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光の戦士 ~殺人犯と同じチート能力を持ってますが悪用しません~  作者: 池田大陸


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第44話 やはり天才か……

68話まで完成。しばらく毎日投稿します。

 

「このスマホの中身を全部シンクロで吸収しようとすると時間がかかり過ぎる。エノキ、必要なのは『通話』『認証』『省エネ』、それ以外の音楽やらは無視していい。スピーカーになりたいなら別だがな」


 ウェイバーは説明しながら顔認証や節電の設定を操作しエノキに見せている。

 ここで俺の頭には一つの疑問が浮かんだ。


「なあ、さっきの歴史書の学生達って今エノキがやったみたいに電卓に『シンクロ』かけたんだろ?でもスマホは無いよなーあの時代。1980年代……だっけ?」


 それにウェイバーは即答した。

「ああ、だから当時シンクロ出来たのは電卓だけだ。だから境界にも今みたいに顔認証や省エネみたいな機能は無かったハズだ」

「じゃあ境界もすぐ消えるんじゃね?」

「当時の電卓にはON、OFFスイッチがあったらしい。だから境界にもそれを応用したんだ。普段はOFFにして必要なときにだけ境界の機能をONにする。科学魔法を使える魔道士を連れていってな。それでも今みたいに高性能な『省エネ』機能はなかったから毎日頻繁に出入りしていたら2~3ヶ月で境界が消滅する事もあったとか……。ちなみに『ハイド』は基本的にかけっぱなしな」


「なるほど、じゃあ携帯電話のなかった当時は通信も出来なかったんだな」


「そういうことだ」


 科学魔法についてウェイバーに一通り説明してもらって俺は結構スッキリした。

 後はエノキが『読心』と『ハイド』を使えるようになるのを見ておくか。


「……へー、電子ってのを細い線の中で振動させて電波を発生させて、その振動数が同じスマホに電波が届く。そんでそれを増幅させてスピーカーで音に変えて会話が出来るってことかー……へー、凄い……。うん。オッケーオッケー!『通信』大体分かったよ!」


 エノキはスマホにかざしていた手を下げてウェイバーに笑顔で報告した。


「よし、エノキそこで待っとけ。今お前の脳波を登録した」


 気付いたらウェイバーの足元に緑の魔法陣が出来ている。なるほど、エノキの脳波を携帯番号みたいに登録したのか。

 やや急足で図書館から出て行くウェイバー。

 10秒程経過してエノキの頭に着信があったようで、足元に緑の魔法陣が現れていた。


「わっ、わわっ、わっ!」


 ちょっと慌てるエノキ。その姿がなんか滑稽というか面白かった。


「うん……うん、分かった。登録ねオッケー」


 人差し指を両耳に突っ込みウェイバーと会話するエノキ。どうやらウェイバーの脳波を登録したようだ。

「科学魔法凄いね……!スマホ機能もインストール出来るんだー。私、絶対覚えよ。太一も頑張ってよね!」

「全く自信ねーわ……」

 俺は香織の期待に応えられる気は全くしなかった。


 そうしているとウェイバーが帰ってきて一つ付け加えた。

「ちなみに至近距離なら相手の脳波の登録は必要なく直接脳にメッセージを伝えられる。やってみろエノキ」


『あーあー!どう!?皆、聞こえてる?』


「おお!聞こえるぞエノキ!」


ウェイバーはさらに補足した。

「このセリフは通信の使用者が話したいと思った相手にだけ聞こえる。まあ敵のアジトにでもいない限り普通に話したほうが早いけどな」


 通信が使えない俺は直接話すしかないが、使えたら第三者に聞こえないように会話できて便利だなーと思った。


 そしてウェイバーは次のレクチャーを始めた。

「よし、『通信』も使えるようになったなエノキ、後は科学魔法使いの脳波を登録していくだけでいい。これでお前は王室の科学魔法班のように境界に科学魔法をかける事も出来るようになった」

 エノキは笑って冗談を言った。

「いやー、今から王室騎士団入ろっかなー、お尋ね者だけどさ。――ってかウェイバー達こんな便利なモン持ってるなんてズルいぞ~!」

 ウェイバーはエノキの言葉を軽く流して説明を続ける。


「次、『独心』。相手は俺だ。科学魔法を使った状態で俺の頭の中心部分にある脳幹と大脳辺縁系にシンクロするんだ」


 エノキはコクッとうなずくと再び緑の魔法陣を出す。

 いや、そんなの分かんのか?


 そして数秒経つと、面白い事にエノキは仁王立ちするウェイバーとそっくりな立ち方になっていて、顔つきもソックリになっていた。俺は思わず吹き出した!


「ギャハハハハッ!おいっ、何だエノキ……そ、その顔っ……!!ぶふっ……やばっやばい!……っふ、ぶはははははは」

 あの普段アホみたいにふざけた動きをするエノキが落ち着いたウェイバーの立ち姿、そして顔つきをしているという違和感が俺の笑いのツボにどハマりし、腹をよじれさせた。


「ん?なんだタイチ、『読心』はそういう魔法だろ?」


 このいかにもウェイバーが言いそうなセリフを言ったのはエノキだった。それがまた俺の笑いを加速させた。


「ぎゃははははは……」


 ドスッ!


 気がつくと腹を抱えて笑う俺の脇腹をエノキに殴られていた。


「こらーーーお前笑いすぎ!ウチを馬鹿にしてんのか!?」

「い、いや……だって……ふふっ」


 まだ笑いがおさまらない俺。


 一方、ウェイバーはエノキを褒めた。

「似てると言う事はそれだけ『読心』の精度が高いって事だ。凄えじゃねえか」

「そーだそーだ馬鹿にしやがってーこのー!」

 エノキは笑いながら俺を小突く。


 香織はニコニコしながら俺とエノキのやり取りを眺めていた。


「後は『ハイド』だが、科学魔法では一番魔力を使う技だな。簡単に説明すると、自分の存在を限りなく薄くするイメージを持つんだ。そう、まるで道端の石になったように周囲に溶け込む感じに……」


 ウェイバーがそう伝えるとエノキは魔法陣を出し、目をつむり集中し始めた。

 そして俺は自分が果たして科学魔法をどの辺まで使えるのかが気になってきた。


「なあウェイバー、ジャンタンの話じゃ俺は科学魔法使えるか分からないらしいんだ。やっぱ適性が一つもない俺は厳しいの?」

「ああ、シンクロは基本的に魔法技術力に比例するから太一の場合かなり時間はかかるだろう。ただ魔法全般が不得意でもシンクロだけやたら上手く出来るヤツも存在するから希望はなくはないぞ。ちなみに俺は科学魔法使えるまでに丸々一月かかった……」


 俺はウェイバーの説明を受けて微妙な面持ちになった。

「ウェイバーでも一月かかんのかよ!やっぱ大変そうだな……あれっ?そういやエノキどこ行ったんだ?」


 さっきからエノキの姿が見えない……。アレ?アイツいつからいなくなったんだ??


「ホントだー。いなくなったね……さっきから」

 香織もエノキがいない事に気付くがいつからそうなったのか誰も分からないみたいだった。どうやらハイドを使う直前の記憶も曖昧にさせるらしい。


 ウェイバーも不思議そうな表情で疑問を口にする。

「確かアイツ、俺と通信して、俺がここに帰ってきてから読心で俺の脳内とシンクロして太一に攻撃して――そっから何してた……?思い出せん……」

 

「わーっ!!」


 いきなり大音量でエノキの叫び声がこだました!

「うおおっ!!」

「えっ!?」


「あはははは!ハイド面白すぎっしょ。私、皆の目の前で変な顔したり体操したりしてたのに誰も気づかないって面白すぎるー!あははっ」

 ウェイバーも驚きの表情でエノキを眺めている。

「ふー……。予想はしていたがものの数分でここまで完璧に習得しちまうとはな、恐れ入った。もう俺達がお前に教えられる事は無いな」

 それを聞いたエノキはニヤッと笑って面白い事を言った。


「科学魔法スゴイ!コレで王城とか色んなトコ侵入し放題じゃん?私、次は封印された古代魔法の魔法書読みにいくぞー!」


 エノキはウェイバーに向かって物騒な事を宣言しているが、今のエノキなら確実に出来る気がする。


「一つ忠告しておくが、科学魔法を使える人間がその場にいたら『読心』も『ハイド』も普通に気づかれるぞ」


 エノキが調子に乗っていた直後、ウェイバーにしっかり釘を刺されるのだった。


「あー、やっぱ?そんなに甘くないかー。あ!」

「後一つひらめいたんだけど――もしかしたらこの科学魔法を応用して新しい魔法が出来るかも知れない!」


「ウホッ!」


 ウェイバーは満面の笑みを浮かべた。


「ちょっと自分の部屋で研究してきて良い?アイディアが消えないうちにさ。香織ごめんな!」


 エノキは片手を胸の前に上げて合掌ポーズをとった。

 香織は元々エノキにシンクロを教わろうとしていたので残念がったが顔は笑顔だった。


「えーっ、せっかくエノキに教わろうと思ってたのにー……早く戻ってきてね」

「オッケー!」

 そう言うと図書館から駆け出していくエノキ。いやー、改めて凄えヤツだなと思った。


 ま、それはそうと俺も香織も科学魔法を習得しないとな。

「よし!俺達もエノキを目指してシンクロの練習すっか」

「うん!」

 俺と香織の会話を聞いて勢いよく椅子から立ち上がるウェイバー。

「魔王の来襲まであと50日程度らしい。それまでに出来るといいな。一旦広場行くぞ」


 俺はふと先程から静かに読書しているジャンタンに目をやった。

「外行くってジャンタン。何読んでんだ?」

「お、そうか。いや、詰将棋の本が面白くてよ」

「へー、将棋かー。意外だ」


 俺達4人は図書館から出ると、見るからに学者という感じのメガネをかけた一人の女が何かを探すようにうろついていた。そして俺達を見つけ声をかけてきた。


「あっ、ウェイバーさん。例の動画の編集夕方頃に終わりそうです。――やっぱり黒ですよあの連中……」


 メガネの女は何やら険しい顔で進言する。


「お、ご苦労さん。後でこいつらと一緒に見るわ。俺達も夕方ぐらいまでかかるかも知れん」

「分かりました。あ、私情報処理班の渡瀬と言います。よろしくお願いします」


 お辞儀して丁寧に挨拶してきた渡瀬というメガネ女子は名前からして日本人のように見える。歳は香織よりちょっと上ぐらいだろうか?


「こんちは。俺、佐々木太一」

「石田香織です!」

「え!佐々木太一さんって……まさかあの、光の能力者!?」

 表情はそんなに変わらないが明らかに驚いたように口をちょっとだけ開けている渡瀬。

 一応挨拶ついでに光輪を何個か出してみる。すると渡瀬はほんのわずかに微笑んでこう言った。


「素晴らしい……あなたには期待しています。色々と」

「うん、まかせろ!」

 俺はとりあえずそう返事をした。


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