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変態冒険記  作者: ゆゆ
第1章 理想の末路
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第15話 はじめての、あさ

「おい変態! 朝だぞ!」


 誰かが僕の体を揺すってくる。閉じた瞼からは淡い光が漏れ、もう日が昇っていることを示していた。


「あ、ああのぶちゃん……」


 僕は目をこすりながら上半身を起こす。下の方も起きていたが布団に隠れてのぶちゃんにはバレなかった。


「もう八時すぎだ。朝ごはんの用意はできているから一緒に下りよう」


 僕はテーブルの上に用意されていた服に着替える。そういえばずっと制服をきていたのだった。


「……って、これ、」


「ああ、お前の着ていた服は洗濯中で、乾くまでそれを着ていろ」


「これスーツだよね?」


 上下真っ黒のスーツ。丁寧に靴下と靴まで用意されている。


「男はビシッと決めたほうがいいのだよ。君のもともと着ていた服も似たような感じだったし」


 まあ確かに学ランだから似ているといえば似ているが。せっかくなら動きやすい服がいいな。


「んー。ならこれはどうかな?」


 のぶちゃんは部屋に置かれているタンスから適当に引っ張り出してくる。黒のシャツに黒の長ズボン。黒の膝まであるブーツに黒の足元までのマント。


「ちょっと中二っぽすぎじゃないですかね?」


 VRMMOに閉じ込められた二刀流ソロプレイヤーの装備にちょっとだけ似ている。というか日差しの下歩いていたらブッ倒れそうな服だ。


「もうめんどくさいな。いいからこれを着ておけ」


 僕は無理やり押し付けられた中二装備を仕方なく着る。しかしそれは思った以上に軽く動きやすいものだった。


「だろう? 微弱ではあるが魔力が込められているからな。さあ行こう」


 僕たちは部屋を出る。と、僕は気になっていることを聞いた。


「そういえば初めてあったとき、僕をぶん殴りましたよね」


「んん? ああそうだな。言葉が通じないから仕方なく」


「あれって魔法なんですか?」


「そうだ」


 ということはのぶちゃんも魔法が使えるのか。どのくらいの力かはわからないが僕がいなくても魔物くらい倒せるんじゃないのか?


「んーどうだろうね。私は魔法が使えるといっても補助がないと使えない」


 そうしてのぶちゃんはポケットから何かを取り出した。茶色いビー玉サイズの塊。


「これね、ドラちゃんのうんち」


「ええ、きたな!」


 のぶちゃんが言うにはドラゴンのうんこには魔力が宿っていて、のぶちゃんは自身の弱い魔力にうんこでブーストをかけて使っているらしかった。


「名づけてうんこブースト」


「そのまんまですね」


 うんこブーストって……。もう少しまともな名前はないのか。


「だったら変態。お前がつけてくれ」


「……うーん」


 うんこだろ? うんこをブーストさせるんだから……。


「シークイスト・フィン……とか?」


「お前もなかなかに痛いな」


「うるさい!」


 はっはっは、と快活に笑うのぶちゃん。そうこうしているうちにエレベーターへとたどり着き中へ乗り込む。そしてそのまま五階まで降りた。





      ◆     ◆     ◆     ◆     ◆





 着いた先は体育館ほどのスペースでのぶちゃんは普段使わない食堂、と言っていた。奥の方から食器がぶつかり合う音や油の弾ける音が聞こえる。


「おはようございます、変態さん」


「おはよう!」


 厨房を覗いてみると調理していたのはアルスとエリスだった。


「この子らが自分で変態に飯を作ってやりたいというもんだからな。厨房をそのまま貸してやったんだ」


 二人共金髪を結び、アルスはポニーテールに。エリスはツーサイドアップにしている。よく見れば二人共片耳にイヤリングをしていた。服装は白い純白のエプロンを着て完全装備である。


 人生において金髪少女のエプロン姿×2を見られるなんて夢にも思わなかった。


「変態さんは座って待っててください。ノエルさんも」


 僕とのぶちゃんは言われたとおりそのへんのテーブルに座った。


「ん? そういえばリリルは?」


「あいつは……知らん。城内を散策しているんじゃないかな? 腹がすけば勝手に飛んでくるさ」


 本当になにをしても適当なやつだな。朝食の時くらい普通に来ればいいのに。


「うほー、めしめし」


 突然声と共に空間が歪み、気がつくと僕の真正面にリリルが座っていた。お前、本当に飛んできたのかよ。びっくりするからやめてくれ。


 その後アルスとエリスが運んできた料理を食べるとのぶちゃんは話を切り出した。


「今日はエルロットへ行こうと思う」


「え……」


 もしかして魔物を倒しに行くのか? 能力があることが分かったとはいえのぶちゃんにはまだ伝えていないし、能力自体微々たるものだ。戦闘には向かないだろう。


「ああ、その件なら早朝、リリルから聞いた。どうやらボタンが弾けたのが能力のある証らしいな」


 えー、そんなことまで話したのか。まあもう僕が変態だということは周知の事実のようだし今更隠し立てはしない。


「まあ私は気にしていない。それより今日はまず下見を兼ねて行く。先日は私の部下も連れて行ったが豆腐メンタルじゃ使い物にならん。今日は私とお前の二人で行く。安心してくれ、今日は戦わないから」


「まあ、下見だけなら。ついていきますよ」


 安易に断るのも気が引ける。ついていくだけでいいというのならそうしよう。


「移動はドラちゃんで行こう。魔物がいるとされる場所の周辺は毒の沼があるから気をつけるんだぞ」


 どこのRPGだ、と僕は心の内でツッコんだ。


誤字脱字の指摘・感想なんでも待ってます。

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