学生たちは懐かしさを感じると共にオルター人達と一緒に彼女を歓迎した。

 彼女は地質学者だったため、そのとき偶然にもいくつかの電子機器を持っていて――。》



「おーーはよーーう!」


 集中していた俺と香織の後ろから突然元気な挨拶をかましてくるヤツがいた。振り向くとエノキだった。コイツ、びっくりさせやがって……。


「おま……今起きたんかい!」

 エノキは昨日よりも元気そうな感じで笑っている。

「ここのベッド……だっけ?アレ、めっちゃ寝心地良くてビックリした!シャワーってのも気持ちいいし食堂の飯もうまいしもう最高最高。私当分ここに住むわ!」

 どうやらエノキはここデヴォンシャーに大満足らしかった。まあオルターは基本近代ヨーロッパぐらいの生活レベルだし、そりゃ快適だろう。

「あ、エノキおはよう!」

 香織もタブレットから目を離して挨拶した。


「おう、エウ……エノキ。おはよう、これで科学魔法の練習生が揃ったな」

 ウェイバーは俺、香織、エノキの3人をざっと見渡して言った。あと一人のジャンタンは何やら適当な本を読んでいる。


 続けてウェイバーは皆に聞いた。

「ちなみにこれからやることはその本のその先の内容とほぼ一緒だ。やるか?」

「やろうやろう。あの魔法早く使いたくて私、昨日からずっとワクワクしてたんだ!」

「私もちょっと楽しみ」

「んー……やるかー……」

 各々ウェイバーに答えるが俺のテンションが一番低かった。だって魔法の才能ないしな……。


 図書館には円形のテーブルが置いてありウェイバーはそこに俺達を案内した。そしてテーブルの上にあるものを置いた。――それは電卓だった。


 早速エノキは不思議そうな顔をして近くで眺める。

「何これ?ウェイバー?」

「これは電卓といって色んな計算をしてくれるものだ。数の大きい計算でも瞬時に答えを出してくれる」

「へー。ちょっとやって見せてよ。私も計算得意なんだ」

 電卓にも興味あるのかエノキは……、なんか意外だ。

「例えばこういう3桁の掛け算とか――」

 ウェイバーは電卓に適当な数を打ち込み「=」のボタンを押そうとした。


「41174!」


 驚いたことにエノキは電卓から顔を上げ、ウェイバーの顔を見上げてながら答えた!……え!?

「346×119でしょ?41174じゃん。私こういうのめっちゃ得意だからね!」

「す、すげえなエノキ。正解だ……」

 ウェイバーは驚きながら電卓の答えを俺達に見せてきたが本当に41174だった。マジか!?

「すごーい……!」

 香織も驚愕している。

「よし、じゃあ次は4桁同士の掛け算な」

 そう言ってボタンをポチポチ押していくウェイバーとそれを見ているエノキ。

 俺も一応考えてみるが『出来るわけがねえ』という答えが1秒で出た。もはやただの感想だ。

「……7802574!」

 エノキは3秒ぐらいでまた答えた。果たして合っているのか?ウェイバーを見てみると――。

「正解!……いや、お前凄いな」

 さすがのウェイバーも「へー」といった驚きの表情をしている。

「お前天才ってマジだったんだな……魔法より今の計算の方が凄えと思ったわ」

 俺は正直に思ったままを話した。エノキは両手を広げてニヤけた面で自慢を始める。


「まーねー。なんたって天才だからね―。数の学問とかも子供の頃家にあった本読んだだけで勝手に分かるようになったしー才能ありすぎるって怖いよね―」

 エノキはそのニヤケた顔から瞬時に真面目な顔になってウェイバーに聞いた。

「……ってゆーかこれをどうするわけ?」

 ウェイバーはすぐ答えた。


「エノキ、これに『シンクロ』してみろ。雷属性だ」


「え!うん。分かった」

 さっきの計算の答えがまだ表示されたままの電卓にエノキは手をかざした。

 その電卓にウェイバーはボタンをポチポチと押して何か適当な計算をしているようだった。


 そしてそのまま20秒程立つとエノキの足元に緑の魔法陣が出現した!おお!やったぜエノキ!俺は思わずガッツポーズをした。

「あっ、緑……」

 隣で嬉しそうな顔をした香織が小声でそうもらす。

 ウェイバーも小声で何かつぶやくように言った。

「フー……もう出来るのか。俺は丸々一月かかったってのに……」


 そして当のエノキは真剣な顔を崩さず電卓に手をかざし続けながらこう言った。

「へー。雷の素を0と1に変換して計算してるんだ……なんか面白ー」

「よし、もういいぞエノキ。これで科学魔法の基本、『魔力の精密制御』が出来るようになった。次は『脳通信』だ、これにシンクロしてくれ」

 今度はウェイバーは電卓をカバンにしまい、ポケットからスマホを取り出し「電話」アプリをタップした。ああ、なるほど。

「おっけー」

 エノキは好奇心を抑えられないといった顔で笑ってスマホとシンクロを開始した。

 一方、少し斜め上を見上げてウェイバーは残念がっていた。

「本当は誰かと通話できれば『脳通信』の習得は早いんだが……」

 俺はここでちょっとウェイバーに聞いてみた。


「なあ、このデヴォンシャーにはwifiみたいなのはないの?」

「ないなー。それをするためにはオルターで電波塔を立ててスマホも多分こっちで作らなきゃ無理そうだが」

 そ、それは厳しい……。俺はこのオルターでのスマホの役割は時計と動画撮影ぐらいだと改めて思った。


 ところでエノキの方はどうだろう?さっきの電卓と違い大分時間がかかっているようだが……。

「えっ!?ちょっと待ってコレ……この小さい箱みたいなの凄すぎない?さっきのやつと大きさも形も似てるけど中身の濃さが全っ然違う!」

「そりゃスマホと電卓じゃ機能の多さが桁違いだろ」

 そう言いつつも俺はエノキがシンクロによって本当にスマホや電卓の中身とシンクロ出来ている事に驚いた。ホントやべえなこいつ……。


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