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変態冒険記  作者: ゆゆ
第2章 世界を憎む少女
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第37話 おんなを探そうの会


「はい。じゃあいっせーのーでで引くぞ」


 翌日。僕たち四人は早速町での調査を行うことになった。全員で回っても効率が悪いので二人一組みのグループを作る。


 今はこうして第2地区にある喫茶店でグループ分け兼事前会議中だ。すでに水と一緒に運ばれてきた紙ナプキンでこよりを作りくじを作成していた。


 四本中二本だけが短く作られておりそれをのぶちゃんが持って僕たちが引く。


「いっせーのーでっ!」


 四人仲良く声を合わせて同時に引く。結果、僕とのぶちゃん。リリルとクリシアとなった。まあ誰と一緒になってもよかったんだが。


「ふん、私とクリシアか。じゃあ私たちは第28~30地区を回るからお前たちは第25~27地区を頼む。まあ一日で3地区もとても回りきれんとは思うがあくまで目安だな」


 それじゃあ、とリリルたちはその場で転送魔法を使って消えた。では僕たちも行くとするか。


「行きましょう。と言っても転送はのぶちゃんに任せないといけませんが」


 あいにくまだ僕はそこまで魔法が使えない。めちゃくちゃ頑張ったら出来ると思うけどだったらパパッとのぶちゃんにやってもらったほうが早い。


「そうだな。行こうか」


 お会計を済ませると店の外へと出て、そこでのぶちゃんは僕の右手を取った。


「トラスリメント!」


 目標は第4層の25番地区である。一瞬の無重力を感じ、しかしすぐに足裏に地面の感触が戻る。


「着いたぞ。第25番地区だ」


 始めてくる地区である。話に聞いていた通りお店が主な第2地区とかとは違って住宅が多い。それにちょっと大人しめの町といった雰囲気だ。きっと今まで行ったことのある地区が華やかすぎただけだが。


「まずは適当に歩くとしよう。もし目的の女がいれば向こうから接触を図ってくるかもしれないし」


 それはもっともである。もし向こうから来てくれたら探す手間が省けるので助かる。


「でもどうやって政府の人間だと判断してるんでしょうね」


 魔法的な識別方法があるのだろうか。


「政府の人間は胸のあたりにバッジつけてるだろ。小さいけど私もつけてるぞ。あとは専用の服か。政府の人間しか着れないデザインがあるから」


 のぶちゃんはほれ、と自分の胸をこちらに向けてくる。言われてみれば確かにバッジがついている。でも小さすぎてよくよく見ないと気がつかないぞ。今までだってこういう服なのかと思っていた。


「政府の人間しか着れないデザインって、僕が着てるやつですか?」


「そうだ」


 この全身黒づくめの中二全開の服装が国の指定しているデザインなのか。まあこの格好なら目立つな。だから狙われたのか。


「…………」


「…………」


 話が途絶え急に静かになってしまう僕たち。なんだろう、ちょっと気まずい。


「な、なあ」


「あ、あの」


 ! 重なってしまった。なんだ? のぶちゃんは何を言おうとしたんだ?


「そっちから言ってください」


「あ、ああうん。この前はクッキーありがとう。美味しかったよ」


 クッキーか。まあかなりの高級品だしそりゃうまかろう。うかくなかったら逆にダメだ。


「それで? 変態はなんなのだ?」


「ああ、この前はへんな誤解させてすみません。謝るのは二度目ですけど」


「なんだ、いいんだよ。私が勝手に早合点しただけだから」


 気にするな、とのぶちゃんは快活に笑う。本人がそう言ってくれるのならいいか。元は

といえばクソ幼女のせいだけどいつまでも根に持っていても仕方ない。もう忘れよう。


「それはそうと変態。もう具合はいいのか?」


 一瞬何? と思ったが恐らく昨晩貧血で倒れたことだろう。僕は大丈夫ですよと軽くガッツポーズをしてみせた。


「そうか。ならいいんだ」


 言って正面を向くのぶちゃん。僕も前を向いた。しかしやはり向こうからは来てくれないようである。もう結構歩いているけどだいぶ疲れてきた。しかし時間を訊くとまだ午前十時過ぎだという。お昼までまだ二時間もある……。


「そうだな。ただ歩いているだけはあれだしここは聞き込みでもしてみるか。なにか有力な情報があるかもしれない」


 のぶちゃんの言うとおりだな。ただ歩き回るよりは様々な方面から探る方がいい。どこから有益な情報が漏れるかわからないし。


 そうと決まると早速僕たちは道行く人たちへ声をかけ女を探し出した。


 けれど。


「情報、ないですね」


「ないな」


 最初から無理があったのか聞き込みでは何も得られなかった。まあ長い金髪に碧眼、赤いエプロンドレス、という情報だけでは無理があるか。


「リリルの予見は使えないんですか?」


 過去未来が見えるというリリル。あいつは何もわからないのだろうか。


「見る対象が目の前にいないとどうにもな。その他にも条件があるし。あいつの能力は限定的なんだよ。まずそこらでほいほい出来るようなものじゃない」


 ふうん。使えないな。


「……そういえば町がちょっと騒がしくないですか? みんな浮かれてるというか」


 今気がついたけどなんだか道を歩く人も多いしこの前とは違う気がする」


「ああ、もう少ししたらお祭り的なことがあるんだ」


「へえ~」


 お祭りとかあるのか。こんだけ広い町なら準備もさぞかし大変なのだろう。軍とかも警備とかで大量動員されたりして。


「しかしだいぶ歩きましたよ。そろそろ次の地区に行きませんか?」


 この楽しげな雰囲気をもっと感じていたいという気持ちはあるのだけど、今日回らないといけない地区はまだ2つある。この地区だけに長居をすることはできないのだ。まだこの

地区すべてを回ったわけではないけど仕方ない。


「……そうだな。次に行くか。お昼も近いし美味しい料理屋のある27地区から行こうと思うんだが」


 なんと。美味しい料理とな。ならば是非27地区から回ろうではないか。順番が前後してもなにも困らないしな。


「いいですよ。行きましょう!」






     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆






 第27地区。先程までいた25地区とはこれといって変わったところはない。普通に普通である。


「ちょっと早いがお昼にするか」


 魅力的な提案をするのぶちゃん。もちろん否定はしない。頷くだけである。


「城で生活しているとな、健康なものばかり食わされるんだ。だからたまにものすごく脂っこいものとかものすごい胃にきそうなものとか食べたくなるわけだ」


 わかる、わかります。いつもはいらないんだよね。たまに食べるからいいんだよね。


「そういうわけで今日は大食いに挑戦しようというわけだ。それも肉」


「肉!!」


 いいね肉! この世界に来てから肉ばかり食べている気がするけど全然飽きないね。むしろ三食おやつが肉でもいいくらい。僕の期待値は否応無しに上昇していく。肉の大食いだろう? もう食べ過ぎでゲロウンコ出るまで食おう。あ、でもウンコはやばいな、僕痔だし。


「っと、ここだ。大食い」


 辿りついた先は一軒の一階建てのお店。まだ店の外だというのに既に食指がうごく。とてもいい匂いがしていた。


 早速僕とのぶちゃんは店へ入ろうと扉を開け店内へ。


「いらっしゃいませー」

 すると店員さんの声が出迎えてくれた。けれど、ん? この声……。


「何名様ですか?」


「ああ、二人だ」


 店員の質問に答えるのぶちゃん。しかしその隣で僕は全身硬直していた。もう床と足裏がくっついた感じだ。


「――――? 変態。どうした? 席行くぞ」


 不思議像に見てくるのぶちゃん。だけで彼女と僕の目線は合わない。だって僕が見ていたのは。




ローゼンメイデンの新アニメって何の話するんだ……。

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