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変態冒険記  作者: ゆゆ
第1章 理想の末路
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第2話 時空境界のトランセンデンス Transcendence in Event Horizon

 数多に存在する平行世界。パラレルワールド。


 通常、互いの世界は干渉し合わないよう交わることはないが、特定の場所、特定の時間、そして天文学的確立であるとき、世界は通じ合う。


 しかし世界と世界を移動する際にかかる物理的圧力と精神的負荷は想像を絶するもので、生きて移動できる者はほとんどいない。


「ということですかのぶちゃんさん」


「そうだな」


 現在、僕は草原の丘にピクニックのようにシートを敷いてお茶を飲んでいる。向かいにはノエル・ブランエッド・シェロンリズナというらしい女の子が座っているが長すぎるので僕はのぶちゃんと呼ぶことにした。でも女の子と言ったが話を聞くと僕より二歳年上らしく、仕方なく僕はさんをつけ、のぶちゃんさんと呼ぶのであった。


 ここはエトランド国の西にあるエルロットという地方らしい。のぶちゃんさんたちはここで自然調査をしていたのだが運悪くこのあたりに住み着いているギルワとかいうモンスター的なやつらと戦闘になったらしい。単体ではのぶちゃんさんとその仲間たちの方が強いけれど数で敵に圧倒され苦戦していたらしい。そこに上空から何かが落下してきてギルワたちは全員死亡。


 それで、その落ちてきたというのがこの僕なのであった。


「本当に助かったよ。部下たちは普段強気なくせに数で圧倒されたからって弱気になってたんだ。とんだ豆腐メンタルだよ」


「僕は木綿が好きですねえ」


「奇遇だな。私もだ。お昼は湯豆腐にしようか」


「えっ」


 なんだろう、冗談で言ったのに向こうも知ってるふうな感じで乗ってきた。ここ明らかに豆腐の文化とかなさそうだけど。むしろチーズとかヨーグルトとか作ってそうだけど。


「あっはっは。私は小さい頃から乳製品が苦手で食べてもすぐ下痢してたんだ。だからこんなに身長が伸びないのかな」


 自虐的に笑うのぶちゃんさんだが、どうしよう笑えない。だって僕も乳製品あんまりダメなのだ。アレルギーというわけではないけど冷えた牛乳飲み過ぎたり、ちょっと怪しいのを飲むとその日一日トイレとお友達になってしまう。


「ああ、あれはきついよね。お尻の穴がだんだん腫れてきて。一昨日なんか普通に出したのに拭いたら血が付いてたんだよ」


「痔……ですかね」


「切れ痔かな」


 寒くもなく暖かくもない、そんなちょうどいい風が頬を撫でる。陽の光は柔らかく全身を包み込み木の上で鳴いている意味不明の物体の声が耳に心地いい。


「ところでまだ君の名前を聞いていないんだが」


 お茶のおかわりを差し出しつつのぶちゃんさんが聞いてきた。そうだ、そういえばまだ僕は名乗っていなかった。のぶちゃんさんから話を聞かされていたせいですっかり忘れていた。


「そうですね。僕の名前は坂口……」


 しかしそこで思いとどまり僕は口をつぐむ。


 ここで素直に教えていいのか? なんか世界観的に魔法とかありそうだしアニメとかでは本当の名前を教えたがために魔女にその名を縛られるとかいう展開があったりする。今後この世界で異常に顔がデカイ銭湯屋のばばあに脅されないとも限らないためここは偽名を使っておくべきかもしれない。


 考えうる危険は可能な限り事前に取り払うのだ。


「……おっぱいです」


「? 坂口おっぱいとな? すいぶんあれな名前だな」


「あ、ちょまった。違います、坂口……坂口変態です!」


 何言ってるんだ僕! 変態だなんて! いや、確かに変態だけども! 僕が言ってしまったことに驚愕し冷や汗を浮かべる中、のぶちゃんさんはうんうんと頷きそして左手を差し出してきた。


「よろしくな、坂口変態!」


 そして今日から僕の下の名前は変態になった。


誤字脱字の指摘・感想なんでも待ってます。

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