第8話 異世界は魔法がない(゜Д゜)
店を後にし駅舎から出るとすでにクルマが用意されていた。この世界にもあるのかと驚いたが聞いてみるとその仕組みは僕には理解できないものだった。
「さあ、みんな乗ってくれ。荷物は後ろのトランクへな」
しかしそうして荷物を積み込むのはのぶちゃんだけだ。僕もアルスもエリスも手ぶらだし。
「これからどこへ行くんだ?」
クルマの後部座席に乗り込む僕。助手席に座るのぶちゃんに聞いてみる。
「私はこれから行かなくてはならないとこがある。少し時間もかかるからその間に君はあそこに行っているといい」
と、道を走るクルマの窓からあるところを指差した。辿って見てみればそれは湖で建物の隙間からチラチラと水が光を反射しているのが見える。
「あそこに、湖に行ってどうするんだ? 遊ぶのか?」
「別に遊んでいてもいいが君はまず湖上の占星術師のところへ行くといいだろう。アルスとエリスもついて行くといい」
そうして僕たち三人を順に指差す。湖上の占星術師? 誰だ?
「それは会ってみてのお楽しみだ。あの湖の中央に小さな小屋が浮かんでいる。そこにはよく当たると評判の占星術師がいるから見てもらうといい。もしかしたら帰る方法も分かるかも」
帰る……方法。それは行ってみるしかないな。
「君たちを下ろして私は用を済ませる。着いたら湖の岸に木舟が浮かんでいるからそれに乗るんだ。あとは勝手に舟が小屋まで進んでくれる」
そうしているうちに湖へと着く。僕たち三人はクルマを降りると言われたとおり木舟を探しそれに乗り込んだ。途端、何もしていないのに舟は動き出し濃い霧の中を進みだした。
「あの指輪……」
舟が動いている間。僕はアルスとエリスに話しかける。
「あの青い石のはまった指輪、大切なものなの?」
拾った僕からも急いで取り返していたし大事なものなのかな。
「あれは母さんのなんです」
「へえー、お母さんの。アルスたちのお母、」
そこまで言って僕ははっと口をつむぐ。アルスとエリスはもともと棄民。そしてこの子たちは自分の母親の指輪を大切に持っている。まるで形見にように。
「お母さんはしんじゃったんだよ」
僕の考えがわかったのかエリスがそう言ってくる。やはりそうか。
「なんかごめん……」
「もう何年も前のことです。気にしないでください。……あ、あれじゃないですか?」
指差す方向を見ると霧の中に黒い影が。そして湖面に一軒の教会のような外観の建物が現れた。間違っても小屋などではない。
建物は水に浮かんでいるようで舟はそのまま階段へと横付けされる。僕たちは舟を降りると階段を上り扉を開けた。
「おう、お兄ちゃんいらっしゃい!」
てっきりよぼよぼの婆さんが出てくるのではと思っていたが予想に反し僕たちを出迎えてくれたのは一人の幼女であった
幼女であった。
ようじょであった。
「幼女だと!?」
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ。扉を開けてみればそこにいたのは幼j、
「変態さん、もう分かりましたから」
アルスに言われ自分に帰る僕。危ない危ない。幼女だからって興奮してしまった。
「あ、あのー、僕は坂口……変態というものですが」
「偽名なんて使わなくていいよ。さあこっちへおいで」
そうして奥へ手招きしてくる。僕の名前が偽名だとバレた? 三人で恐る恐る幼女へついていくと一つの部屋へつく。そこはドームのようになっており天井が高い。照明は暗くロウソクが数本灯っているだけだった。
幼女は水晶の置かれたテーブルの椅子に座り、僕たちへ向かいに座れと促してきた。
「よしよし。じゃあこの水晶的なもので占ってあげよう。私は占星術師だしね! ……というのは嘘」
……? なに、嘘?
隣に目をやれば二人もポカーンとしていた。
「そう、嘘。私は占星術師じゃない。なに、占星術っておいしいの?」
「い、いや知りませんけど」
あれあれ? のぶちゃんの話ではこの幼女が有名な占星術師じゃないのか? よく当たると評判だとか言っていたではないか。
「あれは世を忍ぶ仮の姿。実際の私にできるのは占いなんて当てずっぽうなものじゃなく、人を見ることだ」
人を、見る? どういうことだ? 見ただけで何がわかるというのだ。
「この世界の人間は少しでもおかしなことが起こるとすぐに魔法だ魔物だと騒ぎ立てる。確かに魔物というかそれに準じる動物はいるさ。昨日だって外の湖で水竜に餌やったしね。でも魔法なんてものは存在しない。私の占いも、占いじゃない。これは一種の異能だ。超能力とでもいうか。だからこんなそこらの店で買った水晶なんてなくても、こうして暗くして雰囲気なんて作らなくても、私にはお前の頭の中が見える。未来が見える」
そうして幼女はテーブルに肘をつくといやらしく目を細め笑った。
「そうだろう? 坂口春太」
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